Category : マネックス

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2日前

上方修正で大幅増益予想となった12月決算銘柄は

3月決算企業の第1四半期決算発表もほぼ終わりましたが、第1四半期ということもあって通期の業績予想を上方修正する企業はあまり多くありませんでした。しかし、3月決算企業の第1四半期決算発表と並行して行われていた12月決算企業の中間決算発表では折り返し地点ということもあって通期の業績予想の上方修正に踏み切る企業も比較的多くみられました。

そこで今回は業績予想の上方修正に踏み切った12月決算企業のなかから、上方修正でそれまでの一桁増益予想が二桁の大幅増予想となった銘柄をピックアップしてみました。例えばJUKI(6440)では3%余りの増益予想だったものが上方修正に踏み切ったことで30%近い増益予想となっています。また、アサヒグループホールディングス(2502)でも国内の飲料や食品事業の増収に加え、新たに連結した中東欧ビール事業が上乗せとなることなどで7%弱の増益予想が20%を超す増益予想となっています。

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4日前

世界の債務膨張: 高リスク債の動きを注視

● 足元で世界の高リスク債市場で不安定な動きが出始めている。株式の勢いの割に、銀行の高リスク債券であるCoCo債や高リスク債券には年初来の勢いがなく、北朝鮮問題後退後も回復がやや鈍い。

● 世界の負債総額は、金融危機以降、毎年約518兆円ずつ増加している。まだ金利が低く、銀行や債券投資家が積極的なので、借り換えに困るような問題企業は少ないが、今後、流れが変わる可能性もある。

● 銀行の引当金は過去最低水準で、リスクへの備えに不安も。金融危機の兆しはまだないが、一部の住宅価格等に行き過ぎ感があり、トレンドの節目に差し掛かっている可能性がある。高リスク債投資には注意したい。

高リスク債券に反転の動き

4月のフランス大統領選以降、不安要素の後退で、銀行債の価格は上昇を続けてきた。特に、世界的運用難を背景に、高リスクのCoCo債の価格はほぼ一貫して上昇してきた。ところが、8月に入ってから、CoCo債の価格が下落(取引利回りは上昇)し始め(図表1)、米国の高利回り債(いわゆるジャンク債)がこれに続いた(図表2)。CoCo債等は利回りが高いため(平均約6.5%)、日本の投信等にも組み込まれ、マイナス金利に悩む個人や地域金融機関などに販売されている。

足元の北朝鮮リスクの後退に伴い、銀行債については持ち直しているが、それでも、年初来の強さは見られない。特に米国ジャンク債は、今のところ殆ど反発していない。

世界の債務は膨張:銀行の備えは突然のショックに対してやや不安

こうした高リスク債の反発力が弱い背景には、世界的な債務の膨張に対するリスク意識の高まりがあるとみられる。

2008年のリーマンショック後の金融緩和で、世界の債務は毎年平均で518兆円ずつ増加し、2016年末時点では、160兆ドル、日本円で1京8, 000兆円まで膨張した (図表3)。 過去10年間の累積増加率は63%にのぼり、同じ期間のGDPの伸び率47%を大きく上回る。

企業のデフォルト(債務不履行)が急増し、金融危機が発生するサイクルは、およそ10年前後と言われている。そして、このデフォルトの急増に若干先行するのが、企業の利払い額である(図表4)。これは、規制や金融政策、銀行貸出や債券の平均的な期間、債券投資家のリスク選好度などが関係しているとみられる。

これまで8年間にわたり低金利が続いたことで、延命されている脆弱企業も多い。今後金融政策が正常化されると、そうした企業は淘汰されていくだろう。サイクル的にはそろそろそのような脆弱企業の淘汰の流れに入ってもおかしくない。

そこで懸念されるのは、銀行の備えができているかどうか、である。この数年、貸出金が増加している割には、将来の貸倒れに対する引当金はあまり積まれていない(図表5)。銀行の引当金は、主に過去のデータに基づいて計上されるため、景気サイクルに遅行してしまう。結果、また大きなショックが発生した場合には、銀行などに大きな損失が発生し、これが銀行の貸し渋りを生み、景気の足をひっぱる可能性が高い。

当面高リスク債は回避が無難

今のところ、金融危機の芽となるような巨大なリスクがくすぶっているような印象はない。しかし、住宅等資産価格が、一部の国で行き過ぎ感があるなど(図表6)、金融緩和・債務膨張の歪みが徐々に拡大している。

高リスク債は、景気回復期の株式と同様に、景気後退期の先行指標になる。まだしばらくは、政策の舵取りを見守る余裕はありそうだが、この数ヶ月のユーフォリアは陰を潜めつつある。銀行や企業の高リスク債への投資は当面回避し、9月以降ヤマ場を迎える米国の債務問題の行方、政策金利の動向やこれに対する市場の反応を見定めたい。

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2週前

【決算メモ】トヨタ(7203)

北米での競争激化が顕著にあらわれた第1四半期

トヨタが4日に発表した第1四半期(4-6月期)の営業利益は、前年同期比679億円減(10.6%減)の5743億円となりました。地域別にみると日本や欧州、中南米・オセアニア・アフリカ・中近東が増益となった一方で、北米とアジアが減益となっています。

特に足を引っ張ったのが北米で、アジアは為替変動の影響とインドネシアでの自動車ローンの規制強化などによる台数減などで217億円の営業減益となりましたが、北米は販売台数が71.5万台から72.3万台に増えたにも関わらず765億円の営業減益となっています。

この北米の減益のほとんどが販売奨励金の増加によるもので、新車販売が頭打ちとなっている北米市場での競争激化の影響が顕著にあらわれた格好です。たた、トヨタでは新型「カムリ」の投入などにより販売奨励金を今後抑制できるとみており、通期では第1四半期の倍程度の販売奨励金を見込んでいます。

トヨタは通期の営業利益の見通しをこれまでの1兆6000億円から1兆8500億円に上方修正しました。原価改善の努力や営業面の努力によるものもありますが、2500億円の上方修正のほとんどが為替の想定レートを円安方向(ドル円で105円から110円、ユーロ円で115円から125円)に見直したことによるものです。

為替の想定レートの見直しにより上方修正された営業利益の見通しですが、2兆円程度を見込んでいる市場のコンセンサスには届いていません。原価改善の努力や営業面の努力をさらに積み上げて市場のコンセンサスとのかい離をどこまで縮められるかが今後のポイントとなりそうです。

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2週前

雇用統計とダウ平均の9連騰

先週金曜日に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が20万9000人増加し、18万人程度を見込んだ市場予想を上回る伸びとなった。6月の雇用者数も当初発表の22万2000人増から23万1000人増に上方改定された。失業率は0.1%低下し4.3%と市場予想に一致、5月につけた16年ぶりの低水準に並んだ。時間当たりの平均賃金は前月比0.09ドル増加。前月比では0.3%増となり、これまで鈍化していたトレンドがいったん止まった。ただ、前年同月比では2.5%増と増加幅は4カ月連続で変わらず、賃金上昇が加速している兆候は見られない。労働参加率は62.9%と、前月の62.8%から上昇した。総括すると、労働市場の底堅さをあらわす非常に良好な結果だったと言える。メディアはいっせいに、FRBが9月からバランスシート縮小に着手するとの見方を報じた。

この雇用統計を受けて金曜日の米国株式市場は買いが優勢となり、主要株価指数はそろって上昇した。なかでもダウ平均は9日続伸、8日連続で史上最高値を更新した。10年債利回りは一時2.29%近くまで急上昇し、外国為替市場ではドルが買われた。ドル円相場は一時111円台をつける場面もあった。

雇用統計のプレビュー(8月4日付け「グローバル・マクロ・ウォッチ」)で、「7月は、雇用に関して6月よりも強い内容の月となるだろう。雇用が大きく拡大したというよりも、市場がより健全な反応を見せるという観点で」と述べたDeepMacroの見解はずばり正解だった。そして、それには懐疑的とした僕の見解は外れた。

だが負け惜しみでなく、この市場の反応は解せない。いまさら「米国の労働市場が堅調である」というニュースが株式市場にとっての好材料になるだろうか。むしろ、雇用統計の結果を受けて、FRBが緩和縮小(市場のコンセンサスでは9月から資産縮小開始、12月追加利上げ)に動く蓋然性が高まったことは、株式市場にとってはネガティブな材料のはずである。

ダウ平均が9日続伸してきたこの間に発表された経済指標はどれも冴えないものばかりであった。ダウ平均の連騰が始まったのが7月25日だが、その翌日26日にはFOMC声明が発表された。声明では物価上昇率について「全体でも食品・エネルギーを除くコアでも低下している」と前回から判断を弱めたことからドルが全面安となった。ダウ平均の上昇が加速したのはまさにそこからだ。ダウ平均は、米国の景気指標が弱く、金利が上がらず、ドルが売られる局面を連騰してきたのだ。米国景気は弱く、FRBの利上げは超スローペース、たぶん年内の利上げはこれ以上ないかもしれない、という憶測が高まるなかダウ平均は続伸してきたのだ。業績相場というより金融相場の色彩のほうが強い。だから堅調な雇用統計は少なくとも今の株式市場にはネガティブ材料のはずである。

労働市場が強いことが好景気の反映で、好景気だから企業業績も好調で株が買われた?まったくおかしなストーリーである。雇用が堅調なのは企業業績が好調だからであって(結果)、雇用状況が良好だと企業業績が良くなる(原因)わけではない。むしろ労働市場のひっ迫は賃金上昇など業績には悪影響を与える材料だ(ただ現状はそうなっていない)。

確かに好決算を発表した銘柄が買いを集めて相場のリード役となったケースはあった。ベライゾンやボーイング、シェブロンやキャタピラーなどだ。だが逆に言えばそれだけである。ダウ平均が9日続伸してきたこの間のパフォーマンスをみるとベライゾンやボーイングの上昇が突出している。この間のダウ平均の上昇率は2.7%だが、これを上回っているのは10位のP&Gまでである。つまりダウ平均構成30銘柄のうち上位3分の1しか指数の上昇についていっていない。それだけベライゾンやボーイング、シェブロンやキャタピラーなど一部の銘柄が指数を押し上げたということである。

ベライゾンは携帯キャリア間の競争が激化する中、動画再生ユーザーからのデータ利用無制限プランへの需要が急拡大し61万件強の純増となったことが好感された。実に市場予想の10倍以上だった。ボーイングとキャタピラーは、いわばオールド・エコノミーの銘柄だ。かつ、グローバル企業、すなわちドル安の恩恵を享受する。シェブロンの上昇は原油の持ち直しが要因。すなわち、米国の景気とは関係ない要素で買われている。

世界最大の経済大国、アメリカは巨大な自国内マーケットを有する。言い換えれば「巨大な田舎」で、企業の多くは内需企業だ。グローバル企業というほうが珍しい。米国でグローバルに展開する企業は、大企業で優良企業。すなわち、ダウ平均に採用されるような銘柄である。だから、ドル安メリットを材料に買われるのはダウ平均銘柄だけである。ダウ平均が9日続伸してきた期間の他の指数のパフォーマンスをみると、S&P500は横ばい、ナスダック総合は下落している。

「米国企業の好決算を受けてダウ平均は9日続伸、8日連続で史上最高値を更新」と報じられるが、米国株式市場全体が買われているわけではない。買われているのは、ごく一部の好決算銘柄とドル安の恩恵を受ける(数少ない)グローバル企業の一部、そして原油価格の持ち直しで資源・エネルギー関連が買われているだけである。

同じようにダウ平均が9日続伸してきた期間のパフォーマンスをセクター別にみると、1位が例のベライゾン、そして同様の理由で急伸したAT&Tに牽引された通信セクター。そして2位は公益セクターだ。通信、公益のディフェンシブ・セクターがトップ2というのは、まるで不景気の象徴だが、事実、発表されている指標がいずれも弱いので整合的である。3位の金融はボルカールール見直し期待で買われた。4位エネルギーは前述の通り。すなわち、ここ最近のダウ平均の上昇は、米国経済の強さを反映したものではまったくないということである。

決算発表など個別の材料でにぎわう銘柄があっても局地戦で相場全体に広がらない。買われるのはごく一部の銘柄で、その反対に乗り換えで売られる銘柄があるから相場全体があがらない。新規のマネーフローがないということだ。それは、そっくり日本株相場の状況でもある。さきほどの指数のグラフにTOPIXを追加するとこうなる。

つまりダウ平均だけが例外的な動きをしているだけで日米とも株式相場は動きがない、というのが実相である。

相場全体の方向性が出るのは、従前から述べている通り、今月下旬のジャクソンホール以降だろうと思う。

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2週前

8月は買物に役立つ魅力的な株主優待が盛りだくさん

8月は大手スーパーや百貨店、そして各種専門店など小売り銘柄の本決算や中間決算が集中する月ですが、こうした小売り企業には株主優待制度を導入しているところも少なくありません。そのため8月に権利が確定する株主優待には身近なお店で便利に利用できる買物券や割引券といった魅力的なものが数多くあります。そこで今回は8月の様々な株主優待のなかでも特に買物に役立つものにスポットを当ててみました。

例えば百貨店が割引のカードを発行しているほか、イオン(8267)はキャッシュバックの優待を実施しています。また、家電量販店や人気の専門店など馴染みのある店舗で利用できる優待も多く、買物に役立つ優待が盛りだくさんとなっています。なお、権利付き最終売買日は8月20日が権利確定となる銘柄が8月15日で、月末が権利確定となる銘柄が8月28日です。

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もう一つのヒント

明日の決算発表スケジュールは

3月決算企業の第1四半期決算発表が先週から本格化しており、今週も数多くの企業が決算発表を予定しています。明日はスズキ(7269)やSUBARU(7270)、ニコン(7731)、三井物産(8031)、三井不動産(8801)などが決算を発表する予定です。

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3週前

決算発表前半戦ピークのスケジュールは

先週20日の安川電機(6506)を皮切りにスタートした3月期決算企業の第1四半期決算発表も今週に入り本格化しています。こうしたなか明日は一段と決算発表を行う企業が増え、決算発表前半戦でのピークとなります。そこで今回はTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に明日の決算発表のスケジュールをまとめてみました。

明日はTOPIX500採用の3月決算銘柄で65社が決算発表を予定していますが、取引時間中に決算を発表する企業も多くみられます。例えば前場にはデンソー(6902)やコナミホールディングス(9766)などが、そして後場にはヤクルト(2267)やアイシン精機(7259)、豊田合成(7282)などが決算を発表する予定です。さらに取引終了後には新日鉄住金(5401)やコマツ(6301)、日立(6501)、TDK(6762)、ファナック(6954)などが決算発表を予定しています。

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3週前

IoT時代の電子部品と化学株

前回のレポートで、4-6月期決算について、「まだ第1四半期の決算なので通期見通しを修正する企業は少なく、結局のところ個別銘柄ベースでは大きく反応が出ても相場全体を動かすイベントにはなりにくい」と述べたが、これまでのところ、そのような状況になっている。安川電機の超ポジティブ・サプライズの好決算という非常に幸先の良いスタートを切った決算シーズンだが、相場全体の地合いを改善するには至らず、日経平均は2万円程度でのもみ合いに終始している。安川電機以降も信越化学や日電産など好決算が続いているが、あくまでも個別や当該業種のみの局地戦にとどまっている。物色対象が広がらないのはある意味、当然かもしれない。

IFISの集計による過去4週間のリビジョン(アナリストによる上方修正と下方修正の件数の差)をみると、上方修正が多いのは圧倒的に電機、ついで化学である。これが今の時代のトレンドだろう。米国ではFANGを中心とするハイテク株が相場をリードして最高値更新が続く。AIという文字をメディアでみない日がない。すべてのものがネットにつながるIoT時代が本格化するなか、ビッグデータやロボットが第四次産業革命の柱になる。従来から主張してきたことだが、そういう世の中で、何をやるにしても必要なのは電子部品だ。昨日の日経報道にもあった通り、電子部品の受注は過去最高に迫る勢いで伸びている。

電機セクターは幅広い銘柄が含まれるが、そのなかでも電子部品は有望だろう(iPhoneだけではないのだ)。そしてその電子部品の部材を供給するセクターが信越化のような化学セクターである。この二つのセクターが物色の柱となる。

一方、銀行と自動車は厳しい。米国金利の上昇が鈍く、為替も円安が見込みにくいからだ。

米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決めた。声明文では年内としていた保有資産の縮小を始める時期を比較的早期へと修正し9月会合で縮小開始を決める可能性を示唆したが、同時にインフレについても慎重な見方をしたことから市場では「ハト派」的ととらえられ、長期金利は低下、為替は円高で戻ってきている。

7月4日付のストラテジーレポートで、「世界的な金利上昇が円安の背景だが、主要な中央銀行が金融緩和の出口を模索するような兆しが出ている中で、日銀だけが蚊帳の外という状況が円安を加速させている」と書いた。このひと月あまりで、「主要国が緩和からの出口を模索、日銀だけは緩和継続、従って為替は円安」というシナリオはすでにじゅうぶん市場に織り込まれている。事実、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場では投機筋(非商業部門)による円の売越幅が12万枚を大きく越え3年半ぶりの高水準に積み上がった。この状態では仮にECBが秋に量的緩和の縮小を決めたとしても、そこでいったん材料出尽くしとなって、たまった円売りを巻き戻す動きから一気に円高が進む可能性がある。これは米国のバランスシート縮小についてもまったく同じことが言える。「Buy on rumor, sell on fact(噂で買って事実で売る)」の円高リスクには警戒が必要だ。

但し、これも巷間、よく言われることだが、日本株はかなり円高抵抗力をつけてきている。

7月4日付のストラテジーレポートで(そして一昨日のモーニングサテライトでも)示した通り、世界の景況感は良好で、その状況はグローバル景気敏感株の日本株にとってはポジティブである。業種別にばらつきはあるが全体としては業績も好調で、バリュエーションも適正である。仮に円高が進行して日経平均が2万円を大きく割り込むような場面があれば、押し目買いで対処すれば報われる公算が高いと思う。

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4週前

目標株価の引き上げがみられる小売り株は

小売り株を中心とした2月決算銘柄の第1四半期決算発表も先週で終わりましたが、決算発表終了から1週間程度が経過したこともあって決算発表後の業績や目標株価の見直しもある程度進んだと思われます。そこで今回は2月決算銘柄を対象に決算後に目標株価引き上げがあったもの(足元の株価を上回る目標株価のもののみ対象)をピックアップしてみました。

そのなかでも特に目標株価の引き上げが目立つのがニトリホールディングス(9843)で、営業減益となったことで決算発表翌日の株価は大きく下落しましたが、決算発表後に4社が目標株価を引き上げています。また、同じく決算発表後の株価が冴えない反応だった良品計画(7453)でも2社が目標株価を引き上げています。さらにディップ(2379)でも2社が目標株価を引き上げています。

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4週前

【決算メモ】安川電機(6506)

利益率の大幅な向上がサプライズ

安川電機が20日に発表した第1四半期の業績は、売上高が前年同期比18.9%増の1075億円、営業利益が同2.4倍の132億円となり、売上高、営業利益とも第1四半期として過去最高となりました。半導体や電気自動車、スマートフォン関連の設備投資が活発で生産設備に欠かせないサーボモーターの販売が中国で大きく伸びたほか、中国での人件費の上昇などを背景に産業用ロボットも好調でした。

こうした第1四半期の実績に加えて、足元の好調な環境が現段階で第3四半期の前半まで続くことがしっかりとみえているとして安川電機では業績予想を上方修正しています。年末から年明けにかけて不透明な部分があるため下期の見通しは据え置きとなりましたが、上期の見通しを売上高で150億円、営業利益で85億円引き上げています。この結果、通期の業績予想(変則決算のため決算期を従来通りと仮定した場合の参考値)は売上高が前期比12.7%増の4450億円へ、営業利益が同59.5%増の485億円へと修正されています。

第1四半期時点での上方修正もややサプライズですが、それ以上に驚きだったのが利益率の大幅な改善です。ロボットセグメントの営業利益率が前年の第1四半期の6.9%から9.9%となり3ポイント上昇したほか、主力のサーボモーターをメインとするモーションコントロールセグメントでは営業利益率が11.4%から20.0%へと一気に8.6ポイントもアップしています。コストダウンに加えて、中国での大幅な拡販が利益率の向上に大きく貢献しており、安川電機ではこうした高い利益率が第2四半期以降も継続するとみています。

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1か月前

ここから1カ月の夏休みとバタフライ・エフェクト

史上最高値更新が続く米国株の活況をよそに、日本株の相場は冴えない。商いも盛り上がらず、日経平均は2万円の大台を割り込んだ。テレビ東京の「ニュースモーニングサテライト」で実施しているアンケート調査「モーサテ・サーベイ」によると、「この夏の東京市場の株式相場は?」という質問に対して、53%の市場関係者が「夏枯れ」と回答している(ちなみに、「サマーラリー」との回答が31%、「波乱の夏(株安)」との答えが17%だった)。海の日の3連休を終えて、今週には関東でも梅雨明けとなるだろう。本格的な夏の訪れを前に、日本株相場は早くも夏休みに入った感がある。

停滞感のひとつの背景は、来週から本格化する4-6月期の決算発表待ちだが、まだ第1四半期の決算なので通期見通しを修正する企業は少なく、結局のところ個別銘柄ベースでは大きく反応が出ても相場全体を動かすイベントにはなりにくい。

日米欧の金融政策を議論する重要な会議もあるが、注目度は高くない。日銀の金融政策決定会合の結果が判る20日の夜にはECB理事会が開催される。だが、どちらも政策変更はなし、現状維持がコンセンサスである。物価展望レポートも材料にはならないだろう。いちばん相場を動かす可能性のあるのはドラギ総裁の発言だが、これについては予想不能である。来週のFOMCも6月利上げの直後だけに今回は市場から「スルー」されているが、もしかしたら9月からのバランスシート縮小開始を示唆するかもしれない。だが、先週金曜日に発表されたCPIの伸びの鈍さとマーケットの反応を見た直後だけに、なにもこのタイミングで性急にアナウンスすることはないのではないか。

そうなると、市場は材料難で本当に「夏枯れ」となる。問題は「いつまで」か、だが、ずばりあと1カ月は「夏休みモード」だろう。すなわち、8月下旬のジャクソンホールで開催される金融シンポジウムまでである。今年は3年ぶりにECBのドラギ総裁が出席し講演すると報じられている。3年前の2014年のジャクソンホールでドラギ総裁は翌2015年から始めることとなる量的緩和を示唆しているだけに、否が応でも「今年もまた示唆がある」という市場の期待が高まるのは避けられないところだ。3年前のBloombergの記事を引用しよう。

<ドラギ総裁は米ワイオミング州ジャクソンホールでカンザスシティー連銀が主催したシンポジウムの場を利用し、ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」と警鐘を鳴らした。インフレ期待についての発言は講演原稿にはなかった同総裁のアドリブ。「政策姿勢を一段と調整する用意がある」とした講演原稿の中でも、今までの定番の「必要になった場合は」の文言が省かれていた。バークレイズの欧州担当チーフエコノミスト、フィリップ・グダン氏は22日の総裁講演について、「大事件であり、ECBの言い回しの転換点となるものだ。最近の景気動向が、次の一手として本格的な量的緩和の可能性を高めたとみられる」と述べた。>

当社チーフ・アナリストの大槻は「資産購入プログラムの縮小は、恐らく9月7日の理事会で決定される可能性が高いだろう」と述べている。ジャクソンホールのシンポジウムはその2週間前である。「頭出し」にはちょうどよいタイミングだろう。いや、本当のところは誰にもわからない。但し、かなりの確信度で言えることがある。「黙っていても市場が勝手にそう思うだろう」ということである。9月7日にECB理事会があり、その2週間前のジャクソンホールでドラギ総裁が講演を行う。3年前はその場で「大事件」とも言える金融政策への示唆があった。こうなればジャクソンホールのドラギ講演がこの夏のフィナーレを飾るメインイベントとなるのは当然で、それに向けてポジションをとるひとと、その一大イベントを見極めてから動こうとするひとに分かれる。ざっくり言って、市場参加者の半分は本当に「夏休み」をとるのではないか。

実は今回のモーサテ・サーベイ、失念してしまって僕は回答していない。改めて回答するなら、「波乱の夏(株安)」に一票を投じる。天邪鬼だから、もっとも回答の少ないシナリオを選ぶというのもあるが、夏の波乱というのは結構あるものだ。古くはリーマン・ショックの先駆けとなった2007年の「パリバ・ショック」も8月に起きた。そんな古い話をしないで、「アベノミクス相場」開始以来を振り返っても、アベノミクス相場の実質初年度2013年の8月には日経平均が576円(4%)安と急落したことがあった(8月7日)。円高が先物売りと結びついたようだが、詳しい背景は判らず仕舞い。その日、僕自身が書いたマーケットメールをここに再掲しよう。

<本日の日本株市場では確かに円高が嫌気されましたが、その円高の理由がよくわかりません。リスク回避の円高とされるものの、ではそもそも何のリスクを回避しているのでしょうか。昨日の米国株式市場で重石となった悪材料は地区連銀総裁の量的緩和縮小に関する発言でした。しかしそれは、一時後退した緩和縮小の早期開始を再び示唆する発言であり、本来ならばドル高要因となり得るものです。量的緩和縮小懸念で「リスク回避」というのはいかにも解せない説明です。

マーケットメール朝刊で、「薄商いのなか先物主導で大きく動く可能性があり、特にオプションのSQを控えた週の最終売買日の前日に当たる水曜日は比較的荒い値動きになるケースが多く注意したいところ」と述べた通りの展開となりました。SQ絡みの要因以外にも値動きが大きくなった背景があります。最近は午後に入ると一方向に大きく動く傾向が強まっていますが、いわゆる「ブル・ベアファンド」等レバレッジ型の投信に絡む取引の影響が指摘されています。レバレッジ型ファンドは、先物の大引けでその日の相場の騰落に合わせた順張りの注文を入れるため、短期筋がその先回り取引を午後に出すために相場の振幅が大きくなるわけです。市場参加者が多く相場にじゅうぶんな厚みがあれば、そのようなテクニカルな取引に市場全体が振り回されることは少ないのですが、現在のような閑散相場では短期筋の先物売買の影響は無視できません。 >

量的緩和縮小に関する高官発言が市場の波乱の遠因だったようである。薄商いのなか、先物主導で荒い値動きとなることもある。これは今年の夏にもじゅうぶんに当てはまる。

翌年の2014年の8月にはISに対する空爆で急落する場面があったし、2015年8月はもはや忘れることのできない「チャイナ・ショック」という暴落劇の始まりであった。

そして今年もまた中国がキナ臭い。

日本が休みだった昨日(17日)午前の取引開始直後に上海総合指数が、特にきっかけがないにもかかわらず90ポイント(2.8%)も急落した。メディアは「わずか12分間のフラッシュ・クラッシュ」と報じた。結局、昨日の上海総合は今年最大の下げとなった。QUICKニュースによると「ストップ安まで売られた銘柄は上海、深センの両市場合計で実に500近く。多くを占めたのが深セン上場の中小型株だった」という。中国版ナスダックとも呼ばれる新興企業向け市場の「創業板」指数は5%の大幅安となった。

背景は全国金融工作会議で習近平国家主席が金融規制の一段の強化と中国経済のデレバレッジ(債務削減)継続を宣言したことであるとされる。

欧米の中央銀行が金融緩和の出口を模索するなか、状況は異なるものの中国でも金融を引き締める動きが株価の急落を招くという事態になっている。ひとつひとつの「金融緩和の終わり」には耐えられても、それが世界中で重なったらどうなるだろうか。

市場心理は複雑で、様々な遠因が相互に影響を及ぼすとまったく予期しない結果をもたらす。われわれは、それを何度も嫌というほど体験してきたはずである。

この夏こそ、複雑系の代表的な理論「バタフライ・エフェクト」を思い出そう。この言葉の語源は、「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐が起こる」というものから来ているのだが、大元のオリジナルは気象学者のエドワード・ローレンツが1972年にアメリカ科学振興協会で行った講演のタイトル"Predictability: Does the Flap of a Butterfly's Wings in Brazil Set Off a Tornado in Texas?"(予測可能性:ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?)である。

ブラジルが北京に、テキサスがニューヨークに変わっているが、そのほうが金融市場のアナロジーとしては好都合である。無論、北京を上海に変えても、ニューヨークを東京に変えることも可能である。その方が、より実現性が高いかどうかは、まったく測りかねるのだが。

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1か月前

ECB利上げのタイミングは?:リスクとしてのイタリアの金融

● 7/20のECB理事会を前に、ユーロ圏の金融政策の"出口"の時期が注目されている。マクロ的には、成長率、インフレ率ともに足元はやや弱めだが概ね堅調に推移、格差も縮小傾向にある。

● 金融政策のボトルネックだった銀行システムリスクは、先月、最も深刻なイタリアで最弱3行の処理が決まったことで後退。しかし、追加処理が必要となり、政府の財政を圧迫する可能性は残る。

● 加えて9/24にドイツ議会選、10/1にスペイン・カタルーニャの独立を問う国民投票等も控える。ECBの緩和縮小は9月開始でも、緩やかなペースになると予想する。ユーロの頭は徐々に重くなるだろう。

欧州のマクロ環境:ポイントは域内国の格差縮小

7月20日のECB理事会を前に、ユーロ圏の金融政策の動向が注目されている。既に4月から、資産購入プログラムの月次債券購入額を600億ユーロに縮小している(これ以前は800億ユーロ)が、更に、いつ、どの程度まで縮小・または停止されるかという思惑でユーロは堅調に推移している(図表1)。

欧州経済では、GDP、インフレ率、センチメント指数等いずれも堅調に推移している(図表2~4)。改善のスピードはやや鈍化しているが、それより大事な点は、「格差の縮小」である。金融を引き締めに転換する上で最大のボトルネックであったギリシャ、イタリア等の脆弱国のマクロ環境の回復で、ECBは金融政策を転換し易くなっている。

資産購入プログラムの縮小は、恐らく9月7日の理事会で決定される可能性が高いだろう。マクロデータ的には昨年末か年初でも政策転換は可能だったと思われる。しかし、オランダ、フランスの選挙やイタリアの銀行処理がペンディングだったため、金融引き締めに舵を切るのは難しかった。ところが選挙も無事通過し、先月、以下の通り、イタリアの脆弱3行の資本増強が決定したことでECBは圧倒的に身軽になった。

イタリアの銀行改革:ECB的にはひとまず安心できる内容だが、追加処理は必至

今回資本注入が決まったのは、イタリア第4位のモンテパスキと、2つの地方銀行バンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァとベネト・バンカの2行の地銀である。これで、昨年末以降4行の官民の再建策が取られた形になる(図表5)。今回の公的資金と民間増資額の合計は最大354億ユーロ=4.6兆円に上る。

但し、これだけでは処理は終わらない可能性が高い。イタリア全土の不良債権比率は14.8%、概算で約2,300億ユーロに上り、他国とは大きな乖離がある(図表6)。担保や引当金でカバーされている割合は50.6%となっているので、1,150億ユーロの不良債権が無担保・未引当で残っている計算になる。これに対して、昨年来の再建関連の追加資金は354億ユーロにすぎない。

また、仮に現在の不良債権比率を、ウニクレディトの2019年の目標である8.4% まで引き下げるには、イタリア全土で、あと980億ユーロ、12.7兆円の不良債権処理が必要となる。更に、欧州平均の4.8%まで低下させるには1,530億ユーロ、19.8兆円の処理が必要だ。

例えば不良債権買取ファンドなどに売却を進めた場合、市場での売却価格は2割から4割程度とみられる。引当金がどの程度計上されているかは不明だが、追加で数兆円の損失が発生する可能性が高いだろう。

更に、来年には中小金融機関の検査がECBで予定されており、不良債権の増加が懸念される。また、中期的には、イタリア固有のファミリービジネスの多さなど、解決しにくい問題で処理に時間がかかる可能性もある。

イタリアの財政問題、総選挙のリスクもくすぶる

このように、イタリアの不良債権問題解消にはもう少し資金が必要とみられる。しかし、政府の余力は限定的である。

イタリアの政府債務のGDP比率は150%と、ユーロ圏他国を大幅に上回る(図表7)。財政収支赤字もGDP比2.4%と高止まりしている。このため、今年の10月までに歳出170億ユーロの政府収支改善策を議会で可決しなければならない。

一方、来年5月までに行われる総選挙に向け、増税は最小限にとどめて財政を改善する必要がある。6月にはナショナル・フラッグのアリタリア航空も、何度目かの窮地に追い込まれた。こちらについては、今のところ政府は介入しないと報じられているが、いずれにしても、銀行だけに予算を注ぎ込むわけにはいかない。このため、たとえ金融システムの健全化のために必要であっても、公的資金の大盤振る舞いはしにくい。

ECBは9月には政策転換へ。但し、引き締めは緩やかなスピードで

欧州では、9/24にはドイツの議会選挙、10/1にはスペイン・カタルーニャ州の独立を問う国民投票も予定されている。更に、来年5月までにイタリアの総選挙も控えている。一時のポピュリズム志向は若干鳴りを潜めたが、もし急速に金融を引き締め出遅れ国の景気が冷え込んでしまったら、再び国民感情が反ユーロに傾きかねない。

このため、金融政策の転換は緩やかに進められると思われる。9月時点では、まず月次の資産購入規模を600億ユーロから400億ユーロ程度に圧縮しつつ、様子を見ると思われる。現在マイナス0.4%となっている中央銀行預金金利は据え置き、市場の様子や企業や個人のセンチメントの変化をみると思われる。その上で、もし悪影響が出ないことが確認できれば、12月以降に利上げ、というシナリオと考える。

このようなシナリオの場合、現在のユーロ上昇の勢いは鈍化する可能性が高いだろう。今週のECB理事会の声明やドラギ総裁の会見、月次のインフレ率や銀行の動向に注目したい。

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