Category : マネックス

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1週前

出遅れの邦銀株に一筋の光明

● 株式市場が好調な中、銀行株は精彩を欠く。利鞘の低下が続き、今期の収益は、減益か、せいぜい横ばいと予想されていることが主因。

● 他方、本日発表の7-9月の貸出の伸び率は名目GDP成長を上回るなど堅調。更に、先週以来、銀行貸出の基準となるTibor(東京銀行間取引金利)が、定義変更等から9年ぶりに上昇した。

● 金利の上昇幅はごく僅かで、大手行でも年間数億円~30億円程度の収益影響しかない。それでも、長年低迷してきた基準金利に底打ちの兆しが出てきたのは注目に値する。銀行株は足元の出遅れを十分取り戻しうるだろう。

Tibor金利の上昇は9年ぶり:小さいながらリアルな利益影響

日経平均が1996年以来の高値を更新する中、銀行セクターの出遅れが目立つ。9月初旬には、金利の上昇でやや復調したが、その後は堅調な相場の流れからの出遅れが目立つ(図表1)。利鞘の低下が続き、今期は横ばいから減益と予想されていることが株価低迷の主な理由とみられる。

一方、先週10/5に、銀行の貸出基準金利であるTibor(東京銀行間取引金利)が、2008年10月以来9年ぶりに上昇した(図表2,3)。Tiborは、銀行の貸出の約半分を占める変動金利貸出のベースになるものである。今回は、僅か1bp(100bp=1%)の上昇ではあるが、これが続けば、大手行それぞれ数億円~30億円程度の自然増益(年度ベース)となる。

Tibor上昇の背景と今後の見通し

Tiborが上昇した背景には、今年7月24日に行われた指標の決定方法の変更がある。これにより、Tibor金利は、市場金利を反映して決められることとされた。

これまでは、メガ及び大手地銀が「優良な銀行の取引レートはこれくらいだろう」と"想定する"金利を申告していた。これに対し改正後は、「無担保コール市場」「譲渡性預金金利」など、参照する市場金利とその優先順位を決めて、

無担保コール市場をまず参照
→適切なコール市場取引がなければ譲渡性預金等
→それもなければ、大口定期、OIS等の市場金利
→それもなければ銀行による判断

という具合に、順次、優先される市場を参照しつつ、自行の取引金利を全銀協Tibor 運営機関に申告するよう変更された。海外のLibor(ロンドン銀行間取引金利)の不正申告問題を受け、Tiborについても改革が必要だとしてこの3年議論されてきたものである。

9月末、このTiborの定義変更が軌道に乗ってから初めて、市場金利が本格的に上昇した(図表4)。これまでの9年間、このように市場金利が変動しても、Tibor金利は全く動かなかったが、決定方法が変わったことを受け、Tibor金利も微妙に上昇した。(因みにTiborレートは、上下2行の異常値を除く平均という"オリンピック方式"なので、一部の銀行の特殊事情のみで上昇したとは考えられない。)

これに伴い、今後は、短期市場金利が上昇すれば、銀行の利益に素直にプラスの影響が出やすくなった。マイナス金利が続く限り、そこまで極端に短期市場金利が上昇することは考えられないものの、短期市場金利は少なくとも底を打ち、長期的には上昇方向にある(図表5)。

国内貸出も順調:銀行株は出遅れを取り戻す可能性

更に、本日発表された7-9月の貸出の伸び率は3.2%と名目GDPの伸び率を上回る勢いとなっている(図表6)。重石になっている金利にわずかながらプラス要因も見えてきたことから、銀行株は足元の出遅れを十分取り戻しうるだろう。

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2週前

ノーベル経済学賞からみる衆院選予想

安倍首相が解散を決め記者会見を開いた翌日、僕はストラテジーレポートで今度の総選挙は、「与党の圧勝」だろう、と述べた。ところがその後、小池都知事の派手な振る舞いとそれを喧伝するマスコミの浮かれ具合もあって、「自民党、計算外の苦戦」「大幅議席減も」「安倍首相、退陣の可能性」などの表現がメディアに踊った。

衆院選は今日、公示され、本格的な選挙戦に突入しているが、改めて僕は「与党の圧勝」という見方を固持したい。

まず、希望の党から出馬する候補には、「希望の党=小池さんの党だから」という理由だけで票が集まるとは思えない。そこまで有権者の意識は低くないだろう。「反・自民」「反・安倍」の受け皿という意味では、立憲民主党と票を分けることになって、野党が一本化できないから与党を利するという、結局、戦前に安倍さんが目論んだ通りの結果になりそうである。

各党の公約も酷いものだが、特に希望の党の公約が滅茶苦茶過ぎるので、自民党の公約がましに見える。なかでも内部留保課税については、連休中にこちらのブログ(Dance with Market)で他にない視座から問題点を指摘しているので、ぜひ参照していただきたい。

希望の党の公約については内部留保課税のほかにも、突っ込みどころ満載だが、いちばんおかしい点を挙げておこう。経済について掲げられた公約の冒頭にはこうある。<金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を断行する>と。しかし、内部留保課税はシンプルに言って増税であり、民間の活力を引き出すどころか民間の経営に打撃を与えるものである。もっとおかしいのは、「財政出動に過度に依存せず」と言っておきながら、「ベーシックインカムを導入する」と公約に掲げていることだ。「ベーシックインカム」とは、収入にかかわらず全国民に一定額のおカネを支給することだから、究極の財政出動である。

僕は50年後くらいには真剣にベーシックインカムを議論しなければならないような事態になる可能性を否定はしない。しかし、現在の我が国の財政、社会保障制度、税制、社会構造、そうした諸条件に鑑みれば、ベーシックインカム導入と軽々に公約に掲げるなど常識的にはあり得ない。それこそ50年の計で国家財政の仕組みを根本から設計し直す必要がある。申し訳ないが、思いつき程度のアイデアで「公約」に掲げられるものでは決してないのである。

僕がここで批判するまでもなく、国民は冷静に判断するだろう。

読売新聞社が7~8日に行った全国世論調査によると、衆院比例選の投票先は、自民党の32%がトップで、衆院解散直後調査(9月28~29日)の34%からほぼ横ばい。希望の党は前回の19%から13%に下がった。

興味深いのは「若者層は保守的」という世論調査の結果だ。毎日新聞が9月に2度実施した世論調査で、20代以下(10代を含む)と30代は、40代以上の高齢層に比べて内閣支持率も自民党支持率も高い傾向を示したという。
毎日新聞が若者の声を載せている。

北海道の男子大学生(19)「自分たちは子供のころから雇用難。安倍政権で景気や雇用が改善し、わざわざ交代させる必要もないと考えているのでは」
大阪市の予備校生(18)「私の祖父母は野党側の考えに近いが、若い世代は安保闘争のような大きな政治運動の経験がない。野党の政策はどこか理想主義的で、現実的な対応をしてくれそうな自民がよく見える」

こうした声を受けて、有権者の政治意識や投票行動を研究する松本正生・埼玉大社会調査研究センター長は「大企業や正社員を中心とする雇用の売り手市場や株高の現状が続いてほしいという願望が、若い世代で強いのだろう」と話す。

「いざなぎ景気」を超える戦後2番目に長い景気拡大。2期連続の最高益更新が見込まれる企業業績。先日発表された日銀短観では、大企業だけでなく中小企業・全産業の業況判断DIは26年ぶりの高さ。パート・アルバイトの賃金は目に見えて上がり、それに比べれば鈍いものの正社員の所定内給与もじりじりと上昇している。そんな現状をあえて変えようとするのは少数派であろう。

無論、こうした状況はアベノミクスが奏功したというより、景気循環による自律的な回復局面が偶々、安倍政権の時期に重なっただけとも言える。

なんだかんだ言っても、現状が「そんなに悪くない」のは確かで、北朝鮮の脅威があるのも確かだ。であるならば、無党派も含めてだが、「現状維持」を選択する層が相対的に多いと考えるのが自然で、選挙という多数決で決めるシステムは「相対的に」多くの票を獲得したものが勝つ。

今年のノーベル経済学賞に決まったシカゴ大のリチャード・セイラー教授の専門は行動ファイナンス。人間の非合理的な心理を経済学に応用する学問だ。行動ファイナンスで特徴的なもののひとつが「現状維持バイアス」だ。

ひとはそれぞれ現状のままでいたいという願望があり、それは現状を変える不利益のほうが、変えたら得られるかもしれない利益よりも大きいと思えるからである。これは、2002年に同じくノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキー(トベルスキーは早逝したため受賞していない)が提唱した「プロスペクト理論」が明示する「損失回避」の非対称性が表出したものであるとセイラー教授は述べている(R・セイラー『市場と感情の経済学』)。

「現状維持バイアス」という言葉は、サミュエルソン=ゼックハウザーによって名づけられたものである。彼らは人間の「現状維持バイアス」について、様々な実証検証をおこなっているが、その結果で非常に興味深いものがある。それは、現状維持の有利性は、「代替案の数が増えるにつれて増大する」というものである。

この点からしても、もしも本気で与党を倒すには、一部の野党が言う通り、野党が一致団結して二大政党制を目指す必要があるのは明らかである。政権選択を国民に迫るなら、代替案(選択肢)を多くすると「現状維持バイアス」に負けるのである。

ましてやいま、経済や社会の状況は「それほど悪くない」と感じているひとが多いだろう。現状が「悪くない」だけに、変えようという気持ちを起こすのは難しい。「もし変えたら今の3倍は良くなる」というくらいの絵が描けなければ現状を変えようとは思わないだろう。ひとはそれぞれ現状のままでいたいという願望があり、現状を変える不利益のほうが、変えたら得られるかもしれない利益よりも大きいと感じる。人間の感覚は損益に対して非対称なのである。

ノーベル賞を受賞した行動ファイアナンスの観点からも、今回の衆院選は与党の勝利に終わるだろう。アベノミクス継続で株高シナリオも不変である。

まあ、そんなことは僕が言わなくても、相場は徐々に織り込みにきている。北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日で軍事挑発が警戒された三連休明けの今日、終わってみれば日経平均は6日続伸だ。「終値、連日で年初来高値 15年7月21日以来の高水準」とニュース速報が流れたが、東証株価指数(TOPIX)は、2015年夏のチャイナショックで急落する直前につけた高値を抜いている。「日本株全体」あるいは「東証1部の株価」は、まさにアベノミクス相場開始以来の高値にある。これこそが、これまでのアベノミクスが(少なくとも株価の面においては)プラス材料であり、この先も継続することを市場が期待していることの表れであろう。

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2週前

大きく上昇してもなお強気が多い銘柄は

先々週末で2017年度の上期も終了となりました。その上期を振り返ると3月末に19,000円を小幅に下回る水準だった日経平均は地政学リスクが高まったことで4月中旬に18,000円台前半まで調整しましたが、持ち直すと6月には20,000円の大台を回復しました。その後20,000円前後で揉み合った日経平均は9月に19,000円台前半まで下落する場面もありました。しかし、地政学リスクが後退したこともあって20,000円台を回復して9月末を迎えています。

こうしたなか今回は上期に大きく上昇し健闘しながらもなお強気(強気とやや強気の合計)の評価が多い銘柄を取り上げてみました。具体的には上期に株価が1割以上上昇したTOPIX500採用銘柄のなかから強気の評価が8割以上のものをピックアップしています。例えば上期に株価がほぼ2倍となったダイフク(6383)では強気の評価が9割近い水準となっているほか、上期に株価が6割余り上昇した任天堂(7974)でも強気の評価が8割を上回っています。

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2週前

スペイン・カタルーニャ”独立”問題の今後のシナリオ

● カタルーニャ自治州の住民投票は、独立派が圧勝。一方、スペイン政府はこれを違憲として退けている。この混乱がユーロ、株、債券全ての上値を抑えている。

● 独立は金融面で問題山積で、スペイン政府との交渉で穏便に収束するシナリオが合理的。但し、他地域での独立成功例もあり独立の気運が長期間燻る可能性は排除できず。

● 仮に独立運動が続き、イタリアやスコットランドに影響が波及するとしても、足元の大混乱は沈静化の方向。リスクが波及するとしても、かなり先の話で、まずはECBの金融政策正常化が先行するだろう。ユーロ、欧州株、債券いずれも当面強気。

カタルーニャ州住民はスペインからの「独立」を選択

10月1日のスペイン・カタルーニャ自治州の住民投票では、独立賛成派が9割を占める大勝となった。州政府は週明けまでに独立宣言を行うべく動いている。一方、スペイン中央政府はこれを阻止すべく、自治権停止を示唆している。現地では依然デモ等の混乱が収まらない。

これらの動きを受け、スペインの株価は大きく下落し、欧州株も若干頭を抑えられている(図表1)。また、スペイン国債利回りは、ドイツなど欧州金融機関のリスクが懸念されていた2016年2月以来の1.7%台に上昇した(価格は下落、図表2)。ユーロも一時期の上昇が一服している(図表3)。

しかし、下記の通り、独立は金融面で相当な困難を伴う。このため、「独立」を宣言するとしても、実際には、独立を強行する以外の落としどころをスペイン政府と交渉するというシナリオが合理的だと思われる。

独立実行の課題:金融的には厳しい現実が

外部調達の難しさ

カタルーニャは、スペイン全体のGDPの約20%、人口の16%を占め、スペインの17の自治州で最大となっている。GDP規模でいえば、デンマーク並みである。

しかし、だからと言ってまったく自力で金融システムを支えていけるわけではない。カタルーニャ政府は約770億ユーロ(10兆円)の負債を抱える。このうち、67%はスペイン政府から借り入れている。欧州危機の2012年には、カタルーニャが外部調達ができなくなり、スペイン政府が設定したファンドから資金を融通してもらっているなど、スペイン政府に大いに依存している。

これらの経緯で、カタルーニャ地方の現在の格付けは「B+」(S&P)と極めて低くなっている。更に、5日、S&Pは、格下げの可能性ありとして、「クレジットウォッチ」に掲載した。EUに直接参加していざという時には助けてもらうという方法はあるが、EU加盟には、EUの全加盟国の同意が必要であるため、スペイン政府が反対すれば、カタルーニャの加盟は認められない。なんらかの代替的な資金調達先が見当たらない限り、金融的には独立は現実的ではない。

金融機関の脆弱さ

地元の金融機関の問題もある。スペイン第3位の規模のカイシャバンク(Caixabank)は、バルセロナを本拠地とし、3,786億ユーロの総資産を有する。カイシャバンクに次ぐサバデル銀行もスペイン国内有数の銀行で、2,174億ユーロの資産を持つ。これらの銀行は、格付けが「BBB-」程度と、投資適格ぎりぎりである。

仮に独立後の「カタルーニャ国」所在の銀行ということになると、現在の格付けが引き下げられる可能性がある。その場合、投機的格付となり、他の金融機関との取引が難しくなる。これを回避するべく、これらの銀行が他の地域に本拠地を移してしまったら、州の個人や企業の利便性が損なわれる。いずれのシナリオでも、州内の金融システムが不安定化しかねない。

このように、独立は、カタルーニャ地方の財務、銀行経営、ひいては住民の利便性からも極めて不都合になる。合理的に考えれば、短期的に独立を強行するという選択肢は考えにくいだろう。

想定される穏便シナリオ vs リスクシナリオ

とはいえ、「独立」に投票した人々の期待を盛り上げてしまったことから、カタルーニャ政府としても全く何の成果もなく引き下がるわけにはいかないだろう。一旦「独立」を宣言しても、スペイン政府と、これまでの不利な制度の是正を求めていく可能性もある。

短期的な落としどころとして考えられるのは、スペイン政府から、税務面の優遇を引き出すか、予算配分を厚くするなどの妥協案を引き出すことだろう。

一方、リスクシナリオとしては、独立を掲げて混乱が長期化する可能性がある。かつて、同じように、財政の配分などへの不満で独立国家を築いたスロヴァニアは、1991年にユーゴスラビアからの独立を果たした。その後財政の改善が進み、2004年にEU加盟も果たし、国の格付けは「A格」まで改善している。中長期的にはカタルーニャにも独立のシナリオはありうる。

混乱長期化の影響が気になるのは、イタリアとスコットランドである。イタリアは来年春までに総選挙が行われる。反EUを掲げる「5つ星運動」は、近時やや穏健化していると報じられているが、カタルーニャの独立運動が続けば、再びナショナリズム路線に舵を切る可能性がある。また、スコットランドは、2018年秋以降にイギリスからの独立を問う住民投票をする意向を表明しているが、独立派が勢力を強める可能性が高いだろう。

市場への影響:いずれにしても足元の混乱は沈静化へ

最も可能性が高いシナリオは、なんらかの財政面の条件交渉で合意に至るというものである。だとすると、ユーロや欧州株の最近の下落分は挽回できる可能性が高い。

また、仮にカタルーニャの独立運動が続いたとしても、EU全体に対して直ちに大きな影響が出るわけではない。イタリア等に影響が出るよりも先に、金融政策の正常化議論がなされるだろう。万一、独立が断行されるとしても、EU全体を脆弱化させるものではない。このようなシナリオから、短期的には、欧州債券、株式、ユーロいずれに対しても「強気」である。

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2週前

上値余地が大きそうな最高益更新予想銘柄は

3月決算企業の第1四半期決算発表も8月中旬に終わりましたが、日本経済新聞の集計によるとこの第1四半期は上場企業の約7割が増益を確保し、2割を超す経常増益となったようです。そしてこのように第1四半期が好調な決算となるなか最高益更新を予想する3月決算企業も少なからずみられます。

そこで今回は営業利益で最高益が見込まれる3月決算企業のなかから目標株価コンセンサスが株価を2割以上上回り、上値余地が大きそうな銘柄を取り上げてみました。例えば日本水産(1332)では目標株価コンセンサスが株価を5割近く上回るほか、雪印メグミルク(2270)や亀田製菓(2220)、ブイ・テクノロジー(7717)でも目標株価コンセンサスが株価を3割以上上回っています。

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3週前

雇用統計に賭けろ 2017

ウォーレン・バフェットの右腕と言われるチャーリー・マンガーは、「間違って価格付けされた賭け(ギャンブル)を探すこと。それが投資だ」と述べている。株価がその企業の長期的な成長性と同調していないのなら、ギャンブルでいうと賭け率が間違っているのと同じである。(デビッド・クラーク著『マンガーの投資術』)

同書によれば、マンガーは若い頃ポーカーをしながら投資の腕を磨いたという。勝算が低いときは手控え、自分に有利とみるや大きく賭ける戦略を学んだのはポーカーを通じてであったそうだ。その賭け方は、極めて理にかなっている。僕も以前から日本人初のプロ・ポーカー・プレーヤー、木原直哉氏の著書、『東大卒ポーカー王者が教える勝つための確率思考』という本で、その考え方を紹介してきた。「勝算」をはじく基準となるのが「期待値」である。木原さんのギャンブルの定義は、「期待値がマイナスなものにおカネを賭けること」だ。

マンガーの上記の言葉は投資に関して(だから当然、長期投資に関して)のものであるが、短期のトレーディングにも当てはまる。ジャック・D・シュワッガー著『新マーケットの魔術師』に登場する常勝トレーダー、ビクター・スペランチオも同じ意味のことを述べている。

「ギャンブルは、勝算がない時にリスクを取ることです。例えば、宝くじを買ったりスロット・マシーンなどはギャンブルです。トレーディングやポーカーで成功するには、ギャンブルではなく、投機が関連してくるのです。投機に成功するとは、勝算がある時にリスクを取るということです。ポーカーでは、どの手に賭けなければならないかを知らなければなりません。同様に、トレーディングでは、いつ勝算があるのかを知らなければならないのです」

いつ勝算があるのかを教えよう。「間違って価格付けされた賭け」のチャンスがやってきた。歪んだオッズのギャンブル、プラスの期待値の賭け、なんとでも言い換えられるが、要するに、勝算が高い賭けがある。リスクを取る時だ。

今週末に発表される米国の雇用統計は、ハリケーンの影響で雇用者数が伸び悩むと予想されている。低い数値が出れば相場にとって悪材料ではないか?そうではない。要は市場の織り込み度合いとの兼ね合いである。

今回はハリケーンの影響で「悪い数字」になるのは織り込み済み。だから、実際に「悪い数字」が出ても市場の反応は限られる。その「悪い数字」の範囲には、市場予想を下回る数字も含まれるだろう。そうすると、もともと弱い数字を見込んでいる市場予想通りの結果になる場合も、その市場予想をさらに下回る場合も、どちらにせよ「ハリケーンの影響だから仕方ないよね」で片づけられて、米国株やドルが売られる展開にはならないだろうと思われる。

ところが逆に、市場予想を上回る数字が出れば、「ハリケーンがあったのに強い」というポジティブ・サプライズとなってリスクオン地合いとなるだろう。

つまり、今度の米雇用統計は、アップサイドはあるがダウンサイドはないという、オッズが歪んだ「おいしい」賭けである。

3年半前の2014年2月7日に発表された同年1月の雇用統計ではノンファームペイロールは17万人増の予想に対して11万増と大幅に下振れた。しかし、もともと寒波の影響があることは織り込まれていた。「下振れは予想の範囲内」との認識が広がりNYダウ平均は165ドル高となったのだった。その直前に「雇用統計に賭けろ」というレポートを書いたが、今日ここで披露したのとまったく同じロジックに基づいての推奨だった。

月曜朝に配信している「今週のマーケット展望」ではこう述べた。
<良好な指標が追い風となって、米国株の史上最高値更新が続くだろう。特に注目は2日に発表される9月のISM製造業景況指数。8月は58.8と上昇し、2011年4月以来の高水準を記録した。フィラデルフィア連銀の製造業景況指数やシカゴPMIなど先行指標が軒並みポジティブ・サプライズとなっていることから製造業の景況感は改善しており、ISMもハリケーンの影響が軽微となる公算が高い。強い数字が出れば米金利上昇、ドル高円安となって日本株にも追い風となる>

想定通りの展開である。雇用統計も予想に反して堅調な数字となるのではないかと思う。

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3週前

過去10年、10月に勝率9割の銘柄とは?

昨年末からの主要指数のパフォーマンスは?

本日(29日)で2017年度上半期の取引も終了である。本レポートの本題に入る前に昨年末と比較した28日時点の国内外の主要な株価指数の騰落率を確認してみよう。日本株にしか投資しない方にとっても、世界の中での日本株の立ち位置を確認しておくのは有意義であると考える。

表1のように国内指数では東証2部指数が27.5%の上昇と抜群にパフォーマンスが良い。前回のレポートにも記したように、リーマン・ショック以降最もパフォーマンスが良い主要な国内株価指数は東証2部指数である。ただ、現在の同指数は東芝(6502)とシャープ(6753)で指数寄与度が3割を超えるややいびつな指数となっている。東証2部指数に続いて新興市場のマザーズ指数が14.5%の上昇、TOPIXが10.4%の上昇と続き日経平均は6.5%の上昇である。

また、海外指数では香港のハンセン指数が25%近い上昇と非常に良いパフォーマンスである。続いてNYダウ平均が13.3%の上昇で続く。米国の株価指数は今年に入って史上最高値更新が続き、あまり大きな調整がなかったため非常に大きく上昇しているイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれないが、実はTOPIXとのパフォーマンス差は3%に満たない。TOPIXの上昇率はドイツのDAX指数とほぼ並び、上海総合指数を上回っている。今年に入って日本株のパフォーマンスは主要な海外株価指数に比べて大きく劣後しているわけではない。

さて、下半期はどのようなパフォーマンスとなるのだろうか。来週(10月第1週)にチーフ・ストラテジスト広木の日本株全体の見通しに加えて、チーフ・アナリスト大槻の銀行株見通し、シニア・マーケットアナリストの金山の注目銘柄、そして筆者の注目銘柄を掲載した最新情報がマネックス証券のウェブサイトに掲載される予定となっている。ぜひご参照いただきたい。それでは本レポートのメインテーマに入っていこう。

10月の好パフォーマンス銘柄は

今月も毎月ご紹介している月別の過去の好パフォーマンス銘柄をご紹介しよう。今回はもちろん10月の好パフォーマンス銘柄である。東証1部・2部・マザーズ上場銘柄のうち、過去10年間の株価データを取得できた1,892銘柄について、9月末と10月末の株価を比較した騰落回数を算出した。表2の通り、過去10年間10月に10年とも上昇した銘柄はなかったが10年のうち9年で上昇した銘柄が2銘柄、8年で上昇した銘柄が36銘柄あった。また、反対に過去10年10月に1回も値上がりしていない銘柄が6銘柄あった。それぞれご紹介したい。

表3に示したように、過去10年のうち9年で上昇したのは日立国際電気(6756)、東京建物(8804)の2銘柄であった。特に日立国際電気は過去10年間の10月の平均上昇率が8.3%という高リターンとなっている。日立国際電気は海外ファンドによるTOBが行われる予定だったが、株価上昇により見送られ、その後別ファンドが株式を買い付けるなどして足元で株価が急騰している。ややイレギュラーな銘柄だが今後の推移に注目したい。

10年のうち8年で上昇したのは36銘柄あり、うちイー・ギャランティ(8771)、バナーズ(3011)、タカラレーベン(8897)、ビューティ花壇(3041)の4銘柄は過去10年の平均上昇率10%を超える高リターンだ。過去のアノマリー通りであればこれらの銘柄は10月の株価上昇が期待できるかもしれない。

では続いて、過去10月に不調だった銘柄もご紹介しよう。以下表4に示したクレアホールディングス(1757)、大盛工業(1844)、アヲハタ(2830)、巴工業(6309)、ナカバヤシ(7987)、泉州電業(9824)の6銘柄は過去10年10月に1度も上昇していない。ナカバヤシと泉州電業は貸借銘柄であるためマネックス証券で信用取引を活用し空売りを行うことも可能である。

先月紹介した銘柄の成績は?

先月の本レポートをお読みいただいたお客様より以下のご感想を賜った。以下は頂戴したご感想そのままである。「過去10年間で、〇月に上昇した銘柄、下落した銘柄、大変有意義です。願わくば、1か月前の記事について、では今年の〇月はどうなったか、を記事化して頂けると、更に記事の価値がアップすると思います。(どの程度、信じられるデータか、わかりやすい。)よろしくお願いします。」

貴重なご指摘に心より感謝します。本当にありがとうございます。今後はレポート内でご紹介した銘柄のその後のリターンも随時ご紹介して参ります。

さて、8月30日の本レポートでは「過去10年、9月に10回中9回上昇した銘柄(6銘柄)」と「過去10年、9月に1回も上昇していない銘柄(8銘柄)」をご紹介した。それぞれの株価がどうなったかをご紹介する。本当は9月29日の終値で成績を考えるべきだが、レポート執筆のタイミングから9月28日の終値で検証していることをご容赦いただきたい。

まず、「過去10年、9月に10回中9回上昇した銘柄(6銘柄)」は今年の9月に表4の通り6銘柄中5銘柄が上昇した。TOPIXが3.6%上昇しているので、ある意味当然とも言えるかもしれないが概ねプラスリターンを確保した。中でも第一稀元素化学工業(4082)はノーベル賞関連銘柄としてクローズアップされ株価が急騰した。

続いて同じく8月30日のレポートでご紹介した「過去10年、9月に1回も上昇していない銘柄(8銘柄)」である。こちらは8銘柄中7銘柄が下落した。概ねこちらもアノマリーに沿った結果となった。ただし、レポート内でも記したようにこれらは多くの銘柄が9月末に株主優待の権利が確定する銘柄であった。これらの銘柄を空売りしていた場合「逆日歩」の費用がかかり結果的に利益が出ていない可能性がある点にはご注意いただきたい。

今後のレポートでもレポートで紹介した銘柄のその後の株価動向をご紹介してまいりたい。ご参考いただければ幸いである。

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4週前

総選挙と今後の株式相場

国難が大義か
わが母校、浅野学園は神奈川の打越台という小高い丘のうえに立つ。校歌は、「我等は百難打越し行かん」と謳う。熱き血潮をたぎらせた若者が、遥かなる前途を見据え、どんな苦難にも打ち克ってゆこうという、まこと意気に感じる歌だ。卒業して35年になるが、これまで困難に突き当たるたびに、この校歌を口ずさんで歯を食いしばってきた。

若者ならいざ知らず、仮にも一国の首相が「国難」とは穏やかでない。いま日本が直面している「国難」を突破するための解散であるという。確かに北朝鮮の挑発は危険を孕む。しかし、「元寇」ではあるまいし、「国難」というべきほどのものか。むしろ北朝鮮の挑発ごときを「国難」扱いすることのほうが、相手には足元をみられ、国民には要らぬ動揺を与えまいか。慢心は禁物だが、もっと毅然とした泰然自若の態度で臨むべきであろう。

首相はもうひとつの「国難」として、急速に進む少子高齢化を挙げた。確かに大きな問題である。しかし、少子高齢化はいま降ってわいた問題ではなく、ずっと前からわが国が直面している問題である。

これは誰がどう見ても、「いま解散すれば勝てるから解散」であり、メディアが喧伝する通りの「大義なき解散」である。

だが株式市場にとっては「大義」なんてどうでもよい。今回の解散・総選挙が今後の株式市場にどう影響するか考えたい。

衆院選のシナリオ
昨日の相場展望でも書いたが、「選挙は水もの」で蓋を開けてみるまで結果はわからない。だが、おそらく与党の圧勝だろう。自民党が8~10日に行った衆院選情勢の調査結果は現有286議席から「12~30議席減」となるが、自民党単独で過半数は維持する、というものだった。だが、僕はもっといけると思う。その根拠は現政権批判の受け皿となる政党がないことだ。

小池百合子氏が自ら代表につく「希望の党」はどうだろう。都知事選、都議選で圧勝した小池氏が「選挙の顔」として前面に立つことは、一定の得票につながるだろう。だが、小池氏自身が衆院選に立候補しているわけではない。都知事でありながら国政に関与するという、ある意味矛盾、中途半端な感じが否めない。政策もあいまいである。基本はリベラルではなく保守だから与党に近い。よって民進党他の野党との連携をどう図るのか。与党に打撃を与えるほどの結果を残すには野党の候補者一本化が必要だが、そこまでの調整能力はないだろう。小池氏の人気はある。だが、それが政党としての人気にまではつながるか。

「希望の党」は、小池氏側近の若狭勝衆院議員や細野豪志元環境相が設立準備を協議していた。そこに小池氏が「(協議を)リセットして私が立ち上げる。新しい党として結党宣言をさせていただく」と突然記者会見をおこなった。「会見のことはいつ聞かされたのですか?」と記者に訊かれた若狭議員は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で、「少なくとも今日ですね」と日本語になっていない回答をしていたが、その場面をテレビで視て、僕は「これはダメだな」と思った次第である。

よって衆院選のメインシナリオは「与党勝利」、しかも「与党の圧勝」とする。

与党勝利の意味
それを前提として、与党の圧勝が株式市場にどのような影響を与えるか考える。

選挙後の株価推移だが、過去のパターンは当たり前だがケース・バイ・ケースで参考にならない。問題はこの選挙がどういう意味を持つかだ。ここで与党が勝てば来年の自民党総裁選で安倍首相の3選が濃厚になる。そうなれば安倍政権は歴代最長政権となる可能性もあり、長期的に政権が安定するというのは投資にとって政治リスクが低いという意味で一般的に好材料。

なんだかんだ言ってもアベノミクスで相場が上がったのは事実だから、アベノミクスの方向転換がない、というのが安心材料になる。長期政権では構造改革が進むというのが本質的な要点だが、今回は18年4月に任期が切れる黒田総裁の後任人事の思惑が相場に与える影響が大きいだろう。人事というのは、正しくない。ちょうど残り半年で与党が勝てば、黒田さんが再任されるか新しい総裁が決まるかにかかわらず、アベノミクスの緩和路線が継続する期待が生まれる。出口に進む欧米との差が一段と鮮明になって円安の材料になる。今回の選挙はそのダメ押しになるだろう。

昨日の記者会見で安倍首相は開口一番、こう述べた。
「5年前、国民の皆様のお力を得て、政権を奪還しました。当時、私たちが公約に掲げた大胆な金融政策には、大変に批判がありました。しかし、総選挙で勝利したからこそ実行に移すことができた。アベノミクス3本の矢を放つことで、日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。」

金融緩和こそアベノミクスの成果だといわんばかりである。安倍首相自らこういうスタンスであるから、安倍政権継続は金融緩和路線継続という意味に市場はストレートに受け取るであろう。

首相は選挙の焦点に2019年10月に予定する消費増税の使い道を幼児教育の無償化などに広げることを挙げた。「人づくり革命」の事業費は2兆円規模。一方で財政再建に回る税収が減る。これにより20年度としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標の達成は先送りされる。そしてアベノミクスの金融緩和路線は継続されるだろう。日銀が大規模緩和で政府の財政悪化を支える「財政ファイナンス」がさらに加速する。これは早晩、悪い金利上昇、悪い円安につながるだろう。

株式市場にとっては、円安に良いも悪いもない。円安を追い風に年末にかけてセンチメント(市場心理)が改善、PERも切り上がる。年初の水準で、かつ長期的な平均値である15倍に戻るだけで、22,000円は達成可能。年初にモーサテ等で掲げた22,000円という予想を維持したい。

いざなぎ越えの景気が株価堅調の根本的要因
いま株価はアベノミクス相場開始以来の高値圏に迫っているが、景気がいいから株価が堅調という至極納得的な理由がある。安倍政権誕生と同時にアベノミクス相場がスタートしたが、実はその安倍政権誕生の2012年12月から今回の景気拡大局面も始まっている。正式な認定はこれからだが足元では「いざなぎ景気」の57カ月を抜いて実質的に戦後2番目に長い景気拡張期間となっている。

実は2014年4月の消費増税でいったん腰折れした。景気動向指数は14年3月をピークにほぼ2年間右肩下がりだった(グラフ参照)。

緑:景気動向指数(一致指数)青:日経平均 黄:ドル円

(出所:Bloomberg)

政府公式見解は景気後退ではないというがエコノミストのなかには実際には景気後退だったというひともいる。ただ14年秋の黒田バズーカ2で円安になり企業の業績は助けられた。2014年度は、GDPはマイナス成長だが企業業績は最高益というマクロとミクロが乖離したシンボリックな年だった。株価は景気離れしていたと言える。

今はどうか?去年の夏ごろより明確に景気が上向いてきた。GDPは6四半期連続のプラス成長だ。そのため、むしろ円高でも株価はしっかり。今度は為替離れしてきた。為替離れは今年に入って明確になっている。2014年とは反対に、いまの株価は景気に連動している。企業は円安に頼らなくても利益が出せる収益構造に変わった。そこに世界的な景気の好循環が巡ってきている。株価がこの流れに沿う動きとなるのは自然なことであろう。

来週、日銀短観が発表される。民間調査機関の予測では大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス18で、4四半期連続の改善となる見通しだ。4四半期連続で改善すれば、2012年12月~14年3月の5四半期連続以来となる。つまりこの景気拡大とアベノミクス相場が始まった時と同じような景況感にあるわけだ。景況感に照らしてもアベノミクス相場始動時の再現が期待される状況である。

となると、今後もこの景気拡大が続くのか?というのがポイントになる。日本経済はグローバル景気との連動性が高い。その点、いまは稀にみるグローバル景気の安定期。米国も中国も欧州も新興国もいい。懸念はむしろ国内消費だ。このところの景気拡大は個人消費の堅調に支えられてのものだが、7月の毎月勤労統計調査によると、名目賃金にあたる現金給与総額は前年同月比0.6%減と、速報値(0.3%減)から下方修正となった。減少幅は2015年6月(2.5%減)以来の大きさだった。ボーナスが減ったのが背景で基本給は変わっていないが、上昇が鈍いというのが変わらない。業績好調の企業が賃上げに動くかどうかが消費の鍵を握り、それが景気拡大・株価上昇の持続性を決定するだろう。

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1か月前

決算後に強気の評価が増えた銘柄は

7月下旬からスタートした3月決算企業の第1四半期の決算発表も先月中旬に終わりました。したがってアナリストによる業績や目標株価、さらに投資判断の見直しもずいぶんと進んだと思われます。そこで今回はTOPIX500採用の3月期決算銘柄を対象に決算後に強気(強気とやや強気の合計)の評価が2人以上増えたものをピックアップしてみました。

そのなかで強気の評価が3人増えたのが出光興産(5019)とコマツ(6301)で、出光興産では決算発表前に1人だった強気評価が4人に、そしてコマツでは4人だったものが7人となり、コマツでは強気評価の割合が3割弱から5割まで上昇しています。また、JSR(4185)とデンソー(6902)、トヨタ(7203)でも決算後に強気の評価がそれぞれ2人増加しています。

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1か月前

上方修正が物足りない銘柄は

3月決算企業の第1四半期決算発表も先月中旬に終わりましたが、日本経済新聞の集計によるとこの第1四半期は上場企業の約7割が増益を確保し、2割を超す経常増益となったようです。そしてこのように好調な決算となるなかで通期の業績予想を第1四半期から上方修正する企業も少なからずみられましたが、そうした銘柄のなかには上方修正が物足りなくみえるものもあります。

そこで今回は上方修正に踏み切った3月決算銘柄のなかから上方修正後の会社予想とコンセンサス予想が10%以上かい離している銘柄をピックアップしてみました。例えば上方修正で一桁の増益予想が二桁の増益予想となったファナック(6954)ですが、それでも上方修正後の会社予想とコンセンサス予想は15%近くかい離しています。また、減益予想が増益予想となった古河電気工業(5801)でも会社予想とコンセンサス予想が10%かい離しています。

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1か月前

リーマン・ショック後に一番あがっている指数とは? ~好業績の割安銘柄をご紹介~

パフォーマンスが非常に良い東証2部指数

東証2部、についてどのようなイメージをお持ちだろうか。もしかすると「地味」「売買が少ない」「よく知らない銘柄が多い」「値動きがあまりない」といったイメージをお持ちの方も多いかもしれない。ただ、リーマン・ショック後に一番上がっている国内の主要株価指数が東証2部指数であると聞くと、やや意外に思われる方が多いのではないだろうか。

以下のグラフ1は日経平均、TOPIX、日経ジャスダック平均、東証マザーズ指数、東証2部指数の国内主要5指数について、リーマン・ショックが起きた2008年の年末を100としてその後の推移を示したものである。表の通り東証2部指数は2008年末比3.4倍となっており、5指数の中でトップのパフォーマンスである。逆に日経平均は2.2倍、TOPIXは1.9倍と東証2部指数や新興市場の指数に比べて低パフォーマンスであることがわかる。

前述したようなイメージから東証2部上場というだけで、投資対象として遠ざけている方も多いかもしれない。もちろん流動性等の考慮は必要なものの、単純に東証2部上場というだけで投資対象から外しているのであれば、ややもったいないと筆者には思える。東証2部上場銘柄の多くは証券会社のアナリストによる分析がなされていない。筆者にはそういった銘柄にこそ、本来その銘柄が持つ価値とマーケットでの評価に乖離が生じやすく、個人投資家にとって投資チャンスが増えやすいのではないかと考えている。

ただ現在の東証2部指数は指数としてはややいびつであると言わざるをえない。表1は東証2部指数の構成銘柄のうち、指数のウェイトが高い銘柄である。今年降格した東芝(6502)が23%、昨年降格したシャープ(6753)が10%と2銘柄で33%以上を占めているのである。

実際今年に入って、東証2部指数は約1,400ポイント上昇しているがそのうち約530ポイントは東芝とシャープの上昇によるものである。ただ、両銘柄が東証2部指数に採用される前から同指数は継続的に上昇しており、決して2銘柄だけで上昇したというわけではない。本レポートでは、東証2部指数の現在のバリュエーションや好業績にも関わらず割高感のない銘柄などをご紹介したい。

東証2部指数のバリュエーション

これだけ指数が上昇すると、東証2部市場全体が割高なのではないかと懸念される。まずその点を見ていこう。グラフ2は東証2部指数と予想PERの推移を示したものだ。このグラフを見るとこれだけ上昇している東証2部指数だが、現在の予想PERは14倍弱と過去の水準から照らしてかなり割安に見える。ただ、ここにも前述の東芝とシャープの影響が色濃く出てしまっている。PERは時価総額÷純利益で計算されるので、時価総額も純利益の金額も大きい2社の影響が大きいのである。そこで筆者は2社を外した独自の予想PERを計算してみた。PERの計算の元に使うユニバースは最新の2部指数の採用銘柄を利用しているため、厳密には過去の銘柄入れ替えを反映しておらず正確ではないが参考指標として使う分には大きな問題はない。それがグラフ3である。

グラフ3をご覧いただくと東芝とシャープの影響を除いた現在の予想PERは16倍程度と期間中の平均(15倍強)からやや上にあることがわかる。大幅に割安というわけではないが、少なくともバブル的に株価が割高になっているということはなさそうなので、好業績の割安銘柄をピックするには良い状況かもしれない。

投資妙味がありそうな東証2部上場銘柄は

それでは今回も業績の伸びがしっかりしているのにもかかわらず株価に割高感がない銘柄をご紹介していこう。具体的なスクリーニング条件は以下のとおりである。

<スクリーニング条件>
・東証2部上場銘柄
・過去4期分の通期業績が取得可能
・直近3期の通期業績がいずれも前期比で増収・営業増益
・今期の通期の業績予想も増収・営業増益見込み
・予想PERが筆者算出の東証2部の平均PER(16倍)以下
・今期予想の売上高営業利益率が5%以上

上記の条件でスクリーニングしたところ、以下の11銘柄が抽出された(表2)。桧家ホールディングス(1413)、大盛工業(1844)、コーセーアールイー(3246)、ニチリン(5184)、ノザワ(5237)、エスティック(6161)、カネミツ(7208)、エリアクエスト(8912)、日本社宅サービス(8945)、アルプス物流(9055)、旭情報サービス(9799)の11銘柄である。

最後に各銘柄の過去5年間と今期予想の業績およびビジネスの概要をご紹介する。参考にしていただければ幸いである。

桧家ホールディングス(1413)
企画型注文住宅の請負、施工を手がける。コンクリート住宅や断熱材事業、介護保育事業も行っている。直近発表された中間決算では売上の柱は注文住宅事業だが、利益の柱は断熱材事業である。

大盛工業(1844)
下水道工事に特化した建設会社。収益多角化のため不動産事業、太陽光関連事業も手がけている。東京都から施工不良に伴い損害賠償訴訟を提起され、約2億円の賠償金の支払いを行うことを発表している。

コーセーアールイー(3246)
福岡県を中心に居住用および投資用のマンション販売を行っている。業績にしめるウェイトは低いが、賃貸管理やビルメンテナンスなども請け負っている。9月上旬に今期の売上高や利益予想を上方修正した。

ニチリン(5184)
自動車用ホースの大手。2輪用ブレーキホースでは100%近い国内シェアを確保。海外売上高比率が約7割に達する。特定の自動車メーカーの傘下ではなく独立系である。

ノザワ(5237)
ビルの外壁に使われるセメント板メーカー。高単価の向上塗装品が好調で、今期は史上最高益更新見込み。

エスティック(6161)
電動ネジ締め装置が主力で、主に自動車会社向けに出荷している。国内と海外の売上高はほぼ半々。

カネミツ(7208)
自動車向けの部品メーカーで滑車分野では国内首位。日本の全自動車メーカーと取引実績がある。

エリアクエスト(8912)
ビルテナント誘致を手がける。サブリースやビルの管理なども拡大中。

日本社宅サービス(8945)
借り上げ社宅管理代行を行う。マンション管理や修繕工事も手がける。

アルプス物流(9055)
アルプス電気の子会社で物流専門。海外向け売上が約4割。

旭情報サービス(9799)
企業内ネットワークシステムの構築などを手がける独立系情報サービス会社。

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