Category : マネックス

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2週前

2017年のマーケットを振り返る ~2018年のヒントを探る~

比較的波乱の少なかった2017年

皆様、あけましておめでとうございます。平素よりマネックス証券の商品・サービスをご利用いただきまして誠にありがとうございます。本年も皆様の投資成績向上の一助となれますよう精一杯努めて参りますので、マネックス証券および銘柄フォーカスレポートをどうぞよろしくお願いいたします。

2017年があっという間に過ぎ去りました。大幅な原油安、日銀のマイナス金利導入、英国のEU離脱(Brexit)、トランプ氏の大統領選勝利など波乱の多かった2016年に比べると2017年は比較的落ち着いた年であったのではないでしょうか。もちろん北朝鮮の度重なる軍事挑発、ミャンマーのロヒンギャ迫害問題など憂慮すべき問題は山積ですが「マーケット」についてはあまり大きな波乱はありませんでした。ダウ平均の史上最高値更新、日経平均の史上初の16連騰や26年ぶりの高値更新など株高関連のニュースが多かったと言えるかもしれません。

本銘柄フォーカスでは改めて国内外の2017年のマーケット動向を振り返ってみます。

好調だった国は?

まず、世界の主要な株価指数を見てみましょう。表1は主要国の代表的な株価指数の2016年末と2017年末の終値を比べたものです。

米国、日本、ドイツ、オーストラリア、中国、インド、ブラジル、ロシアと8つの主要な先進国・新興国の株価指数を比較しました。最もパフォーマンスが良かったのはインドのセンセックス指数で、27.9%上昇しました。ブラジルのボベスパ指数も26.9%の上昇とほぼ同水準の好パフォーマンスとなりました。続いて米国のダウ平均が25.1%、日本の日経平均が19.1%と続きます。ドイツのDAX指数やオーストラリアのASX200指数も上昇はしたものの10%前後にとどまっており、このように並べてみると日経平均が世界の株価指数の中でなかなかの好パフォーマンスだったことがわかります。

また、中国の上海総合指数は6.6%の上昇と主要国の中ではやや低いパフォーマンスとなりました。ロシアのMICEX指数は8カ国の中で唯一の下落となりました。原油・金のコモディティはそれぞれ10%強上昇しました。2017年は基本的に世界的にリスク選好の株高のマーケットだったと整理してよさそうです。

日本株の動向は?

では続いて日本株について細かく見ていきましょう。前述の通り2017年に日経平均は史上初の16連騰を記録、26年ぶりの高値をつけ年間で20%近く上昇するなど好調でした。国内のその他の主要指数や業種別の指数動向は以下のとおりです。

表2をご覧いただくと、国内の主要指数の中で最もパフォーマンスが良かったのは日経ジャスダック平均で44.2%、続いて東証2部指数で39.1%、東証マザーズが30.7%と新興市場を中心に特に個人投資家に選好される市場が好成績だったことがわかります。規模別株価指数を見ても、小型株>中型株>大型株の順にリターンが良くなっており、2017年は特に小型株が有利な1年だったと整理できそうです。

続いて表3は東証33業種指数の成績です。2016年と2017年の騰落率および騰落順位を記載しています。

2017年に最も好調だったのは「石油・石炭製品」で50%を上回る大幅上昇となりました。原油価格が堅調だったことが要因とみられます。「空運業」、「非鉄金属」、「電気機器」、「化学」、「その他製品」などが30%を上回る好パフォーマンスでした。一方で「電気・ガス業」が唯一のマイナスとなったほか、「不動産業」「証券・商品先物」「銀行業」「陸運業」「輸送用機器」「その他金融業」は一桁パーセントの上昇にとどまりました。「電気・ガス業」や「陸運業」は原油価格の上昇によるコスト高や原発を巡る不透明感などが株価低迷につながったとみられます。また、金融セクターも全般的に株価が冴えませんでした。金融セクターの本年の見通しについてはチーフ・アナリストの大槻那奈がレポートで述べておりますので、ぜひご覧ください。

2016年と2017年の騰落順位を比較すると、2016年に騰落順位が上位だった業種は概ね2017年の騰落順位でも上位に入っており、2016年に騰落順位が下位だった業種は2017年も概ね下位に入っています。業種別のパフォーマンスは2年連続で同じような傾向でした。果たして2018年はどうなるのでしょうか。

最も上昇した銘柄・下落した銘柄は?

最後に市場別の好調・不調銘柄をご紹介します。東証1部・東証2部・新興市場(マザーズ・ジャスダック)のそれぞれについて2016年末の終値・2017年末の終値を比較し上昇率が大きかった銘柄と下落率が大きかった銘柄を10銘柄ずつ表にしています。

以上が2017年に大きく上昇・下落した銘柄ですが、これだけを見てもあまり投資への示唆を得ることはできません。そこで今回は、前年にパフォーマンスが良かった銘柄・悪かった銘柄の翌年のパフォーマンスを調べてみました。具体的には一昨年2016年の上昇率が大きかった銘柄、下落率が大きかった銘柄の昨年2017年の動向をまとめました(東証1部のみ)。すると、 2016年に大きく上昇した銘柄は、2017年もすべての銘柄が上昇していました。さらに10銘柄の平均上昇率は70.9%とTOPIXの上昇率を大きく上回っています。一方で、2016年に大きく下落した銘柄は10銘柄中8銘柄が上昇したものの、平均上昇率は14.5%とTOPIXの上昇率を下回りました。2017年に関しては大きく下落した銘柄を買う逆張り戦略よりも、大きく上昇した銘柄を買う順張り戦略がうまくいきやすかったと言えそうです。2018年はどちらが功を奏すのかぜひご注目いただければ幸いです。

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3週前

来年も上場来高値更新が期待される銘柄は

4月に18,000円台前半まで調整する場面もあった日経平均はその後20,000円の大台を回復したものの、20,000円を超えると上値の重い展開がしばらく続きました。しかし、衆議院選挙での与党の圧勝や好調な中間決算を受けて日経平均は水準を切り上げると11月7日には1996年6月に付けたバブル崩壊後の戻り高値(22,666円)を上回って1992年1月以来25年10ヵ月ぶりの高値を付けました。

こうしたなか今年は上場来高値を付ける銘柄も多くみられました。そこで目標株価コンセンサスが今年に付けた上場来高値を上回り高値更新が期待されている銘柄をピックアップしてみました。例えば塩野義製薬(4507)では目標株価コンセンサスが今年の11月に付けた上場来高値を15%近く上回っているほか、三菱電機(6503)でも目標株価コンセンサスが10月に付けた上場来高値を12%近く上回っています。

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3週前

2018年の展望:金融環境は良好。来年後半に金利は上昇

● 来年の金融環境は近時稀にみるものになるだろう。日米欧の3地域で唯一現在の金融緩和をほぼ維持するとみられる。過去もこのような環境下では、90年代の金融危機時を除き、好景気が持続した。

● こうした環境に加え、折からの人手不足がデジタライゼーション投資や経営効率化に拍車をかける。賃金をじわじわと押し上げ、個人のセンチメントの改善や消費の拡大を促すだろう。

● 景気拡大を反映し、年後半から長期金利が上昇し始めるだろう。特に恩恵を受けるのは銀行株。国際規制強化の終息を受け、株主還元や投資も積極化へ。年後半の上昇が期待される。仮想通貨は、G20で初めて議論される可能性が高い。主要国の規制の動向がカギとなるだろう。

2018年の金融政策:稀にみる好環境

2018年はリーマンショックから10周年に当たる。というと不吉な感じもするが、まだ当面、金融環境は良好に推移するとみている。

とりわけ日本については、日米欧の主要3地域で唯一、金融緩和を続けざるを得ない。2018年は米国に続き欧州も金融政策の正常化に舵を取り、欧州も1月から資産購入を減少させ、段階的な金融政策の"出口"が模索される。これに対し日本は、インフレ率の低迷に加え、9月の自民党の総裁選や、18年中に決定する19年10月の消費増税の問題があり、好景気・株価維持のためにも超緩和策を続けざるを得ないだろう。

日本の金融政策は米国等に遅れる傾向があるが、これほど長期に亘り日本が引き締めに向かう米欧を尻目に緩和を継続したのは、87~90年代、90年代、04~07年に各数年間あっただけだ(図表1)。90年代の金融危機を除き、いずれの時期も緩和マネーが資産価格を上昇させた。

今回も、他国の方向と異なる、緩和的な金融政策の維持が、設備投資を刺激し、円安傾向を維持させることが、企業収益や資産価値にプラスに働くとみられる。

企業収益も一段の拡大へ:デジタライゼーションの本格化

企業収益の上昇も続くとみられる。企業の支払い金利は史上最低で、経常利益の押し上げに一役買っている。金利は少なくとも来年前半までは低位で推移すると予想され、かつ、徐々に金利先高感が出てくることから、設備投資が積極化されるだろう。

また、デジタライゼーションが企業の利益率を一層押し上げるだろう。これまでも、短期的なITブームは経験したが、今回の流れは、過去と2つの点で大きく異なる。まず、センサー、音声認識、AI、ビッグデータ解析など、様々な技術の進化により、格段に実用化されやすくなった点だ。もう一つのポイントは、深刻化を増す人手不足である。これまで日本では、従業員を解雇するのは難しいことから、たとえ非効率でも人員数を維持し、機械化が遅れてきた面がある。しかし有効求人倍率は上昇し続けており、これまではさほどでもなかった事務系の分野までもが人手不足に陥りつつある。来年は企業はこれまで以上にデジタライゼーションに取り組まざるを得なくなるだろう。

なお、バブル末期の80年代末から90年代初頭にかけて、人手不足による企業倒産が年々倍増し、その後の景気後退の一因となった。"人手不足倒産"という言葉が生まれたのもその頃である。しかし、今回は、むしろ人手を補うデジタライゼーション推進の原動力となり、中長期的な企業の生産性向上に繋がるだろう。

消費者センチメントの改善が続く

これらの企業収益の拡大で、賃金もじわじわと上昇してくるだろう。これに加えて、株価や地価などの資産価格の上昇などの効果で、一層の回復が見込めるだろう。

また、個人消費も緩やかな改善が続くとみられる。現在、消費者信頼感指数は日米欧揃って改善している(図表3-1)。しかも、欧米が過去最高を記録する中、日本ではまだ2004~07年のピークに到達しておらず、環境面を考えても一層の改善が期待できる。また、弊社の個人投資家サーベイでも、家計を引き締めている人の比率が、まだ低水準ではあるものの、徐々に増加している(図表3-2)。

消費者信頼感指数の改善が続けば、2018年は個人消費も拡大が見込めるだろう。特に、近時の女性のいわゆるM字カーブの緩和(=女性の産後の離職率の減少)で、時間がない分、短時間で豊かな気持ちになれるような、新たなコト消費(たとえば外食、旅行、趣味等)等が拡大するとみられる。

長期金利:前半は低位推移、年後半に上昇へ

2017年中の日本の長期金利は、日銀のイールドカーブ・コントロールもあり、想定通り低位0~0.1%のレンジで推移した (図表4)。一方米国の長期金利は想定よりは低位に留まった。景気への見通しに対する慎重な見方が早めに意識された印象である。

結果として米国のイールドカーブのフラット化が進み、長短金利が逆転する「逆イールドカーブ」が懸念されるようになってきた。しかし、2018年の政策金利の引き上げは、現在想定されている「3回」に対し、やや下振れする可能性がある。パウエル新FRB議長以下の新メンバーの下、金融政策運営は、景気動向をみながら極めて慎重に行うとみられる。このため、逆イールドの発生は2018年内ではなく、早くとも2019年以降となると考える(図表5)。

なお、通常、逆イールドが発生してからも、その後1年~2年間はダウ平均は堅調に推移する。米国で検討されている金融市場規制の緩和で、ピークの半分に落ち込んでいる米国の上場企業数の復活が期待される。これらのシナリオを前提とすれば、米国の株価は、今年に比べて勢いは落ちると思われるものの、引き続き底堅い動きを続けると予想される。

日本の政策金利は、黒田総裁の後任が誰になろうとも、現在のマイナス金利政策は維持されるだろう。物価上昇率はまだ低く、米国ほど資産価格の上昇も問題になっていないためだ。一方長期金利については、来年後半頃には、イールドカーブ・コントロールの操作対象を10年から5年に短縮し、若干引き上げる動きが出る可能性がある。金融機関の国内の預貸収益は低下の一途を辿っており、日銀に対する業界や政府からの批判が強まる可能性があるためである。

従って、年後半からは、じわじわと長期金利は上昇に向かい、銀行株は本格的な上昇局面を迎えるだろう。

世界の住宅価格上昇は減速へ

2017年も前年に続いて世界の住宅価格は上昇を続けた(図表6)。米国や欧州の主要国では、借家人の権力が強い日本とは異なり、物件価格とともに賃料も上昇しており、実需を伴う値上がりであり、不動産価格バブルとはいえない。

しかし、低金利を続けている北欧、カナダ、豪州等で価格の上昇が著しいことから、やはり緩和マネーの恩恵を受けていることも事実である。このため、2018年以降、金融政策正常化の効果の現れとともに住宅価格の上昇は徐々に沈静化していくだろう。

仮想通貨:ICOによる利用拡大。G20で方向性を議論へ

今月16日以降、仮想通貨の価格は下落し始めた。しかし、依然として年初からの価格上昇率は高く、ビットコインで14倍、その他のオルトコインでは450倍となっているものもある(図表7)。

現在、仮想通貨は1380種類が発行されており、その種類は日々1~3程度増加している。2018年もこの傾向が続くだろう。

この背景にあるのは、ICOの活発化である。2017年11月までに世界で4,000億円がICOで調達され、引き続き発行を計画中の企業も多い。また、エストニア、トルコなどでは、政府が独自の仮想通貨を発行する計画を発表している。

ICOの発行は、既存の株式を希薄化することなく資金調達できる。また、発行体からみると「売上」と扱われるとみられ、一時的な業績の上ブレ要因になる可能性がある。日本でも既にフィンテック企業で発行が相次いでいるが、それ以外でも、12月12日にはシノケングループ(8909)が「シノケンコイン」の発行を発表した。将来的に入居者が家賃等の支払いに使えるようにするという。

一方、仮想通貨の価格動向については、主要国の規制の方向性がカギとなる。ロシアや欧州主要国が年末年始に新たな規制案を提示する見込みである。更に、2018年のG20(日程は未定)で議題の一つとなる可能性が高い。先進主要国では、まだ中国のように仮想通貨取引を禁止した国はない半面、欧州の小国のように自国の通貨発行検討などの支援を表明した国もない。2018年の仮想通貨価格は、こうした主要国の規制の出方次第とみられる。

しかし、いずれにしても、現在の金融システムは極めて非効率である。例えば、世界各国には合計300万台ものATMが設置され、年間数兆円規模の運営費がかかっているとみられる。外貨送金も1件当り1万円近くの手数料がかかり、かつ一回当りの送金額にも上限が設けられている。

このような非効率性は長期的には何らかの技術で刷新されるだろう。その手段として、現時点で最も近い場所にあるのが、仮想通貨の基盤であるブロックチェーンの技術である。代替技術の開発には相当の時間がかかると見られるため、当面は、現存の技術の中でハッキング対策や処理速度等に優れており、使い勝手が良いものが選別され、実用化に向けての試作が進められるだろう。これらが政府の支援を受け、人々の信任を得られれば、再び投資家の人気を集めることになるだろう。

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3週前

小売り企業の決算発表スケジュールは

小売り企業を中心とした2月決算銘柄の第3四半期決算がスタートしています。既にニトリホールディングス(9843)や高島屋(8233)、しまむら(8227)などが決算を発表しており、先週末の取引終了後に決算発表したニトリホールディングスは決算を嫌気して昨日に株価が急落しました。第3四半期の営業利益は第2四半期の減益から増益に転じたものの、二桁増益の通期予想に対して小幅な増益に止まったことから失望売りが膨らみました。

これから決算発表はさらに本格化します。年内にはJ.フロント リテイリング(3086)が本日、アダストリア(2685)が28日に決算発表を予定しています。さらに年明けには5日にスギホールディングス(7649)などが、9日にヨンドシーホールディングス(8008)などが、10日にローソン(2651)やエービーシー・マート(2670)、良品計画(7453)、イオン(8267)などが、そして11日にセブン&アイ・ホールディングス(3382)などが決算を発表する予定です。

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3週前

2018年の投資環境  世界経済の拡大続く 死角はないが「もしもは起こる」と考える 市場の変動性自体がリスク

これまで「日経平均3万円の根拠」というレポートをPART1から3まで書いて、数字のうえでは日経平均3万円はじゅうぶん到達可能であることを示した。今回は、それらの数値の根拠となる投資環境を俯瞰することで2018年の展望に代えたい。

現在のマクロ環境はひとことで言えば世界経済がそろって好況という状態である。これが「世界景気敏感株」といわれる日本の上場企業の業績拡大の背景である。GDPや製造業の景況感、消費者センチメント、失業率など様々な指標から日米欧をはじめとする先進国も新興国もそろって経済が好調であることが示されている。その一方でインフレが加速しないという状況も世界共通である。

そのため金融は緩和的な状態が続き、唯一利上げや資産圧縮に動いている米国でさえ金融政策正常化のペースは極めて緩慢である。次期FRB議長となるジェローム・パウエル現FRB理事は、初めて臨んだ公聴会で政策金利の正常化を進めると利上げの継続を主張する一方、物価停滞が長引けば、引き締めのペースを減速させるとも指摘した。こういう状況では長期金利は上昇しにくい。結果として、好景気・低インフレ・低金利が共存する「ゴルディロックス(適温)経済」が続き、株式市場にとってはこのうえない好環境が生まれている。

この状況はいつまで続くのだろう。米国の景気拡大は既に9年目に入っている。戦後の景気拡大期の平均は約5年で最長は10年だ。過去の景気循環からは米国もいつ景気後退を迎えても不思議ではない。世界最大の経済大国・米国の景気拡大にブレーキがかかれば、さすがにゴルディロックス経済も崩れるだろう。しかし、米国の景気拡張はまだ続くと考える。

まずはじめに期間の問題。米国景気の拡大がそろそろ終わると主張するひとたちの理由の根底には、過去のサイクルとの比較がある。米国の景気拡大期間の戦後最長は10年。それに近づいているので終わりも近いというのは理由になっていない。スポーツの記録などを見ても、記録というのは破られるものだ。過去最長が10年であるというのは景気サイクルの「時間軸」しか見ていない一次元的な話だ。景気拡大の期間を底辺に、景気の強さ(名目GDP成長率)を高さとして、その面積を測る。これが二次元的発想だ。そうして今回の景気拡張を見れば、90年代の成長期の半分にしか及んでいないことがわかる。

現在の好況不況の波は従来の景気循環論では予測できないと言われる。通常は、在庫循環、設備投資循環、建設循環など短期~中期の景気サイクルがあり、景気過熱⇒政策の引き締め⇒景気の鈍化⇒政策の緩和⇒景気回復といったサイクルが繰り返される。短期の在庫循環の視点からは、足元の製造業の好況も間もなくピークアウトしておかしくない。この先、FRBが利上げを続けていけばその蓋然性はますます高くなるだろう。

一方、コンドラチェフ・サイクルといわれる技術革新による景気の波は50年単位。現在の景気サイクルは50年に一度の産業革命が底流を支える構造ではないか。AIやロボット、ビッグデータ、IoT、EV、自動運転などの新技術が次々と進化し世の中が急速に変化している。第4次産業革命と言われるゆえんだ。旺盛な需要に牽引され世界の半導体産業も異例の成長を続けている。3~4年で好不況を繰り返すシリコンサイクルはもはや過去のものとなった。短期の循環で景気がスローダウンしても、第4次産業革命に伴う需要が下支えとなって景気後退までには至らない可能性がある。

加えて減税も景気をある程度支えるだろう。前回のFOMCでFRBは減税の景気押し上げ効果などを勘案し18年の経済見通しを上方修正。GDP成長率を従来の年2.1%から2.5%に、失業率も同4.1%から3.9%に改めた。現段階では未確定ながら、トランプ大統領の公約であるインフラ投資が実現すればむしろ景気が過熱する可能性すらある。

以上、見たように世界経済を牽引する米国景気は少なくとも来年いっぱいは堅調持続だろう。

死角はないのだろうか。リスクは何か。現在の好況不況の波は従来の景気循環論では予測できないと上述したが、1990年以降、米国のリセッション入りのきっかけはすべてバブル崩壊だった。近年の景気後退はすべてバブル清算型である。具体的には90年代初頭の商業用不動産バブルとそれによるS&L破綻、2000年初めのITバブル、そして記憶に新しいサブプライム・クレジット・バブルとそれによる金融危機である。よってリスクを感知するには、どこかでバブルが発生しているかを探ることだ。これは大槻さんがすでに2017年11月30日付レポート「日経平均3万円」への道:行く手を阻むリスク要因を検証」で点検してくれている。もう一度、おさらいしておこう。

今、われわれが指摘できるリスク=バブルの筆頭は「債務のバブル」である。世界の債務総額は2017年3月末時点で、164兆ドル、日本円換算で1京8,000兆円に上る。確かに巨額な負債だが、一方で経済自体も成長している。GDP対比での債務の伸びという観点からは最近は落ち着きが見られる。それはしばしば不安材料として指摘される中国の債務についても言えることだ。党大会終了後、中国の引き締め姿勢が鮮明になっている。習近平指導部は2018年の経済運営方針を決める「中央経済工作会議」で銀行貸し出しや企業の資金調達の伸びを圧縮する方針を示した。すでにバブルへの対処がなされている。さらに言えば、中国は共産党の強烈な一党独裁のもとで計画経済をすすめている。極論すればなんとでもなる。例えば、日本が90年代に経験した金融機関の不良債権処理。失われた20年につながる深刻な事態を招いたのは公的資金投入が遅れたからだ。その意味では、中国ははじめから「公的資金」が注入されているようなものだ。国際金融とも遮断されており、俗にいわれる「中国バブル」が弾けたとしても、世界金融危機のような事態にはならない。

次はバブルの常連、不動産価格はどうか。確かに一部で高騰が見られる。しかし、アメリカ、欧州、日本などの住宅価格の上昇率は、GDPや賃料収入の上昇率で正当化される。株式におけるPERと同様の「収益還元法」で不動産を評価した場合、異常なほど割高、すなわちバブルとはいえないだろう。中国でも規制が一級都市からその他の都市へと広がる中、住宅ローン金利の上昇もあって不動産価格は緩やかに下落している。ソフトランディングとなるだろう。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、北欧などは割高の領域にあるが、これらの経済規模は大きくなく、仮にこれら諸国で不動産バブルがはじけたとしても世界的な問題には発展しないだろう。

では、ビットコインはどうか。今年1年で17倍に急騰し、過去2年では40倍になった。時価総額はトヨタ自動車を上回る。これを投機の極みと言わずに何と言おう。バブルの定義にもよるが、17世紀のオランダにおけるチューリップの球根の価格高騰をバブルというならビットコインもまた実態価値のないものの高騰という意味でバブルと言えるだろう。トートロジーに聞こえるかもしれないが、ビットコイン・バブルはバブルの定義からして破裂し暴落するのが必定であろう。

しかし、ビットコイン・バブルの崩壊は深刻な経済危機には発展しない。いまのところ大手の金融機関が介在していないからである。単にバブルが弾けるだけでは経済危機には至らない。経済危機というものは、バブル崩壊で金融機関が破綻するか、もしくは破綻する懸念が高まり金融不安が台頭し、それが危機につながるケースがほとんどだ。そしてほぼ例外なくバブルは金融機関がそのお膳立てを務めるので、バブルが弾ければ金融機関が打撃を受けるというのは自明のことである。

ビットコインに関しては、自分のバランスシートでビジネスをしている大手金融機関は今のところない。しかし金融機関が介在しなくても、ファンドが投資しているケースでは90年代後半に起きたLTCM危機のようなリスクがあるのは確かだ。だがそのような事態にはならないだろう。先日取引が始まった先物の流動性の低さを見れば、大手のファンドがビットコインで大きなポジションをとっているとは思えない。だからビットコインがいくら暴落しても、個人を中心とした取引参加者の腹が痛むだけで世界の金融市場全体を揺るがすようなシステミック・リスクにはつながらないと考える。

2018年はリーマンショックから丸10年。当時の危機は日本では「リーマンショック」で通っているが、英語ではGlobal Financial Crisis (世界金融危機)という呼び名が一般的だ。それ以来、世界が恐れてきたのは金融危機の再来だった。金融危機はいつかまた起こるだろうが、いますぐではない。これまで見たようにバブル崩壊の兆しが見えないことに加えて、金融機関の耐性も整備されてきたからだ。海外展開する大手銀行を対象にした新たな国際資本規制の枠組み「バーゼル3」が最終決着した。リスク・アセットに対する金融機関の自己資本はかつてないほど高く積み上げられている。もちろん、これで万全という保証はないが当面は大丈夫だろう。

以上、点検したように経済に不安要素はない。不安材料は政治リスクと地政学リスクである。北朝鮮の動向をはじめ米国のロシアゲート疑惑の行方、中東の緊張、米国の中間選挙と右派が台頭する欧州でもまた大きな選挙がある。

地政学リスクに加え、市場の動き自体がリスクになる可能性もある。経済的なリスクがないことを反映して恐怖指数の別名をもつVIX(ボラティリティ・インデックス)は歴史的な低水準にある。投資家が波乱が起きないと考えていることの表れである。ただ、そうした市場の見方に乗ってVIXを売る「セル・ボラティリティ」というトレードを行っている投資家も多く存在し、それがさらにVIXを低下させる一因となっている。予見不可能な地政学リスクが顕在化した場合、VIXは跳ね上がるだろう。そうなったらセル・ボラ・トレードの巻き戻しを誘発してVIXの上がり方は大きくなるかもしれない。

「ボラティリティ=リスク」と捉えてリスク管理をおこなっている投資家も多く、ボラティリティが上昇するとリスクが高まったと判断しエクスポージャーを減らす制約が強まる。このためボラティリティが急上昇する局面ではリスク資産の売りがドミノ倒しのように巻き起こる可能性も否定できない。2015年夏のチャイナ・ショックはこのパターンだったと認識している。上海株の急落と人民元相場の切り下げがグローバル市場に激震を与えたが、中国の実態経済がおかしくなったわけではない。ファンダメンタルズに大きな変化がなくても、市場は動くものであり、その市場の動きがグローバルに共振し増幅されていくメカニズムがある。ジョージ・ソロスが唱えた「再帰性理論」もそうしたことを指摘している。(この観点からビットコインの急落は、VIX急上昇のトリガーにはなり得るので注意が必要だ。)

経済的にリスク要因が見当たらないが、特に明示的な理由はなくても暴落は起きる。30年前のブラックマンデーもそうだった。メイン・シナリオは日経平均3万円到達だが、常に市場の急変には備えておこう。某生命保険のCMではないが「もしもは起こる」(と考える)のである。

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3週前

12月の高配当利回り銘柄は

株式投資では株価の値上がりに関心が向かいやすいといえますが、株式投資には配当や株主優待といった魅力もあります。こうしたなか12月決算銘柄は3月期決算銘柄に次いで企業数が多いことから比較的多くの高配当利回り銘柄をみつけることが可能です。そこで今回は12月決算銘柄のなかから配当利回りが2.5%以上のものをピックアップしてみました。

そのなかには配当利回りが3%を超えるものもあり、JT(2914)が3.8%弱と4%に近い配当利回りとなっているほか、創立80周年に伴い1株当たり10円の記念配当を実施するキヤノン(7751)でも3%台後半の配当利回りとなっています。さらにCAC Holdings(4725)とビーピー・カストロール(5015)でも配当利回りが3%を超えています。なお、取り上げた銘柄の権利付き最終売買日は12月26日となります。

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4週前

目標株価が大きく上昇し上値余地のありそうな銘柄は

10月下旬にスタートし先月中旬に終了した3月決算銘柄の中間決算発表では好決算が相次いだこともあって決算発表後のアナリストによる目標株価の引き上げの動きも多くみられました。そしてこうした目標株価の引き上げや新たな目標株価の設定により目標株価コンセンサスが決算発表前に比べて大きく上昇した銘柄もみられます。

そこで今回はTOPIX500採用の3月決算銘柄のなかから目標株価コンセンサスが決算発表前に比べて1割以上上昇し、その上昇した目標株価コンセンサスが株価を1割以上上回るものをピックアップしてみました。例えば任天堂(7974)では目標株価コンセンサスが決算発表後14%近く上昇し、その結果として目標株価コンセンサスが株価を24%近く上回っています。

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4週前

上期が減益予想に反して増益となった銘柄は

10月下旬からスタートした3月決算銘柄の第2四半期決算発表も先月中旬に終わりましたが、日本経済新聞の集計によるとこの上期は2割を超す経常増益となったようです。そして上期がこのように大幅な増益となるなか、折り返しの中間決算ということもあって通期の業績予想を上方修正する企業も目立ちましたが、その一方で通期予想を据え置いた企業も少なくありませんでした。

そこで今回はTOPIX500採用の3月決算銘柄のなかから上期の営業利益の実績が減益予想に反して増益となりながら通期予想を据え置いた企業をピックアップしてみました。例えばオリエンタルランド(4661)では上期の営業利益が9%余りの減益予想に反して5%を上回る増益となったものの、通期は11%超の減益予想が据え置きとなっています。また、持田製薬(4534)でも上期が減益予想に反して2桁の増益となりながら、二桁減益の通期予想が据え置きとなっています。

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4週前

ビットコインはヴァーチャルである

ビットコインはヴァーチャルである。何を当たり前のことを言うのかと思われるだろう。「仮想通貨」=「ヴァーチャル・カレンシー」なのだから日本語をカタカナ英語で書いただけではないかと。そういうことを言っているのではない。以下のグラフをご覧いただきたい。今週からCMEに上場し取引が開始されたビットコイン先物とビットコイン現物の値動きである。

出所:ブルームバーグ

ビットコイン先物は2万650ドルで寄り付いた。当然ながら現物はまだ2万ドルをつけていない。先物の取引開始以降、今現在までずっと価格差(スプレッド)がついたままである。

先物の理論価格は

先物理論価格=現物価格-保有による収入(配当金など)+保有・調達コスト(金利分など)

である。株式先物なら金利や配当、金や原油など商品先物の場合は保管コストが考慮される。ところがビットコインは、金利も配当もなく、保管コストもない。すなわち、理論的には先物価格と現物価格は一致するはずである。

違いは何か。現物は(ごく一部であるが)決済手段に使える。送金もできる。そこに流動性プレミアムのような価値を見出すなら現物のほうが価格が高くてよいはずだがそうなっていない。先物の価格が高い理由をあえて探せば、決済リスク、すなわち取引所の信用リスクだろうか。CBOEやCMEといった世界有数の先物取引所と、ビットコイン仲介業者の差だろうか。

ともかく、これだけ注目を集める投機対象に、これだけ裁定機会が残されているのが不思議である。

裁定が効かないのは、プレーヤーの属性のせいであろう。先日、日経新聞が報じた通り、ビットコインの主要プレーヤーは日本人である。FXのボラティリティ・取引量とも減少していることからFXのプレーヤー(これも日本人が最多シェア)がビットコイン取引に移行しているのだろう。そうした日本の個人FXプレーヤーでCME先物を取引できる人は少ないだろう(方法はあるので不可能ではないが)。

一方、機関投資家は容易にCMEにアクセスできる。しかし、前述した通り決済リスクの観点等によって、既存の大きな取引所以外で(例えばビットコイン仲介業者で)ビットコイン現物を取引する機関投資家は一部のヘッジファンドを除いて、これもまた極めて少数であろう。仮に機関投資家がカウンターパーティー・リスクなどの問題をクリアして、取引できるようになったとしても、この先物の流動性の乏しさでは実際に裁定取引が行えないだろう。現物を買って先物を売りにいったとしても、自らの売りで価格を押し下げてしまう。

目の前には確かに価格がついている。その価格は現実のものだ。ところが実際に売り買いしようとすればその価格ではできない。ビットコインの価格はあってないようなもの - すなわちヴァーチャルである。

これはビットコインだけに限らない。すべての資産の価格は、市場でついている価格だけが真の価格ではない。流動性を伴って初めて真の価格と言える。

「ビル火災に遭ったとすると、誰もがビルから出ようと突進するだろう。しかし、金融市場ではビルから逃げ出すためには、そこに残ってくれる代わりの人間を見つけなければならない」

これは今からちょうど4年前に書いた「ミクシィ その後 - 『輪』と流動性リスク」というストラテジーレポートで紹介したセバスチャン・ペイジ氏の言葉である。それに続けて僕はこう述べている。

<いかなる証券もそれを買ってくれる相手がいなければ逃げられない。僕らはこの流動性リスクの重要性をリーマン危機で学んだはずではなかったか。>

来年の相場を展望する時期になった。巷間言われる通り、いろいろ点検してもリスクが見えない。リスクが見えないことがかえって気味が悪い。音楽が鳴っている間はダンスを踊り続けなければならないが、流動性が一瞬にして消失する怖さだけは忘れずにいるべきだろう。

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1か月前

2四半期連続の上方修正でついに二桁増益予想となった銘柄は

10月下旬からスタートした3月決算銘柄の第2四半期決算発表も先月中旬に終わりましたが、日本経済新聞の集計によるとこの上期は2割を超す経常増益となったようです。そして上期がこのように大幅な増益となるなか、折り返しの中間決算ということもあって通期の業績予想を上方修正する企業も目立ち、そのなかには第1四半期に続きこの第2四半期にも二度目の上方修正に踏み切った企業がみられました。

そこで今回はそうした銘柄のなかから2四半期連続の上方修正でついに営業利益の通期見通しが二桁の増益予想となった銘柄をピックアップしてみました。例えば三菱瓦斯化学(4182)では期初時点で15%を超す減益予想を見込んでいましたが、上方修正で第1四半期に小幅な増益予想に転じると、この第2四半期には二度目の上方修正で19%近い増益予想となっています。

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1か月前

強気の評価が増えた銘柄は

10月下旬からスタートした3月決算銘柄の中間決算発表も先月中旬に終わり、それからおよそ1ヵ月が経過しました。したがってアナリストによる業績や目標株価、さらに投資判断の見直しも随分と進んだと思われます。そこで今回はTOPIX500採用の3月決算銘柄のなかから投資判断の見直しにより強気(強気とやや強気の合計)の評価が決算発表前に比べて2人以上増えたものをピックアップしてみました。

そのなかで強気の評価が決算発表後に3人増となったのが日本精工(6471)で、強気の評価が決算発表前の6人から9人となり、その結果強気評価の割合も55%弱から75%へと上昇しています。また、JXTGホールディングス(5020)では決算発表前に中立の評価だった2人が決算発表後に強気の評価に転じたことで9人全員が強気評価となっています。

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