Category : マネックス

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7時間前

年後半の投資戦略

いよいよ来週から7月、今年も折り返し、後半戦に入る。昨日出演したテレビのニュース番組で、株式相場の季節性の話をした。株式相場は年前半のパフォーマンスが良く、後半が悪い。これは世界共通で「ハロウィン効果」としてよく知られている。半年間のバイ&ホールドのパフォーマンスを調べると、10月末(すなわちハロウィンの頃)に買って、4月までの6カ月が一番パフォーマンスが良く、次が11月末-5月末までの6カ月、次が12月-6月、と続く。つまり、冬から初夏までが株の季節で、夏から秋は振るわないである。なので、いちばんの投資戦略は、秋まで買い場をじっくり待つ。「休むも相場」である。

しかし、お客様に休まれてしまっては証券会社的によろしくないので、こちらとしても何とか商いをしていただく方便、いや材料を探すわけである。

まず、絶対に夏がダメというわけではない。統計的に、平均をとると夏場のパフォーマンスが悪かった、という過去形である。実際、昨年2016年で一番パフォーマンスが良かった月は7月(6.2%上昇)であった(日銀によるETF買い入れ額の増額があったからだが...)。

今年は堅調な企業業績が相場の下支えになるだろう。PERはまだ14倍台前半である。2015年につけた高値に並んだとしてもPERは14倍台のままだ。じゅうぶん射程圏内にある。7月下旬から始まる4-6月期の決算発表で、引き続き業績の安定性を確認すればバリュエーションの修正があるだろう。14倍台前半から後半へ - その程度のPERの変化で日経平均は前回の高値を抜いて2万1000円をつける可能性がある。

日経平均の一目均衡表を見ると、雲の下限が段階的に切れ上がりながら上限はさらに上方に拡大し、雲全体が厚くなっている。7月にかけて相場の先行きは堅調と見てよいのではないか。

買うならモメンタムの出ている銘柄の順張りがよい。

株式市場のリターンをいろいろな要因(ファクター)について分析するファクターリターン分析というものがある。代表的なファクターは、時価総額(大型株⇔小型株)、PERやPBR、配当利回り等のバリュエーション指標(割安⇔割高)などが挙げられる。例えば、一定の期間、時価総額というファクターのリターンが大きくプラスに出ていれば、その期間は大型株が買われ、小型株はパフォーマンスが悪かった、ということである。

相場がモメンタム優位なのかリターン・リバーサルなのかを調べる「過去リターン」というファクターがある。期間は1カ月、3カ月、6カ月、1年などの過去リターンが一般的だと思われる。QUICK アストラマネージャーのファクターリターン分析機能を使って、ファクターリターン過去の季節性を調べたところ、「過去1年リターンが高かった銘柄」のリターンは下記のグラフの通りであった。

1月-5月はマイナスであった(2000年以降の平均)。この間は過去1年のリターンが高かった銘柄はパフォーマンスが悪く、過去1年のリターンが低い銘柄のパフォーマンスが良かった。つまり、年前半はリバーサルが効いたということだ。それがちょうど6月を境に反転している。7-9月は過去のリターンが高い銘柄が成果をあげやすい傾向がある。順張りが有効ということだ。

この過去の傾向をもとに、昨日のテレビでは、「夏は順張り」(「春はあけぼの」みたいなかんじで)と述べてきたけど、少し気になることがある。今年はすでに5月から「過去1年リターン」のファクターリターンがプラスになっていることだ。そういえば今日の日経新聞「スクランブル」も、モメンタムに触れていた。「スクランブル」の記事は割高な高PBR株がさらに買い進まれていると指摘。懇意にしている独立系ストラテジストの大川智宏氏による「統計学的には0.1%の確率でしか起きえないレベルの格差で『バブル状態』だ」とのコメントが紹介されていた。

PBRファクターは通常、年前半によく効く。「春はPB」とも言われる(ウソです)。そして夏場から秋にかけて効果が落ちる。今年はすでに5月から大幅なマイナスのファクターリターンを記録している。

少し気になることというのは、今年は例年のファクターリターンの季節性が当てはまらないのではないかというものだ。今の流れがどこかで変わって、「バリュー株の逆襲」(この言葉はある記者の専売特許だったが)が起こるシナリオも頭の片隅に残しておきたい。

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1日前

高配当利回りの12月決算銘柄は

株式投資では株価の値上がりに関心が向かいやすいといえますが、株式投資には配当や株主優待といった魅力もあります。こうしたなか6月は3月期決算銘柄に次いで企業数が多い12月決算銘柄の中間期であることから比較的多くの高配当利回り銘柄をみつけることが可能です。そこで今回は中間配当を実施予定の12月期決算企業のなかから配当利回りが2.5%以上の銘柄をピックアップしてみました。

そのなかには配当利回りが3%台のものもみられ、ビーピー・カストロール(5015)や昭和シェル石油(5002)では配当利回りが3.6%台となっているほか、クリエートメディック(5187)やGCA(2174)、JT(2914)でも3.5%前後の配当利回りとなっています。さらに住友ゴム工業(5110)やブリヂストン(5108)でも3%近い配当利回りとなっています。なお、取り上げた銘柄の権利付き最終売買日は6月27日です。

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4日前

半年で外国人持ち株比率が大きく上昇した銘柄は

昨年9月末に16,000円台半ばだった日経平均は、米大統領選の結果を受けて11月から水準を切り上げると12月には19,000円台半ばまで上昇しました。その後18,000円台後半から19,000円台半ばのボックス圏で推移した日経平均は19,000円を小幅に割り込んで3月末を迎えています。そしてこの間に外国人投資家は日本株を1兆2000億円以上買い越しています。そこで今回は昨年9月末から今年3月末までの半年間に外国人持ち株比率が大きく上昇した銘柄を取り上げてみました。

具体的にはTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に昨年9月末に比べて今年3月末の外国人持ち株比率が5ポイント以上アップしたものをピックアップしています。そのなかでも特に上昇が目立ったのがミネベアミツミ(6479)で、2社が合併したこともあってかこの半年で10ポイントも外国人持ち株比率が上昇しています。また、富士通(6702)でも7ポイントアップし、外国人持ち株比率が50%近い水準まで上昇しています。

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6日前

高値を付けながら上値余地のありそうな銘柄は

日経平均が20,000円の大台を回復し年初来高値を更新しています。今月2日に一年半ぶりに20,000円を回復し年初来高値を付けた日経平均はその後20,000円を割り込んだものの、25日移動平均線にサポートされる格好で底堅さをみせ下げ渋ると一昨日には20,000円を再び回復しました。そして昨日に162円高と続伸した日経平均はおよそ半月ぶりに年初来高値を更新しています。

このように今月に入って日経平均が高値を更新するなか個別銘柄でも高値を付ける銘柄がみられます。そこで今回は高値を付けながらさらに上値余地のありそうな銘柄を探ってみました。具体的には今月に入って年初来高値を付けた銘柄で目標株価コンセンサスがその高値を5%以上上回るものをピックアップしています。例えば今月9日に高値を付けたソフトバンクグループ(9984)では目標株価コンセンサスが高値を15%近く上回っています。

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2週前

日銀は想定通りの政策維持。当面日米金利の急激な変動に注意

● 米国は想定通り0.25%利上げ。かつ、FRBの保有する資産の年内圧縮を発表。しかし足元の物価上昇率は低く、追加利上げの時期は不透明に。

● 日本は、前回から金利、資産購入目標とも現状維持。金利は会合後日米ともに大きく変動し、これに為替も連動。選挙イベント消化で、当面金利動向に注目が集まるだろう。

● 注目は米国の金融政策。資産縮小早期開始の憶測もあり、金利変動が大きくなる可能性。米国のインフレ率が回復しなければ、利上げ期待が後退し再度円高に向かうリスクも。

日米金融政策のポイント

日本:6月16日、日銀の金融政策決定会合で金融政策の現状維持が発表された(金融政策の概要は後掲図表8を参照)。

政策金利は、物価上昇率に依然として勢いがないことや(図表1)、かといってマイナス金利は、銀行、投資家、消費者など多くの市場関係者から不評を買っていることから(図表2)、しばらくは動かすのは難しそうだ。

また、資産購入目標額の減額についても、既に実質的には買い入れ額を減額していることも考えれば、今後の政策に柔軟性を残すためにも、急いで目標値を変える理由も乏しい。

一方、イールドカーブ・コントロールでゼロ%程度に固定している10年国債金利は、実態に合わせて引き上げられる時が来るかもしれないが、それもインフレ率などの環境がある程度整ってからになるだろう。これらのことから、日銀の政策金利については、今後も、しばらく動きはないと思われる。

米国:6/14に発表された米国の政策金利は、想定通り0.25%引き上げられ、1%~1.25%とされた。同時にバランスシート縮小を年内に開始するとの計画も公表された。これによれば、国債については、当初3か月で米国債180億ドルと住宅ローン担保証券120億ドルの合計300億ドルを圧縮。その後圧縮幅を拡大していき、資産規模は当初1年間で、最大3000億ドル縮小、翌年は最大6000億ドル縮小する(図表3)。

次の焦点は、こうしたバランスシート縮小がいつ始まるのか、それは金利と同時進行なのか、という点に移る。市場には、9月にも縮小がスタートするという予想が広がりつつある。

しかし、足元で米国の消費者物価上昇率は低下している(図表4)。失業率の低さの割に賃金の上昇は鈍く、消費を支える個人ローンも減速してきた。資産縮小の憶測と弱い消費者物価指数の数値を受け、9月利上げの見通しはやや後退している(図表5)。

金融政策の市場への影響と当面の見通し

欧州の選挙イベントが一服し、地政学リスクについても市場がある程度慣れてきてしまった今、金利動向がドル円レートに与える影響は大きくなるだろう(図表6、7)。

日本の短期金利はしばらく動きようがないことから、米国金利の動きが当面最大の焦点となる。失業率がかなり安定してきた今、インフレ率とこれを支える賃金の動向が注目される。インフレ率がこのまま上昇しなければ、米国の利上げペースの鈍化観測が広がり、日米の金利差拡大から円高に振れる可能性が高まるだろう。

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2週前

10社以上が目標株価を引き上げた銘柄は

投資のヒントでは決算発表を受けてアナリストの業績や目標株価の見直しが進むなか、決算発表後に目標株価の引き上げがあった銘柄を取り上げてきましたが、なかにはその後も目標株価の引き上げが相次いでいるものもみられます。そこで今回は決算発表後に10社以上と数多くの目標株価の引き上げがみられる銘柄をピックアップしてみました。

そのなかでも特に目標株価の引き上げが目立つのが東京エレクトロン(8035)で、決算発表後に17社もの証券会社が目標株価を引き上げています。また、任天堂(7974)やスズキ(7269)でも13社が目標株価を引き上げたほか、SMC(6273)と日立(6501)、京セラ(6971)では12社が、そしてソニー(6758)では11社が目標株価を引き上げています。

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2週前

利上げに救われたマーケット

マーケットというものは、つくづく「想定外」を嫌うものだと思う。英国の総選挙は、メイ首相の目論見とは反対に、まさかの保守党惨敗に終わった。その結果を受けた東京外国為替市場ではポンドが全面安となり対円では4月以来の安値を付けた。解説では国内政治の混乱やそれによる欧州連合(EU)離脱交渉への影響に対する懸念が強まったから、と言われるが、そもそも市場はメイ首相が進めようとする「ハードブレグジット(強硬的なEU離脱)」を懸念していたのではないか。選挙の結果は英国の世論がひとつにまとまっていないことを示す。「ハードブレグジット」推進派が勢力を失ったとも捉えられるのだから、市場にはポジティブではないか。それにもかかわらずのポンド売りは、ほぼ条件反射的・機械的な、「想定外」となったことへの反応だろう。実際にそういうアルゴリズムがたくさん走っているだろうから、まさに「機械的」な反応になるのも無理はない。

米連邦準備理事会(FRB)は13-14日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定した。FRBはフェドファンド(FF)レートの誘導目標を、年0.75~1.00%から1.00~1.25%に引き上げた。

注目された今後の利上げペースは、3月と今回を含めて年3回とする中心シナリオを維持、すなわち年内もう1回の利上げを見込んでいるということである。18年は3回、19年も3回程度の利上げシナリオを示した。これは3月の見通しとほぼ同じである。

FRBは声明で、年内にバランスシートの正常化に着手することを正式に表明した。バランスシート縮小の工程表も公表した。それによると満期を迎えた債券への再投資を徐々に減額していく計画だ。米国債が月60億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)などは月40億ドルを上限とし、3カ月ごとに上限を引き上げて1年後には米国債が月300億ドル、MBSなどは月200億ドルとする。

これらのFOMCの決定は、ほぼ市場の予想通り、「想定内」の結果だった。だからこそ、昨日のNY市場のクロージングは穏当なものとなった。NYダウは46ドル高の2万1374ドルで終え、連日で過去最高値を更新した。ドル円相場は1ドル109円50~60銭で取引を終えた。前日より円高になったが、それでも朝方(NY時間)の安値からは大きく戻した。FOMCの結果が「想定内」だったからである。

通常、利上げやバランスシートの縮小などの金融引き締め策は、リスク資産にとって逆風である。特に、ナスダック市場のハイテク株が不安定になっているタイミングとも重なった利上げである。警戒感はあったが、終わってみれば、利上げに救われた格好だ。予想通り利上げしてくれてありがとう、といった感じである。FRBが市場の期待(=予想)通りに動いてくれたことで市場に安心感が生まれ、波乱は起きなかった。

特に救われたのはドルだろう。一時は108円81銭と4月20日以来、およそ2カ月ぶりの水準まで円高・ドル安が進んだ。朝方に発表された5月の経済指標が弱いことを嫌気したものだ。5月の小売売上高は1年4カ月ぶりの大きな落ち込みとなった。5月の消費者物価指数(CPI)も予想に反して前月比で0.1%下落し、エネルギー・食品を除くコア指数も市場予想に届かなかった。コアCPIの前年同月比は1.7%で、2015年5月以来の小さな伸びにとどまった。

これまで、FOMCの結果は「想定内」、前回3月とほぼ同じと述べてきたが、少しだけ修正があった。公表された経済見通しでは、2017年の成長率予想が2.2%と、3月時点から上方修正された半面、17年末時点のインフレ率予想は1.7%と、前回の1.9%から引き下げられた。これは小さいようで、あとあと大きな波紋を起こすことにつながるだろう。

FRB自身がインフレの目標から遠ざかっていることを認めながら、それでも年内あと1回の利上げを見込んでいる。これは大きな矛盾である。このままインフレが加速してこなければ、FRBの利上げ計画は修正を迫られるだろう。「FRBが市場の期待(=予想)通りに動いてくれたことで市場に安心感が生まれ、波乱は起きなかった」と述べたが、市場の織り込みがあまりにも行き過ぎたために、ここで利上げしないという選択肢がFRBにはなかったというのが実のところだろう。利上げを見送っていたら、ドル円相場はいまごろ奈落の底に沈んでいたかもしれない。

本稿のタイトルは、「利上げに救われたマーケット」であるが、「マーケットに強要された利上げ」といったほうがいいかもしれない。今回はすべて想定通りで波乱なしで乗り切ったが、9月はどうか。視点の軸は、市場の織り込み方だ。9月の利上げを市場がここから織り込んでいけばドル高円安が進む。織り込めなければ円高となる。だが、9月の利上げを市場が織り込みにいくケースで、9月にはFRBが市場の期待に応えてくれるとは限らない。波乱の芽は3か月後に持ち越されたように思う。

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2週前

日米金融政策決定会合プレビュー:米国の9月利上げ期待は維持できるか

-今週の日米政策決定会合については、各種指標等をみる限り、大きなサプライズは考えにくい。米国は0.25%の引き上げ、日本は、金利、資産購入のメド等の据え置きを予想する。

-日本の個人投資家は物価上昇に懐疑的。エコノミストの間では日銀の次の方向性は「引き締め」という見方が大勢を占めるが、個人が物価上昇を信じない限り、日銀はアクションをとりにくいだろう。

-日米の短期金利差は開く方向。だが、長期金利については、米国では足元の景気拡大ペースの鈍化で縮小も。ドル円レートの動きは限定的とみられるが、金利の動き次第ではやや円高に向かう可能性。

各国の金融政策の方向性:日本以外は早晩引き締めへ
今週は、日本、米国、英国で相次いで政策金利決定会合が開催される(図表1)。今回は、これまでの経済指標や当局関係者の発言から、サプライズ無しで「日本は金利、量的目標ともに維持、米国は、0.25%の引き上げ」と予想される。なお、年初に利上げ予想も出ていた英国は、政治的混乱などから、変更は先送りで、政策は維持される方向とみられる。

日本:注目点は景気判断の表現

日銀の景気判断は、4月の前回会合で「緩やかな拡大に転じつつある」と上方修正され 、約9年ぶりに「拡大」という表現が盛り込まれた。今回の会合では、景気判断の表現をどのように修正するかが注目される。もっとも、景気は、国内消費が盛り上がらない分"海外頼み"であり、先行きが読みにくい。しかも4月に上方修正したばかりであることから、今回大きな調整は考えにくいだろう。

米国:注目点は、中央銀行の資産縮小の具体策、懸念要因への言及

市場では、イエレン米連邦準備理事会議長が、これまで積み上げてきたバラスシートをどう正常化(縮小)するか、その時期や規模について言及するかどうかが注目されている。しかし、現時点では、国内の政策の混乱、欧州(特に英国)の不透明性から、そこまで具体的なタイミングや規模は示しにくいだろう。12月、3月に次いで、今回6月と、四半期ごとに0.25%ずつ、着実に利上げを続けるだけでも十分なペースともいえる。

また、先行き見通しについて、どのような点をリスク要素として挙げるのかも注目される。例えば、直近の期待インフレ率の低下(図表2)や雇用者数の伸びの鈍化、海外の政治経済情勢など、何らかのリスクの増大について言及されると、9月の利上げ予想の低下に繋がりうる。

今後の方向性

今後半年程度で見ると、日本以外は概ね金融引き締めの方向性が示唆されている(前掲図表1)。米国では、9月か12月の再利上げ(当方では12月を予想)、カナダでも中銀幹部から利上げの方向性が示唆されている。欧州も、先週のECB理事会で、インフレ見通しは下方修正されたものの、追加利下げは打ち切る方針が示され、出口への"地ならし"が始まった。

一方日本については、超緩和的な金融政策が維持されることが予想される。依然として消費者物価が低迷し、上昇への不信感が根強いためである。

弊社が5/29~6/2に個人投資家向けに行ったアンケート調査では、消費者物価指数に対する見方は引き続き慎重だという結果が出た。「日銀はインフレ率2%達成を「2018年度頃」としていますが、達成できると思いますか?」という問いに対しては、前回調査同様、7割以上の高い比率の回答者が「達成できない」と回答している(図表3)。

また、金融政策のインフレ期待形成に対する貢献についても、「貢献していない」という回答が半数近くに上り、「貢献している」という回答の3倍近かった(図表4)。

これらの予想を反映し、次の金融政策は「緩和方向」という予想が「引き締め方向」という予想とほぼ拮抗している(図表5)。これは、ブルームバーグが市場のアナリスト・エコノミスト向けに行っている調査で「引き締め方向」が圧倒的であることと対照的である(図表6)。個人の方がより低インフレの実感が強く、結果として引き締めは時期尚早と強く感じている様子が伺われる。

もしこれらの個人の感覚を日銀が正しく捕らえていれば、引き締めと取られるような行動も表現も、まだ封印しておくだろう。逆にもし現時点で引き締めの方向性を示した場合、個人の投資消費マインドの落ち込みが懸念される。

仮になんらかの政策変更が取られた場合、市場への影響はどうか。個人投資家アンケートによれば、以下の施策がとられた場合、投資に対してポジティブになれるとしている(図表7)。

第一位は「マイナス金利の停止」という回答である。これは金融引き締めになるので、理論的にはマインドを冷やすはずだが、「その施策がマインドを冷やした」ため、「良いニュースとして市場に好感されそう」ということで期待されているようだ。

米国:会合後、9月追加利上げの確度次第:足元では追加利上げの強いメッセージは出しにくい環境

今週の利上げは殆ど"所与"のものだとしても、今後の追加利上げの時期については市場の意見は分かれている。最も多いのは、「9月」であるが、今回の会合後、この早期追加利上げの期待が拡大すれば、金利は上昇し円安・ドル高方向に向かうだろう。

しかし、前述の通り、足元では若干国内市場にも弱い動きが見えている。潜在成長率などから算定される「自然利子率」(中立的な金利)も低迷している。9月に向けて利上げ方向を強く示すような発言は出しにくい環境だと考える。

日米政策決定会合後の金利、為替の動きは?

想定通りの米利上げ・日銀政策維持に加え、米国の9月の追加利上げ期待が低下した場合、このところの米国の金利持ち直しの動きに水をさすだろう(図表8)。日本の金利も緩やかながら上昇傾向にあり、金融政策決定会合後には、米国の9月利上げ期待が維持できなければ、若干円高ドル安に触れる可能性があるだろう(図表9)。

金利など政策会合の"結果"については見どころは少ないものの、声明文やコメントなどのニュアンスには十分注意を払いたい。

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2週前

一年を通して業績の上振れが続いた銘柄は

日本経済新聞の集計によると上場企業の2017年3月期の決算は急ピッチで進んだ円高の影響で売上高が前の期に比べ減収となったものの、2年ぶりに増益となりました。期初には3%を切る増益予想だったものが、上振れて7%余りの経常増益での着地となっています。このため四半期決算のたびに業績予想の上方修正を繰り返してきた銘柄もなかにはみられます。

そこで今回は前期に三度も上方修正をしながらその予想をさらに上回る実績を残した3月決算銘柄をピックアップしてみました。例えば上方修正を繰り返してきたファナック(6954)ですが、前期の営業利益の実績は第3四半期時点での会社予想をさらに1割近く上回っています。また、三菱瓦斯化学(4182)の実績は期初予想の2倍近い水準での着地となっています。

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2週前

大幅な減益予想ながら増益で着地した銘柄は

日本経済新聞の集計によると上場企業の2017年3月期の決算は急ピッチで進んだ円高の影響で売上高が前の期に比べ減収となったものの、2年ぶりに増益となりました。こうしたなか第3四半期時点では減益を見込みながら、終わってみれば増益で着地した銘柄もみられます。そこで今回は第3四半期時点で二桁の大幅減益予想だったものの、結果は増益となった3月決算銘柄をピックアップしてみました。

そのなかには第3四半期時点で二桁の減益予想だったにも関わらず二桁の大幅増益で着地した銘柄も幾つかみられます。例えばピーエス三菱(1871)では第3四半期時点で2割を超す減益を予想していましたが、結果は3割近い増益となっています。また、一桁の増益に止まったものの、ニチユ三菱フォークリフト(7105)では、第3四半期に見通しを減益予想に下方修正しながら大きく上振れて増益で着地しています。

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3週前

最後の踏ん張りで増益を確保した銘柄は

日本経済新聞の集計によると上場企業の2017年3月期の決算は急ピッチで進んだ円高の影響で売上高が前の期に比べ減収となったものの、2年ぶりに増益となりました。しかし、こうしたなかで増益を確保した企業でもその決算を四半期ごとにみると、4四半期全てが増益だった企業とそうでない企業に分かれます。

こうしたなか昨日は4四半期全てが増益だった銘柄を取り上げましたが、今回は第1四半期から第3四半期まで前年同期比で減益が続いたものの、第4四半期が増益となり、その結果通期も増益となった銘柄をピックアップしてみました。そのなかで東急不動産ホールディングス(3289)や山洋電気(6516)、イリソ電子工業(6908)では決算発表後に株価が水準を切り上げる展開となっています。

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