Category : マネックス

2週間前

決算集計速報 PART4 先週後半の決算発表は

3月決算企業の中間決算発表が先月下旬からスタートしています。こうしたなか先週は決算発表が一段と本格化し、TOPIX500採用銘柄に限ると先月31日がピークとなりました。しかし、今月に入ってもまだまだ多くの企業が決算を発表しています。そこで今回は11月1日と2日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速集計してみました。

それをみると折り返し地点の中間期ということもあって引き続き多くの企業が業績予想の修正を行っており、1日と2日も3分の1の企業が業績予想を見直しました。例えばハウス食品グループ(2810)や三菱ケミカルホールディングス(4188)、ダイセル(4202)などが営業利益の見通しを上方修正した一方で、三菱瓦斯化学(4182)やレンゴー(3941)などが通期の営業利益の見通しを下方修正しています。

もう一つのヒント

明日の決算発表スケジュールは

先月下旬からスタートした3月決算企業の中間決算発表もTOPIX500採用銘柄に限ると先月の31日がピークとなりましたが、今週もまだまだ多くの企業が決算発表を予定しています。こうしたなか明日はダイキン工業(6367)やトヨタ(7203)、NTT(9432)などが決算を発表する予定です。

2週間前

潮目が変わって株高のシーズンに

今週火曜日の夜に出演したBSテレ東「日経プラス10」では、「ハロウィーン効果で流れが変わる?」というテーマで話した。過去50年以上の期間のデータを用いて、月末に買って半年間後に売るというシミュレーションを行うと、10月末に投資するのが最もリターンが高い。これは日本でも米国でも欧州でも同様の結果である。10月末に買って4月末に売る。これが「ハロウィーン効果」という有名なアノマリーである。セル・イン・メイ、5月に売れ、という格言とセットになっているわけだ。株は秋に買って春から初夏に売るのがいちばんいい。10月はブラックマンデーやリーマン危機後の暴落など株安が多く発生した月だが、それゆえ絶好の投資機会でもあったというわけである。番組では、「明日はまさにハロウィーン、そろそろいいタイミングかもしれません。」と述べたのであった。

このトピックは前日のFMラジオJ-Wave 「JAM THE WORLD」でも話した。その後、日経でも同様の記事が掲載されたからお読みになった方がおられるだろう。この季節になると昔からよく触れていたテーマだが、今年は渋谷のハロウィーンの馬鹿騒ぎがニュースになっていたので、メディアでとりあげるには良いタイミングだったこともあるが、なんといっても「タイミング」である。市場は、まさにハロウィーンのこのタイミングで絶好の買い場を提供してくれていたからだ。

「日経プラス10」では、10月も終わり月が変わるということも潮目が変わる一因になるとも述べた。米国株の最初の下げは金利対比の割高感調整という理由があったが、今の下げは「株価が下げた」という事実そのものが売り材料になっているので、もう金利とか業績とか関係なくなっている。いわば二次災害みたいなものだ(この表現は今日の「モーサテ」で使った)。市場の変動率や株価水準などが一定の水準に達したら強制的にポジション調整をしなければならないひとたちが大勢いる。そういうひとたちのポジション調整が一巡しないと動揺は収まらないが、月末というのはひとつの区切りとして意識されるだろう。月末でリバランスするひとたちも少なからずいるからだ。

同じく火曜日のストックボイス「東京マーケットワイド」ではこう述べた。11月になればいよいよ中間選挙目前、株が下げ続けていたらトランプ大統領も困るだろう。リップサービスのひとつも出るのではないか、と。果たしてトランプ大統領は1日、中国の習近平国家主席と話しをしたとツイッターに投稿した。トランプ氏は会談で「とりわけ貿易問題に重きを置いた」としたと表明。今月末にアルゼンチンで開かれるG20における米中首脳会談に向けて「良い議論ができた」と強調した。真偽のほどはわからない。だが、相場の支援材料になることは間違いない。

今日はテレビ東京のニュース「モーニングサテライト」に出演した。米国株の下落について、ファンダメンタルズで説明できる第一段階の下げと、その二次災害のような余波というか余震の部分。それはダウ平均の月足(ローソク足)でみれば、下ひげの部分。「本体」ではない、と。そうした説明を再びしてきた。

そして、いよいよ来週火曜に迫った米国中間選挙に関して、中間選挙後は株高となるだろう、と話した。9月14日付けのレポートで紹介したストーリーだ。

S&P500四半期ごとのパフォーマンス(過去74年)

出所:Bloomberg等データよりマネックス証券作成

米国株の四半期リターンを大統領就任の年毎に見ると、就任2年目の第4四半期から3年目の第1四半期が最も高い。言うまでもなく中間選挙が終わったことによる不透明感の払しょくが理由だ。但し、それは、中間選挙前の2四半期が不透明感で株価が低迷するから、その反動が一気に出るのだ。

ところが今年は記録的な景気の良さで株価がずっと高いまま(10月初旬に最高値)。だから中間選挙後のアノマリーは起きないのでは?と言われていたが、なんということはない、10月に一気に調整した。こう見ると10月の急落は、例年2四半期程度かけて起きるはずのビッグイベント前のポジション調整が一気に来たと見ることができる。そうすれば、この反動が中間選挙後に出て、やはり今年も中間選挙後の株高というアノマリーが期待できるだろう。例年、年末にかけて株高となるクリスマス・ラリーというアノマリーに加えて、自社株買いも活発化してくるだろう。これから株式市場は株高のシーズンに入っていく。

短期的なリスクとして今晩の雇用統計に注意したい。こちらのレポート(GMW)をご参照ください。
 

2週間前

11月の株主優待銘柄 比較的高額で魅力的な優待も

5月決算企業や11月決算企業は数が限られることから11月の株主優待銘柄も決して多くありません。しかし、11月にも魅力的な優待制度を幾つかみつけることができます。例えば比較的高額な優待としては九州を中心のドラッグストアを展開するコスモス薬品(3349)の5,000円分の買物券や、作業用工具大手のTONE(5967)の5,000円相当の自社グループ製品といったものがあります。

そのほかにも回転ずしの銚子丸(3075)や串カツ専門店の串カツ田中(3547)の店舗で利用できる優待券に加え、月額300円程度の有料サービスを無料で利用できるウェザーニューズ(4825)の優待や、定番のクオカードやグルメセットやグルメカードといったものもあります。なお、権利付き最終売買日は銚子丸が11月12日で、その他の銘柄が27日となっています。

もう一つのヒント

週明けの決算発表スケジュールは

3月決算企業の中間決算発表はTOPIX500採用銘柄に限ると先月31日がピークでしたが、来週もまだまだ多くの企業が決算発表を予定しています。こうしたなか週明けは清水建設(1803)やSUBARU(7270)、ソフトバンクグループ(9984)などが決算を発表する予定です。

2週間前

決算集計速報 PART3 ピークとなった昨日の決算発表は

3月決算企業の中間決算発表が先週からスタートしています。先週は始まったばかりということもあって決算を発表する企業もまだわずかでしたが、それも今週に入って徐々に増えTOPIX500採用の3月決算銘柄に限ると昨日がピークとなりました。そこで今回は昨日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速集計してみました。

それをみると折り返し地点の中間期ということもあって昨日も業績予想の修正が目立ち、3割以上の企業が業績予想を見直しています。例えば武田薬品工業(4502)やTDK(6762)、村田製作所(6981)などが通期の営業利益の見通しを上方修正した一方で、アステラス製薬(4503)や日東電工(6988)、マツダ(7261)、東京エレクトロン(8035)などが通期の営業利益の見通しを下方修正しています。

もう一つのヒント

明日の決算発表スケジュールは

先週からスタートした3月決算企業の中間決算発表も今週に入って一段と本格化しています。こうしたなか明日は新日鉄住金(5401)や伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三菱商事(8058)などが決算を発表する予定です。

2週間前

日銀・金融政策維持:弊社アンケートにみる“デフレマインド”と金融政策見通し~正常化にはほど遠いが、長期金利上昇の可能性高まる

・10月31日、日銀が政策決定会合を実施、インフレ見通しを連続で引き下げつつ、全ての金融政策を維持した。黒田総裁は、記者会見で貿易摩擦やデフレマインドが払拭できないことに言及した。
・弊社の調査でも、投資家は投資や消費に一層慎重になっており、日銀への政策期待も低下している。これ以上の緩和によるデフレマインド払拭は難しく、日銀もそうした認識を有していると思われる。
・ 一方、10/22に発表された日銀の金融システムレポートは、経済の下方リスクと、ショック時の銀行への懸念拡大を指摘。追加緩和、正常化、どちらも極めて難しい中で、ありうるシナリオは長期金利変動幅の拡大など。次回以降の政策会合では、再度の長期金利上昇の可能性も。当面、大手行を選好。

日銀、政策決定会合で現政策を維持

10/31、日銀が金融政策決定会合を実施し、全ての金融政策の維持を発表した。政策委員による消費者物価指数の見通しは、前回に続き、引き下げられた(図表1)。

図表1:日銀:政策委員の消費者物価見通し

出所:日本銀行データ。生鮮食品を除く指数。 消費税引き上げ影響を除く。各政策委員の予想の中央値。

黒田総裁は記者会見で、貿易摩擦などの海外リスクに触れるなど、下方リスクに従来以上に慎重になっている印象である。また、物価目標が達成できないことについて「デフレマインドがなかなか払拭されない」と、消費者マインドの問題に言及した。

弊社の投資家アンケートでも、“デフレマインド”は顕著に。日銀の“一部出口”を支持

我々の投資家アンケートでみても、デフレマインドは顕著になっている(10月19~22日に実施。回答総数は564人)。
「1年前と比較して家計を引き締めているか?」という問いに対しては、「引き締めている」とする割合が「緩めている」という割合を上回っており、かつ、引き締めている割合が増加傾向にある(図表2-1)。
同様に、「今は貯金を維持または増やすべきか、投資・消費をすべきか?」という問いに対しては、「貯金を維持・増やすべき」という回答の割合が増えている(図表2-2)。
 

図表2-1:1年前と比べて家計を引き締めているか 図表2-2:今は貯金を維持、増やすべき?投資、消費すべき

(図表2-1)出所:マネックス証券作成 「引き締めている」という回答の比率から「緩めている」という回答の比率を引いて計算 (図表2-2)出所:マネックス証券作成 「貯金すべき」という回答の比率から「投資・消費すべき」という回答の比率を引いて計算

貯金を残すべきだと考える背景について聞いたところ(図表3)、さまざまな将来不安が大きいという結果となった。上位には、金融問題というよりは、「年金がもらえるかどうか不安」「国の財政内容が不安」「医療費が高額になっているから」など、国の財政に関連する点が多く挙げられた。

なお、「消費増税」を預金を増やす理由に挙げる人も多いが、これは、他の回答にもみられるように、将来的にモノの値段が上がってしまうので、その時に必要なものが買えなくならないように、ということだと思われる。

図表3:貯金を残したい理由は主にどのようなことか(複数回答可)

出所:マネックス証券作成

では今後どんな金融政策が取られれば、個人のデフレマインドが払拭できるのか。

我々の投資家アンケートでは、日銀の金融政策への期待は低迷している(図表4、5)。「日銀はインフレ期待醸成に貢献しているか」という問いに対して、否定的な意見が肯定的な意見を大きく上回っている。

また、「日銀がどうしたら投資や消費に強気になれるか」という問いに対しては、「マイナス金利の停止・金利の引き上げ」がダントツで全体の4割を占めた。その理由は、理論的にそれがよいというよりは、「そのニュースが好感されそう」や「その施策が投資家のマインドを冷やしたから」という理由があるようだ。

図表4:日銀はインフレ醸成に貢献していると思うか?

出所:マネックス証券作成

図表5:日銀がどのような金融政策を行ったら、投資に強気になれますか? (複数回答可)

出所:マネックス証券作成

これらの調査結果をみると、日銀がこれ以上の金融緩和を行っても、個人の“デフレマインド”を大きく反転させることは難しそうだ。日銀もこうした点は認識していると思われ、金融緩和を拡大することによって、デフレマインドを払拭するという手法は取りにくいと考えられる。

銀行への副作用への警戒感強まる

日銀が10月22日に発表した「金融システムレポート」では、「GDP at Risk」という経済のダウンサイドの分析が新たに行われている。これによれば、ここ数年、世界的な低金利の影響が累積して、中期的には経済が下方に触れるリスクが高まっているとされている。

さらに、金融機関がダウンサイド・リスクにさらされた場合、利益や資本は、過去に比べて一層大きく悪化する可能性があるとされている。仮に、2019年度にショックが発生した場合、当期利益は9割の銀行で赤字になると試算されており、昨年の試算より悲観的になっている(図表6)。

図表6:日銀金融システムレポート(FSR):ストレス時の銀行の当期利益の分布

出所:日本銀行。総資産に対する当期利益の比率。色付きの部分が、下位10%と上位10%をカットした銀行の分布を表し、折れ線グラフが全行の中央値を示す。

つまり、今のところは大丈夫だが、中長期的な経済のリスクは高まっており、もしショックが発生した場合の銀行への影響度も高まっているとされている。

因みに、日銀は、金融機関については、特に、国内中リスク貸出や不動産業向け貸出、海外貸出、有価証券投資などの拡大を注視している模様だ。

日銀の方向性としては、銀行システムをこれ以上悪化させることは回避すべきという意識が高まっているとみえる。

今後の日銀のスタンス予想:“ナローパス”をどう切り抜けるか。長期金利は上昇の方向

これらの点から、日銀が市場のデフレマインド払拭の難しさ、貿易摩擦など世界情勢の不透明感や経済下振れリスク、こうしたリスクに対する金融機関の脆弱性などを意識していることがわかる。

これらを考えると、早期の正常化は難しいものの、これ以上の金融緩和も難しい。このため、日銀は選択肢が極めて限られた、“ナローパス”を切り抜けざるを得ない。

当面の政策として考えられるのは、国債、ETF購入、マイナス金利による超緩和政策を維持しつつ、金融機関が少しでも稼げるように手を打つことだろう。

具体的には、銀行が長短金利の差で儲けられるように、長期金利のコントロールを緩め、金利上昇を容認することが考えられる。

7月31日の前回会合で、日銀は昨年設定した10年国債利回りを「0%を中心に上下0.1%程度にコントロールする」という政策(いわゆるYCC)について、同じく0%を中心としつつ変動幅を「0.2%」に拡大した。

その結果、図表7の通り、国債の長期金利は大きく上昇し、長短金利の利回り差も拡大した。これとともに、一瞬銀行株も東証株価指数以上に上昇した。但し、その後、海外リスク等から伸び悩んだ。

 

もし、長期金利が更に上昇するなら、(銀行の利益へのプラス影響は本当は大きくないが)再び銀行株が短期的にアウトパフォームする可能性が高い。もっとも、地域銀行には、人口減少、競争過多、運用難、コンプライアンス体制強化の当局からの要請などの構造的な問題がくすぶるため、金融政策変更によるアップサイドを狙うにしても、大企業のM&A資金の貸出、自らの買収による事業拡大、デジタライゼーション等の好機を生かせる大手行を選好したい。

2週間前

決算集計速報 PART2 今週前半の決算発表は

3月決算企業の中間決算発表が先週からスタートしています。先週は始まったばかりということもあって決算を発表する企業もまだわずかでしたが、それも今週に入って徐々に増えTOPIX500採用の3月決算銘柄に限っても昨日と一昨日の2日間で60社以上の企業が決算を発表しています。そこで今回は10月29日と30日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速集計してみました。

それをみると折り返し地点の中間期ということもあって業績予想の修正も目立ち、4割以上の企業が業績予想を見直しています。例えばソニー(6758)は通期の営業利益の見通しを2000億円上方修正し、その結果として減益予想が一転して増益予想となり前期に続いて最高益を更新する見通しとなっています。一方で三菱電機(6503)やファナック(6954)では通期の営業利益の見通しを下方修正しています。

もう一つのヒント

明日の決算発表スケジュールは

3月決算企業の中間決算発表が先週からスタートしていますが、それが今週は一段と本格化しています。こうしたなか明日はスズキ(7269)や住友商事(8053)、KDDI(9433)などが決算を発表する予定です。

3週間前

ピークとなる明日の決算発表スケジュールは

先週から3月決算企業の中間決算発表が始まっています。その決算発表のピークは来月9日で一日で500社以上の企業が決算を発表する予定ですが、TOPIX500採用の主力企業に限ると明日がピークで70社が決算発表を予定しています。そこで今回はTOPIX500採用の3月決算企業の明日の決算発表スケジュールをまとめてみました。

明日は取引時間中や昼休み時間中にも多くの企業が決算発表を予定しています。例えば前場には川崎汽船(9107)やデンソー(6902)などが、そして昼休み時間中には日本郵船(9101)や商船三井(9104)などが決算を発表する予定です。また、後場には日本ハム(2282)やLIXILグループ(5938)、三菱重工業(7011)、HOYA(7741)などが決算発表を予定しています。さらに取引終了後にも数多くの決算発表が予定されています。

3週間前

決算集計速報 先週の決算発表は

3月決算企業の中間決算発表が先週からスタートしています。まだ始まったばかりということもあって決算を発表した企業は限られますが、それでもTOPIX500採用の3月決算銘柄に限っても先週一週間で20社以上の企業が決算を発表しています。そこで今回は10月22日から26日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速集計してみました。

そのなかで通期の営業利益の見通しの上方修正に踏み切ったのが25日に決算を発表した日立建機(6305)と富士電機(6504)、さらに26日に決算を発表した信越化学工業(4063)とリコー(7752)で、同じく26日に決算を発表した八十二銀行(8359)も通期の経常利益を上方修正しています。一方で小糸製作所(7276)は通期の営業利益の見通しを下方修正しています。

もう一つのヒント

明日の決算発表スケジュールは

3月決算企業の中間決算発表が先週からスタートしていますが、それが今週は一段と本格化します。こうしたなか明日はソニー(6758)やホンダ(7267)、任天堂(7974)、三井物産(8031)などが決算を発表する予定です。

3週間前

決算集計速報 先週の決算発表は

3月決算企業の中間決算発表が先週からスタートしています。まだ始まったばかりということもあって決算を発表した企業は限られますが、それでもTOPIX500採用の3月決算銘柄に限っても先週一週間で20社以上の企業が決算を発表しています。そこで今回は10月22日から26日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速集計してみました。

そのなかで通期の営業利益の見通しの上方修正に踏み切ったのが25日に決算を発表した日立建機(6305)と富士電機(6504)、さらに26日に決算を発表した信越化学工業(4063)とリコー(7752)で、同じく26日に決算を発表した八十二銀行(8359)も通期の経常利益を上方修正しています。一方で小糸製作所(7276)は通期の営業利益の見通しを下方修正しています。

もう一つのヒント

明日の決算発表スケジュールは

3月決算企業の中間決算発表が先週からスタートしていますが、それが今週は一段と本格化します。こうしたなか明日はソニー(6758)やホンダ(7267)、任天堂(7974)、三井物産(8031)などが決算を発表する予定です。

3週間前

“買い”の取引のみで簡単にポートフォリオのリスクヘッジをする方法

マーケットは大荒れの展開に

日経平均は2018年10月2日に終値で2万4270円の高値をつけました。しかしそこから調整色が強まり、11日に915円安、15日に423円安、23日に604円安、そして昨日25日に822円安とあっという間に2万1268円まで3,000円強の下げとなってしまいました。

 今回の下げの原因は、米長期金利の上昇、米中貿易戦争の激化、それらに伴う今後の米景気や中国景気の減速懸念、サウジアラビアのジャーナリスト殺害事件による中東情勢悪化懸念、英国のEU離脱問題の混迷、さらに追い打ちをかけるようにイタリアとEUの間の財政規律を巡る対立、安倍総理の消費増税実施表明による今後の内需悪化懸念などが挙げられるでしょう。悲観・懸念材料が非常に多く、マーケットが耐えきれなかったという印象です。

 もちろん株価がどこまでも下げ続けることはありませんし、リターンを得るためにはどこかでリスクを取ることが必要です。ただ、足元の下げがどこまで続くかはわからず、ピンポイントで底値を当てることは誰にも不可能です。どこまで下がるのか不安に思っているお客様も多いかと存じます。そこで本日は比較的簡単に皆様のポートフォリオのリスクヘッジを行える方法をご紹介いたします。信用取引口座をお持ちのお客様は“空売り”によってリスクヘッジできますが、そうでない方も“買い”の取引のみでリスクヘッジすることができます。

“買い”の取引のみで比較的簡単にリスクヘッジできる方法とは?

結論からお伝えします。それは、「保有する株式ポートフォリオの金額の半分の金額のNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース(1357)」を購入すること、です。どういうことかご説明してまいります。

 まず、「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバースETF(1357)」とは、「日々の日経平均株価変動率のマイナス2倍」を変動率となるよう設計されたETFです。下記のグラフに日経平均と同ETFの推移を示しましたのでご覧ください。きれいに反対の値動きをしていることがご覧いただけるかと思います。(後ほどご説明するように、ダブルインバースETFの活用には注意点があります。)

日経平均とNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバースETF(1357)の推移

出所:ブルームバーグデータよりマネックス証券作成

ではなぜこのETFを株式の保有金額の半分買うことがリスクヘッジになるのでしょうか?厳密には、どのくらいの金額を保有しておけばリスクヘッジになるかは個人のポートフォリオごとに差があります。その違いは金融用語で「ベータ」と言われる数字によって変わります。ベータとは、「市場が1動いた際にどのくらい価格が動くか」を意味しています。例えば日経平均が1%動いた際に、2%動く個別株はベータが2です。反対に日経平均が1%動いても0.5%しか動かない個別株のベータは0.5ということになります。そしてそのベータは、どのくらいの期間で株価を比較するかによって異なります。

具体例で見ていきましょう。ファーストリテイリング(9983)、セブン&アイホールディングス(3382)、東海カーボン(5301)の3銘柄の日経平均に対する過去3ヶ月間のベータを計算すると、ファーストリテイリングが0.989、セブン&アイホールディングスが0.443、東海カーボンが1.529となりました。これは日経平均が1%動いた際に、ファーストリテイリングは0.989%、セブン&アイホールディングスは0.443%、東海カーボンは1.529%動く傾向があったことを示しています。

このように銘柄ごとにベータは異なるので、本来ご自身の保有ポートフォリオによってリスクヘッジをするためのダブルインバースの保有比率は異なります。ただ、それぞれのポートフォリオのベータを計算するのは少し手間がかかりますし、ざっくりと市場の変動に対するリスクヘッジをする、ということでも十分有効なのではと考えます。

本当に有効なのか、2月の急落の際に当てはめて考えてみる

本当に「保有する株式ポートフォリオの金額の半分の金額のNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース(1357)」を購入することがリスクヘッジになるのか、今年2月の急落の際に当てはめて確かめてみましょう。

日経平均は1月23日に2万4124円の高値をつけた後にやや調整し、2月5日に592円、6日に1,071円の急落となりました。600円近く下げた2月5日にリスクを感じてダブルインバースETFを購入することにした場合を考えます。

実際の損益を考えるために、当社で保有されているお客様が多い、みずほフィナンシャルグループ(8411)、イオン(8267)、トヨタ自動車(7203)、吉野家ホールディングス(9861)、ソニー(6758)の5銘柄を保有したポートフォリオがあるとします。みずほは株価が低いため1,000株、その他の4銘柄は100株保有しているとすると、日経平均が急落した2月5日時点で以下の保有金額になっていました。

2月5日時点の評価額

出所:QUICKデータよりマネックス証券作成

約190万円×0.5=95万円ですので、95万円分のダブルインバースETFを2月5日の終値で購入したと仮定します。5銘柄のみ保有していた場合と、ダブルインバースETFをポートフォリオに加えた場合の損益の変化は以下のとおりです。

日経平均・5銘柄のみ・ダブルインバースETFを追加したポートフォリオの損益推移

出所:ブルームバーグデータよりマネックス証券作成 取引手数料等は未考慮

日経平均は2月5日に急落した後反発した時期もありましたが、戻しきれず3月23日に2万617円の安値まで下落しました。青い線で示した5銘柄のポートフォリオのみですと、2月5日と3月23日を比べると約8%下落しています。一方で赤い線で示したダブルインバースETFをポートフォリオの金額の半分の金額を購入すると、ほとんど損益が動かず安定的に推移し、3月23日時点でほぼ100にあることがご覧いただけると思います。

このように、リスクヘッジの仕方として一定有効なことがご確認いただけたのではないでしょうか。なお、ダブルインバース型のETFであればTOPIX型などでも構いませんが、今回は流動性や知名度の高いNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックスETFを例にご説明しています。

繰り返しになりますが、厳密にはご自身のポートフォリオのベータ値を算出してそこから計算する必要がありますが、あまりに偏ったポートフォリオでない限り、ざっくりと保有ポートフォリオ金額の半分の金額を購入すればワークするはずです。

ダブルインバースETFを購入する際の注意点

ダブルインバースETFをリスクヘッジに活用する際にいくつか注意点があります。まず、当然ながらインバースETFをポートフォリオに組み込んだ状態のままにしておくと、株価の反発局面でリターンを得ることができません。マーケットが落ち着いたと判断したどこかのタイミングで、ETFを売却する必要があります。

また、ダブルインバースETFの商品性自体にも注意が必要です。NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックスETF(1357)は信託報酬が年率0.8%(税抜)かかるので保有していると保有コストが発生することになりますし、以下同ETFのマンスリーレポートから引用したように、必ずしも日経平均のマイナス2倍の変化となるわけではありません。長い目で見るとパフォーマンスが乖離していくので、基本的に短期での保有を前提とした戦略と考えていただいた方が良いと思います。

ファンドが対象とする指数の値動きについて

出所:野村アセットマネジメント作成 NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 マンスリーレポート9月号

その他にもブル・ベア型ETFの注意点についてはマネックス証券のコンテンツに詳しく説明されていますので、ぜひご参照ください。荒れた相場を乗り切っていただくため、マネックス証券一同全力で情報発信に努めて参りますのでぜひご活用いただければ幸いです。

3週間前

市場と感情

今回のスパイラル的な株価急落の要因がわからない、という声が多い。

「最近の株安について理由を挙げようと思えばいくつか挙がるが、実際に何が売り材料になっているのか誰にも分からないのが現実ではないか。」(資産運用会社アルビオン・フィナンシャル・グループの最高投資責任者、ジェイソン・ウェア氏:10/25日経電子版<NY株600ドル安、米市場関係者の見方>)

「今回の下げのきっかけについて市場で意見の一致が見られていない」(米運用会社スレートストーン・ウェルスのポートフォリオ・マネジャー、ロバート・パブリック氏:10/23日経NY特急便 <中国株高も力不足、見えぬ「売り一巡>)

僕は常々、「株価が大きく下げるのに特に材料がないことは多い」と述べている。典型例は1987年のブラックマンデーであり、2015年のチャイナショックである。

チャイナショックの時に書いたレポートで紹介したのは、物理学者のアルマン・ジュリアンとジャン=フィリップ・ブショーの研究である。彼らはナスダック上場の900社以上の株式データとダウ・ジョーンズやロイターなどが提供する2年分、数10万件に及ぶニュースを使って、明らかにニュースに関連した大きな株価変動と、そうした関連性がない大きな変動とを選び出した。そして両方のケースについて、大きな変動が起こってから数時間後の変化を観察した。彼らが観察したのはボラティリティの推移だ。突然株価が動くというのはボラティリティ(変動率)がジャンプする(高まる)ということだが、そのジャンプしたボラティリティは時間の経過とともに通常の状態に戻る。その戻る時間を両者について比べたところ、ニュースと関連性のある事象の方が、ニュースと関連のない事象よりも、はるかに短かったのである。

その理由について、ジュリアンとブショーの研究チームはこう推察している。ニュースと明確な関連がある株価変動の高まりは、背景が理解可能であるがゆえに、驚かず、少なくとも狼狽することはない。ところが、(フラッシュ・クラッシュのように)ニュースと関連のない株価の急変動は、説明がつかない不可解さがつきまとい不安になる。それこそ真のショックである、というわけだ。

チャイナショックの時のレポートで、僕はこう述べている。
<市場では、右も左も「中国景気減速で世界株安」との報道であふれている。市場関係者ほぼ全員に「中国不安」⇒「世界株安」という「因果関係」(に見えるもの)が刷り込まれている。しかし、仮に「中国不安」がこの株安の原因であると、本当に市場参加者の全員が盲信的に思っているとすれば、これほどまでに市場の動揺が収まらないのはなぜか?ジュリアンとブショーの研究によれば、理由が特定できればボラティリティは速く収束するはずである。その結果は直感的にも理解しやすい。そうであるならば、これほどまでにボラティリティが高止まり続けるという、その事実自体が、今回の世界株安の理由を市場がまだ特定できていないことの証明ではないだろうか。>

歴史は繰り返すとはよく言ったものである。いま起きていることは2015年と同じパターンである。僕らはふつう、たいていのものごとには原因があって結果があると考える。すなわち因果関係である。ところがHEC経営大学院教授のイツァーク・ギルボアは著書『合理的選択』のなかで、マクロ経済学、金融、政治学、社会学等では多くの因果関係がいまだ特定できていないと述べている。この言葉を紹介したのは2013年6月に出版した自著『9割の負け組から抜け出す投資の思考法』のまえがきである。そこではこうも述べた。「因果関係を特定するのが難しい理由は、人間の行動が必ずしも合理的であるとは限らないからだろう。そうした非合理的な人間の行動を表現するマクロ経済学、金融、政治学、社会学等は、『予想どおり不合理』(ダン・アリエリー)となる。僕たちはそうした因果関係もよくわからない世界に住み、明日を知れぬ世の中を生きていかなければならない。そのうえで、さらに株式という得体の知れないものに投資をするのだということを改めて認識することを本書の出発点としたい。」

人間は弱い。とくに「わからない」状況を嫌う。よって、すぐに「答え」を探ろうとする。しかし、上述したように、この世の中の動きは、竹を割るような明快な説明が常に用意されているわけではなく、むしろわからないことのほうが圧倒的に多い。ここで注意しなければならないのは、「人間には、統計的な推論をするべき状況で因果関係を不適切に当てはめようとする傾向がある」(ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』)という点である。

今回の株価急落は何も材料がないなかで起きている、「相場につきもの」のような価格変動のひとつに過ぎない可能性が高いと思う。むりやり、米中貿易戦争の影響で世界景気の失速懸念とか理由を当て込まないことが大切だろう。前々回のレポートで引用したケインズの言葉を再掲したい。

「投資の収益は日々変動するが、それは明らかに一時的でどうでもいいような性質のものである。ところが、そのどうでもいいようなことが市場に対して全体的に過剰で、馬鹿馬鹿しいまでに非合理的な影響をもってしまいがちである。」(ジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』)

米中貿易戦争の影響で世界景気の失速というのは、まだ現実のものになっていないし、そうなる可能性は低いと思っている。ただ僕がいちばん懸念しているのは、ジョージ・ソロスの「リフレキシビティ」という理論である。市場のトレンドと投資家の認識がファンダメンタルズの変化にまで影響を及ぼす経路があるという点である。これは前掲のケインズの言葉に近い概念だ。

通常は、
ファンダメンタルズ⇒投資家の判断⇒市場価格

という経路で相場が形成される。ファンダメンタルズを見て投資家は判断し、意思決定を行い、投資行動をとる。その投資家の投資行動を反映して市場価格は決まる。この順番がふつうである。しかし、時には、いや、往々にして

市場価格の動き(トレンド)⇒投資家の判断

と順序が逆になる。そしてさらに、市場価格の動きが投資家や世間一般の感情に影響し、ファンダメンタルズにも影響を与えることがある。「景気は気から」の理屈で、実際の景気が悪くなる。あたかも、株安が景気減速を予見していたように見えることがあるが、本当は株安自体が景況感を悪化させたのである。90年代以降の米国の景気後退はすべてバブル崩壊と株安が契機になって引き起こされたものだ。

目先の話に戻ると、今回の下げには理屈がないのだから早晩、戻るだろう。聞き飽きたようなリスクパリティの調整とかトレンドフォローのCTAの売りとか、アルゴとか、いろいろあるが、それらはすべて機械が文字通り「機械的」に売るわけで、彼らは「米中貿易戦争の影響で世界景気の失速」などを懸念しているわけではない。そうした感情を持たない機械の売りに、感情を持つ人間の不安心理が撹拌されて、相場の振幅が大きくなっていると思われる。戻るとは言ったが、相場は「上げ100日、下げ3日」、少し時間がかかるかもしれない。

今回の下げで理由はないと述べたが、米国株の急落第1波は明らかに明確な理由があった。10/12付「米国株の急落について」で述べた通り、米国長期金利の上昇に対して株価の割高感を調整する必要があったからだ。S&P500の益回りと米国10年債利回りの差をとったイールドスプレッドが3%を下回り株の割高感が台頭していた。S&P500の益回りと米国10年債利回りの差をとったイールドスプレッドは1800年代後半からおよそ150年に及ぶ超長期の平均で約3%。今週の火曜日に我が国は「明治」に改元して150年を迎えたが、その明治時代の始まりからPERなどのデータがあることにまず驚く。それだけ長い期間にわたって、株式投資には安全資産を上回る3%のプレミアムが必要ということが、歴史的事実として米国市場に刻み込まれてきた。よってこの3%のプレミアムがもつ意味は大きい。

株価収益率、PERは株式のデュレーションと捉えることができる。デュレーションは債券の分析で用いられるもので、①投資額の平均回収期間、②金利変化に対する価格変化を表す。

株式は債券と違って満期・償還がないが、永久債と同様の考え方ができる。株式の価格が将来にわたる利益(E)の流列を割引率(r)で現在価値に割り引いたものの合計だとすると、

ここで割引率rには当然、金利が含まれるので、金利の微小な変化に対する価格の変化を求めると、

よって株式のデュレーション(d)は割引率の逆数、すなわちPERだということがわかる。

米国長期金利が足元の急上昇を見せたのは8/24のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演からであった。10年債利回りは2.80%から3.223%まで42.3bps上昇した。

ダウ平均は10/3の高値から10/11まで6.6%下落した。10/3時点のダウのPERは15.6倍だった(Bloomberg 12カ月先ブレンド)。15.6 X 0.423 = 6.6 ぴったりデュレーション通り、金利上昇分を一気に調整した。

よりデュレーションの長い(PERの高い)ナスダックは8.7%下げた。ナスダックのPERは21倍だったから 21×0.423=8.8 でほぼデュレーション通りである。

 

以上、見たように、米国株の急落第1波は明らかに明確な理由があったが、一旦、反発した後、現在までに続く相場変動は明確な理由がない。さらなる金利の上昇は起きていないし、3%というイールドスプレッドの観点からも、デュレーションの観点からもバリュエーション調整は完了しているからだ。

 

今回の急落は、理屈で説明できる部分と、そうではない部分に分けて考えることが大切だ。僕が、よくこむつかしい理屈を話すと、「相場は理屈じゃない」と怒り出すひとがいる。『ストーリーとしての競争戦略』の著者・楠木建氏はこう述べている。「ビジネスの成功を事後的に論理化しようとしても、理屈で説明できるのはせいぜい二割程度でしょう。(中略)理屈で説明できないものの総称を『気合い』とすれば、現実の戦略の成功は理屈二割、気合い八割といったところでしょう。あっさりいって、現実のビジネスの成功失敗の八割方は『理屈では説明できないこと』で決まっている。(中略)八割は理屈では説明がつかないにしても、ビジネスのもろもろのうち二割は、やはり何らかの理屈で動いているわけです。『ここまでは理屈だけれど、ここから先は理屈じゃない』というように、左から右へと考えてみて下さい。すると、『理屈じゃないから、理屈が大切』という逆説が浮かび上がってきます。(中略)野性の嗅覚が成功の八割にしても、二割の理屈を突き詰めている人は、本当のところ何が『理屈じゃない』のか、野性の嗅覚の意味合いを深いレベルで理解しています。」

 

理屈じゃないから、理屈が大事なのである。理屈がわからなければ、「ここから先は理屈じゃない」と見切れない。米国株の急落第1波は金利見合いのバリュエーション調整で理屈で説明がつく。しかし、足元の変動は、もう「理屈じゃない」世界。理屈じゃないので、下値目途もなにもない。相場のことは相場に訊け、で自律反発を待つしかない。ただ言えるのは、相場がここまで売られる理屈がないので、いつか下げ止まってもとに戻るだろう、ということである。ここで終わって弱気相場にトレンド転換ということではない。

世界で有数のヘッジファンドでファンドマネージャーをしている友人からメールが来た。どうなってしまうのかと、いつになく弱気であった。僕は、ここで述べたようなことを伝え、これはバーゲンセールだ、淡々といい銘柄を拾っていけばいいだろうと答えた。それに対する彼の返信は、

<理屈はその通りだろう。しかし、人情としては、上昇局面で強気になり、下落局面では弱気になるもの。これだけ下げられると、淡々と安値を拾うなんて、頭ではわかっているが、心情的にとてもできない>

生き馬の目を抜くヘッジファンド業界で勝ち続けてきた、百戦錬磨のプロの彼でさえそうなのだ。個人投資家が手が出ないのは無理もない。

僕は、こう返信した。

<ごもっとも。人間はAI運用にはまだまだ負けないが、超シンプルな、ただ売るだけ、みたいな機械の売りには勝てないよね。機械は感情がないから。勝てるヘッジファンドマネージャーになるには感情を棄てないといけない。

心臓移植を待つひとと医者の会話。
「5歳の子供の心臓ならあります」
「だめだ。若すぎる」
「では40歳のヘッジファンドマネージャーのでは?」
「いやだね。そいつにはハートがないから」

(映画『修道士は沈黙する』)>

そして前々回触れたリチャード・セイラー博士の20年以上も前の名著、『市場と感情の経済学』を読むように彼に勧めたのであった。
 

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