Category : マネックス

4週間前

決算が出揃った小売・サービス業で注目したい銘柄とは

足元の相場展望

米中の貿易交渉が暫定合意するというニュースが材料となり、日経平均は10月21日時点で2万2548円まで上昇し年初来高値を更新しました。それでは現在の株価は割高な水準なのでしょうか?以下のグラフはアベノミクス相場が始まってからの日経平均の予想PERレンジと実際の日経平均の推移を示したものです。

                  日経平均と予想PERレンジ

     (出所)QUICKデータよりマネックス証券作成

グラフをご覧いただくと、例えば2013年~2015年や2017年のように世界的に景気が堅調で日本企業の業績が概ね好調だった時期は日経平均の予想PERは14倍~16倍程度で推移していました。一方「チャイナ・ショック」と呼ばれた中国の景気不安が高まった2016年の初頭や米中貿易戦争に伴い世界的に景気減速が見られるようになった2018年以降は予想PERは12倍~14倍程度となっています。

そして現在の日経平均の予想PERは12.7倍です。2018年以降の予想PERの平均が概ね12.7倍と現在と同水準なので現在は割高でもなく割安でもない標準的な水準にあると言えるでしょう。足元の株高は割安すぎた日本株が標準的な水準まで買い戻された、と筆者は解釈しています。それではここから一段の株高は期待できるのでしょうか?

現在の日本株は標準的な水準にあるため、株高も株安も当然ありうるのですが、筆者はどちらかと言えば下方向(株安)に警戒しています。それは以下のグラフに示した世界的な景況感の悪化を不安視しているからです。グラフに示したとおり、米国・欧州・日本の製造業景況感(PMI)は悪化しています。特に米国と欧州の悪化は顕著で、欧州の製造業PMIはおよそ10年ぶりの水準まで悪化しています。

                米・欧・中・日の製造業PMIの推移

   (出所)Bloombergデータよりマネックス証券作成

こうした状況を受けFRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)は景気を浮揚させるべくすでに積極的に金融緩和を行っていますが、現在の政策で十分な効果を発揮するのかそしていつから効果が現れてくるかどうかは不透明です。さらに本レポートで過去に何度か述べてきたように、筆者は米国と中国の対立は貿易問題にとどまらない世界の覇権国の地位争いであり今後5年・10年という単位で続いていく可能性がある非常に根深い対立であると考えています。足元ではトランプ大統領が弾劾問題や来年に大統領選を控えているということもあってかいったん融和的な姿勢を示していますが、またいつ姿勢を変更するかわかりません。こうしたリスク要因を考慮すると株安への警戒を捨てるべきではないのではと考えています。

まずまず堅調な小売・サービス業の決算

さて、9月下旬から10月半ばにかけて小売業・サービス業を中心に決算発表が行われました。今回の銘柄フォーカスでは、それらの銘柄の中から特に好調が目立った銘柄をご紹介したいと思います。

まず、小売業・サービス業の決算内容の概要についてご紹介します。9月から10月半ばにかけて決算発表を行い、前年同期と業績の比較が可能な191社(小売業129社・サービス業62社)について決算集計を行いました。結果は以下の表の通りです。

           小売業・サービス行の6‐8月期の決算集計

(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成 

表の通りサービス業・小売業とも前年同期から増収増益で営業利益率も高まっておりまずまず堅調な決算です。ただし今回の6-8月期には多少消費税増税前の駆け込み需要が含まれていると考えられるため、若干割り引いて考えた方が良さそうです。

それでは直近で決算発表を行った小売・サービス業の銘柄の中から特に業績が好調だった銘柄をご紹介します。具体的なスクリーニング条件は以下のとおりです。

■スクリーニング条件
・9月下旬から10月18日までに6-8月期の決算発表を行った小売業・サービス業に属する銘柄
・6-8月期の業績が前年同期と比較可能
・直近決算まで3四半期連続で増収営業増益を達成
・直近決算まで3四半期連続で営業利益率が前年同期から上昇

 上記の条件でスクリーニングしたところ表に示したとおり、コジマ(7513)、パルグループホールディングス(2726)、レイ(4317)、シンメンテホールディングス(6086)、DDホールディングス(3073)、サイゼリヤ(7581)、スギホールディングス(7649)、ネクステージ(3186)、メディカル一光グループ(3353)、イーサポートリンク(2493)、ベイカレント・コンサルティング(6532)、キャリアリンク(6070)、ファーストリテイリング(9983)、壱番屋(7630)、エスプール(2471)、ライフフーズ(3065)、ロゼッタ(6182)の17銘柄が抽出されました。

(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成 並びは予想PER昇順

最後に筆者が特に注目している5銘柄について事業概要や業績の推移をご紹介します。

コジマ(7513)

■企業概要
大手家電量販店チェーン、国内6位、ビックカメラの子会社。宇都宮を基盤に「コジマ」「コジマ×ビックカメラ」(全国142店舗、2019年8月)の家庭用電化製品ネットワークを展開。ビックカメラとの業務提携伴い商品共同仕入・物流・POSシステムの一体化・店舗開発・店舗運営・販売促進の多方面で連携・実現。「コジマ×ビックカメラ」への転換を推進。2012年ビックカメラと資本・業務提携(ビックカメラの子会社となる)。2013年、2社連名の看板を冠した新ブランド店舗「コジマ×ビックカメラ」をオープン。

■業績推移

 

パルグループホールディングス(2726)

■企業概要
アパレル・雑貨小売店チェーングループ。50以上のブランドにより多様なコンセプトの衣料・雑貨店舗を全国展開(926店舗、2019年2月)、EC販売(ZOZOTOWN中心)。フレンチカジュアル業態の郊外型トレンドショップ「パル」、ユニセックス業態のカジュアルセレクトショップ「CIAOPANIC」、レディス「ナイスクラップ」、バッグ「ラシット」、雑貨店舗「3COINS」(300円ショップ)等。2015年レディスショップのナイスクラップ(JASDAQ)を完全子会社化。2016年バレリーを完全子会社化、持株会社体制に移行、「3COINS」を中国に初出店。

■業績推移

 

DDホールディングス(3073)

■企業概要
レストラン運営、(旧)ダイヤモンドダイニング。東京を中心に神奈川・千葉・大阪でマルチブランド「1店舗1コンセプト」を核に飲食店を運営(433店舗、2019年8月)。立地条件に応じた多様な業態開発、居抜き物件を活用した低コストの出店が特長。主力ブランドは大衆酒場「わらやき屋」、やきとり「今井屋本店」、ラウンジ&バー「GLASS DANCE」。その他、アミューズメント施設「BAGUS」(ビリヤード・ダーツ・複合カフェ等)、カプセルホテルを運営(56店舗)。傘下にゼットン、エスエルディーを子会社に持つ。2011年バグースを買収(アミューズメント事業に進出)。海外は2016年ハワイ(ハワイウェディング事業)に進出。2016年ゼットンと資本業務提携(2017年連結子会社化)。2017年商業芸術(80店舗超)を子会社化、エスエルディーと資本業務提携、カプセルホテルを開業。2019年エスエルディーを子会社化。

■業績推移

 

サイゼリヤ(7581)

■企業概要
大手イタリアンファミリーレストランチェーン。関東・中部・近畿圏を中心に低価格なイタリアンワイン&カフェレストラン「サイゼリヤ」のチェーン運営(全国1082店舗、2019年8月)。看板メニュー299円の「ミラノ風ドリア」、パスタ・ワイン・オリーブオイルをイタリアから輸入、全店でのドリンクバー導入、「お持ち帰りメニュー」、十数種のワインメニューなどに特色。ワイン消費量は国内トップ。サイゼリヤ農場を初めとした契約農家と協力してサイゼリヤ仕様の野菜を開発(製造直販体制を確立)。海外は上海・広州・北京・香港・シンガポール・台湾に411店舗。2012年パスタ専門店のファストフード「マリアーノ」をオープン。2016年スープパスタ専門店「ZUPPA di PASTA」、2018年フレッシュ&ナチュラルのカフェスタンド 、2019年Latteとfロールの「リフレスカ」をオープン。

■業績推移

 

スギホールディングス(7649)

■企業概要
大手ドラッグストア「スギ薬局」を中核とする持株会社。中部・近畿地方を中心に処方箋対応の調剤併設型ドラッグストア「スギ薬局」「ジャパン」を運営(1237店舗、2019年8月)。地域医療対応型ドラッグストアとしての在宅医療業務・健康相談・訪問介護「訪問看護ステーション」を提供。ヘルスケア商品・ビューティケア商品・ホームケア商品のカウンセリング、医療総合情報システムに注力。2013年ジャパンと会社統合。2017年西尾市・大府市・常滑市と包括連携協定を締結。2018年医師向け情報サービスのメドピアと資本業務提携。

■業績推移

 (出所)企業概要と企業業績はマネックス銘柄スカウター

本レポートが皆様のご参考になれば幸いです。
 

4週間前

目標株価が大きく上昇した銘柄は

7月下旬からスタートした3月決算企業の第1四半期決算発表も8月中旬に終了し、それから2カ月以上が経過しましたが、その間に決算発表を受けて目標株価を引き上げる動きも少なからずみられました。そしてこうした目標株価の引き上げや新たな目標株価の設定により目標株価コンセンサスが決算発表後に大きく上昇した銘柄もみられます。

そこで今回はTOPIX500採用の3月決算銘柄のなかから目標株価コンセンサスが決算発表前に比べて5%以上上昇し、その上昇した目標株価コンセンサスが株価を5%以上上回るものをピックアップしてみました。例えば第一三共(4568)では決算発表後に目標株価コンセンサスが15%以上上昇したことで、目標株価コンセンサスが株価を17%以上上回る水準となっています。

1か月前

小売売上高の減少に見る米国景気失速の可能性

米国株が順調な戻りを見せている。ダウ平均は夏場の調整局面でも、今月初旬の急落でも200日移動平均できれいにサポートされて切り返している。

出所:Bloomberg

S&P500は200日移動平均へのワンタッチすらなく、その手前で下げ止まってきた。年初から続く株式相場の堅調なトレンドに変化がないということだ。

出所:Bloomberg

この相場の牽引役がハイテク株、なかでも半導体関連だ。フィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数)が再び史上最高値を更新したニュースは市場の話題になった。

出所:Bloomberg

しかし、その一方でダウ輸送株20種平均の戻りは鈍い。下値は横一線で上値が切り下がっている。

出所:Bloomberg

似たような形のチャートが小型株中心に構成されるラッセル2000である。

出所:Bloomberg

ダウ輸送株平均は景気の先行指標とされる。またラッセル2000は「炭鉱のカナリア」のひとつで相場下落の先行指標とされる。この2つの指数が下げに転じるようだと、それなりに警戒も必要だが今はまだそうではない。ただ、「戻りが鈍い」ということにとどまっている。

しかし逆に言えば、米中貿易戦争の緊張緩和で見直し買いが入っている国際優良株(ダウ平均)や復調著しい半導体株(SOX指数)が買われているだけで、米国景気の実態を反映した株高となっていない可能性がある。ラッセル2000などはほとんどが米国の内需に関連する小型株である。

米国景気が内需主導であるというのはGDPに占める個人消費のウエイトが約7割と高いことでもわかるだろう。米国景気は個人消費次第である。その個人消費の先行きに黄色信号が点り始めた。16日に発表された9月の小売売上高は市場予想に大きく反して前月比0.3%の減少となった。2月以来、7カ月ぶりの減少だ。小売売上高の前月比はプラスになったりマイナスになったりするので、単月の数字だけではなんとも言えないが、このところ半年以上、前月比プラスが続きてきたのが途切れたことは注目するべきだ。

加えて、なぜ小売売上高がマイナスになったのか、その要因と考えられる材料と符合することも見逃せない。

消費を決める要因は何か?懐具合とモノの値段である。おカネがなければモノは買えないし、あってもモノが高ければやはり買えない。消費は自分の収入と物価のバランスで決まるのだ。

このところは賃金が伸びて物価は抑制されていた。平均時給は昨年8月からずっと前年比で3%を超える伸びが続いてきたし、物価も安定していた。だから消費は堅調に伸びてきたと言える。下のグラフで言えば、賃金上昇率と物価上昇率のスプレッドが開いていれば消費にプラスと言える。

ところがこの状況に変化の兆しが出てきた。9月の雇用統計では平均時給の伸びは3%を下回り、コアのCPIは2か月連続で前年比2.4%増と高い伸びとなった。下のグラフで、賃金上昇率と物価上昇率のスプレッドが縮小に向かっているのがわかるだろう。そしてこのタイミングで消費が落ち込んできた。

出所:Bloombergデータよりマネックス証券作成

コンファレンス・ボードが発表した9月の消費者信頼感指数は19年で最大の低下幅だった。センチメントの悪化もハードデータを裏付ける。これが基調として定着するようだと非常に危ういことになる。まさにこれから米国は年末商戦に期待がかかる時期だ。悲観シナリオは年末商戦不振=個人消費不振=米国景気そのものの減速という構図だ。万が一、そういう状況で2020年の大統領選の年を迎えることになれば、トランプ再選の可能性は一段と低くなるだろう。
 

1か月前

強気が増えた銘柄は

7月下旬からスタートした3月決算企業の第1四半期決算も8月中旬に終了し、それから2カ月余り経過しました。そのため業績予想や目標株価、さらに投資判断の見直しも一通り進んだと思われます。そこで今回はTOPIX500採用の3月決算銘柄のなかから決算発表後に強気(強気とやや強気の合計)が3人以上増えたものをピックアップしてみました。

そのなかで強気の評価が決算発表前に比べ4人増えたのが信越化学工業(4063)とカプコン(9697)で、信越化学工業では決算発表前に11人だった強気が決算発表後に15人となっています。また、カプコンでは3人だった強気が7人となり強気評価の割合が5割を超えました。さらに日清食品ホールディングス(2897)とSMC(6273)、富士通(6702)でも強気が3人増となっています。

決算メモ

リンガーハット(8200)‐既存店売上高の動向に注意‐

リンガーハットが11日に発表した2020年2月期の上期決算は売上高が前年同期比0.8%増の238億円、営業利益が同3.0%増の11.2億円となりました。売上高は既存店売上高が客数減で2.9%減となったこともあってほぼ横ばいに止まりました。営業利益は売上高が伸び悩んだものの、粗利益率が小幅に改善したことに加え、販管費の伸びも小幅に抑えられたことから増益を確保しました。ただ、上期の営業利益は増益ながら会社計画を1.3億円下回っています。

通期の計画は売上高が前期比6.5%増の500億円、営業利益が同8.6%増の26億円となっています。ただ、上期に前年を割り込んだ既存店売上高の下期前提は1.8%増と前年を上回る計画となっています。前年下期が1.5%減だったことから若干ハードルが低いともいえますが、消費増税の影響が不透明なことから既存店売上高の推移には注意が必要です。なお、増税直後の10月第一週の客数は9月最終週比で約10%減となったようですが、それも今週は回復傾向にあるとのことです。

1か月前

米大手行7-9月決算:利下げの逆風でも意外と強い。引き続き「強気」

・10/17までに米大手行の7-9月期決算が出揃う。最も強かったのは、JPモルガンで、モルガンスタンレー、バンクオブアメリカが続く。シティはそこそこ、ゴールドマンとウェルズファーゴは期待外れ。

・JPモルガンやモルスタはトレーディングが予想外の大幅増となった他、資金利益も上昇。バンカメは法人からの手数料が大幅増となり、シティは投資銀行が堅調。一方、ゴールドマンは保有株式の評価減に加え引き受け業務も振るわず、ウェルズファーゴは訴訟費用が続き劣勢で明暗を分けた。

・金利が低下しても、トレーディングや手数料収益に加え大胆なリストラで利益を確保できるのが、邦銀にない米銀の強みで、株価もEPSに素直に反応する。FRBの利下げ局面でも投資スタンスは「強気」を維持し、非金利収益が強いJPモルガンやモルスタ、資金利益の堅調なバンカメ等に注目。

米銀の7-9月決算発表:悲観的な市場予想を上回り、邦銀等をアウトパフォーム

10/17までに米大手行(JPモルガン、シティグループ、バンクオブアメリカ、ウェルズファーゴの4大商業銀行グループと、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレーの証券系グループの計6グループ)の決算が出そろった。

夏に景気鈍化が懸念され市場が荒れ、かつ、FRBの利下げが7月に始まってから初めての四半期決算ということで決算に対する市場の期待は低かった。このため、案外堅調だった決算に、市場は大きくポジティブに反応した(図表1-1)。4月以降の累計の株価上昇率は、最も大きいJPモルガンで15%となっている。邦銀も、再編期待などで9月に回復の機運を見せたが、これを大きくアウトパフォームしている、(図表1-2)。  

 

決算概況:最強はJPモルガン。モルスタもこれに続き、バンカメも想定外の手数料拡大

今回の決算はJPモルガンが圧倒的に強かった。具体的には、債券トレーディングが前年比25%の驚異的な伸びとなり、投資銀行も8%の増加となった。金利低下がプラスに効いた可能性はあるが、景気後退懸念にも関わらず、手数料収益がここまで強かったのは想定外である。資金利益、非金利利益ともに他行を圧倒し(図表2-1,2-2)、3か月間の当期利益は前年同期比+8.4%の9,800億円を計上した(図表3)。

 

 

これに次いで良好な決算だったのがモルガンスタンレーだった。4-6月期の決算が今一つだったため期待されていなかったが、第3四半期としては、過去10年で最高だった。特に債券トレーディング収益が大きく回復し、前年同期比21%の大幅増益となった。その他、投資銀行手数料、資金利益ともに、市場予想も前年実績も大幅に上回った。

バンクオブアメリカも意外と健闘した。一部事業の終了に伴う減損が発生したため見かけ上は減益となったものの、これを除くと前年同期比で増益を確保し、横ばい程度を予想していた市場予想を大きく上回った。特に強かったのがM&Aや債券引き受け等の手数料収益で、前年同期比27%の大幅増となった。資金利益も、利鞘の低下を貸出額の増加で補って堅調に推移した。

シティグループも、リストラを続ける中の決算としては健闘した。当期利益は前年同期比6.3%増と、JPモルガンに次ぐ増益率だった。投資銀行部門やトレーディングがいずれもしっかりと増勢を維持し、市場の想定を上回った。一方、株式市場部門は微減で着地した。更に気になるのは与信費用で、前年同期比6%上昇しており、一時的か景気鈍化の影響なのかが注視される。

市場の期待に達しなかったゴールドマンとウェルズファーゴ

ゴールドマンサックスとウェルズファーゴは期待外れに終わった。ゴールドマンは、ある程度想定されていたとはいえ、ウーバーやトレードウェブ等の投資先の評価損が響き、株式関連収益はこの3年で最悪となった。トレーディング収益は若干増加したものの、手数料収益が前年同期比15%減少し、ゴールドマンを金利低下でも収益が稼げる金融機関とみていた市場の期待には応えられなかった。当期利益は前期同期比25%の減益となった。

ウェルズファーゴも前年同期比23%の大幅減益となった。リテール業務の不正に関わる法務費用が16億ドル計上されたのが主な要因だが、それ以外にも課題が目立った。主力の住宅ローンの新規実行額が2桁減となった結果、貸出残高はほぼ横ばいにとどまり資金利益も弱かった。同社は、2016年に従業員が顧客に無断で口座を開設するなどの不祥事が発覚し、今年3月にCEOが辞任した。バンクオブニューヨークメロン出身の新CEOが10/21に就任し、立て直しに当たるが、先行きはまだ不透明である。

今後の見通し:金利低下局面でもEPSを拡大できるJPモルガン、リストラ断行のシティに注目

現時点の予想ROEとPBRの関係は、きれいに相関しており、現在の利益予想と株価にミスプライシングはなさそうだ(図表4)。とすると、当面の米銀株は、ミスプライシングの修正期待で割安株を狙うというよりは、素直にROE、EPSが改善していく銀行を選好すべきだろう。

 

事業環境はなかなか厳しい。当面、金利は低下し、かつ、景気も来年度には減速に向かうとみられる。しかし、金利が低下しても、トレーディングや手数料収益に加え大胆なリストラで利益を確保できるのが、邦銀にはない米国の金融機関の強みである。FRBの利下げ局面でも米国の金融機関に対する投資スタンスは「強気」を維持する。

特に、これまでの広い収益源から手数料等を得てトップラインの上昇を遂げているJPモルガンとモルスタ、トップラインはそこまでではないがリストラで経費率を下げつつあるシティ、貸出等が伸びているバンカメなどに注目したい。

 

1か月前

8月9日以降に決算を発表した企業で目標株価の引き上げがみられる銘柄は

7月下旬からスタートした3月決算銘柄の第1四半期決算も8月中旬で終了となりましたが、それから2カ月程度が経過したこともあって決算発表終盤で決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しが一通り終わったと思われます。そこで今回は8月9日以降に決算を発表したTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げたもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

そのなかでも目標株価の引き上げが目立つのがリクルートホールディングス(6098)で、第1四半期の営業利益が前年同期比で5%増と堅調だったこともあって決算発表後に5社が目標株価を引き上げています。また、第1四半期の営業利益は大幅な減益だったもののSMC(6273)でも5社が目標株価を引き上げています。さらに光通信(9435)でも4社が目標株価を引き上げたほか、エア・ウォーター(4088)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。

決算メモ

セブン&アイ・ホールディングス(3382)‐上期決算とともに構造改革を発表‐

セブン&アイ・ホールディングスが10日に発表した2020年2月期の上期決算は売上高に当たる営業収益が前年同期比0.9%減の3兆3132億円、営業利益が同2.8%増の2051億円となりました。営業収益は計画(3兆3370億円)に届かなかったものの、国内外のコンビニ事業の貢献で営業利益は計画(2046億円)をわずかに上回り最高益を更新しています。そしてこうした上期決算を受けて通期の営業収益の見通しは6兆7410億円から6兆6880億円へと下方修正されましたが、営業利益は4200億円で据え置きとなっています。

セブン&アイ・ホールディングスでは上期決算にあわせてイトーヨーカ堂とそごう・西武、セブンイレブン・ジャパンの構造改革を発表しています。イトーヨーカ堂では33の不採算店の外部連携や閉店、1700人の配置転換・転進支援などを行う予定です。また、そごう・西武では地方5店舗の閉店に加え2店舗で売り場面積を縮小し、1300人の転進支援や社外出向、社内配置転換などを進める計画です。さらにセブンイレブン・ジャパンでは不採算の1000店の閉店とS&Bを実施するほか、加盟店が本部に支払うロイヤルティーを引き下げるなどとしています。

なお、ロイヤルティーの引き下げでセブンイレブン・ジャパンの本部利益は年間で100億円減る見込みです。これを不採算店の閉店加速や本部人員の適正化、売り場の新レイアウト展開でカバーし利益水準の維持・向上を目指すとしています。また、ロイヤルティーの引き下げで加盟店のモチベーションが向上し既存店売上高が1%上昇すれば本部利益が80億円増えるとも説明しています。100億円の減益をカバーできるかがポイントとなりそうです。

1か月前

小売企業の決算集計 PART3 業績予想を修正した銘柄は

先月中旬からスタートし今月に入って一段と本格化した小売企業を中心とした2月決算企業の上期決算発表ですが、それも昨日でほぼ終わりとなりました。こうしたなか10日には9日までの決算発表を集計しましたが、今回は10日から昨日までの決算発表を早速集計してみました。

それをみると折り返しの上期決算ということもあって通期の業績予想を修正する企業も幾つかみられました。例えば安川電機(6506)が通期の営業利益の見通しを465億円から250億円へと下方修正したほか、良品計画(7453)も通期の営業利益の見通しを引き下げています。ただ、良品計画は下期の見通しを据え置いたこともあって決算発表後の株価は大きく上昇しています。

1か月前

8月8日に決算を発表した企業で目標株価の引き上げがみられる銘柄は

7月下旬からスタートした3月決算銘柄の第1四半期決算も8月中旬で終了となりましが、それから2カ月程度が経過したこともあって決算発表終盤で決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しが一通り終わったと思われます。そこで今回は8月8日に決算を発表したTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げたもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

そのなかでも目標株価の引き上げが目立つのが関西ペイント(4613)で、第1四半期の営業利益が前年同期比で6%を超す増益となったこともあって決算発表後に6社が目標株価を引き上げています。また、第1四半期の営業利益が27%以上の大幅な増益となったバンダイナムコホールディングス(7832)でも4社が目標株価を引き上げたほか、セコム(9735)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。

1か月前

8月7日に決算を発表した企業で目標株価の引き上げがみられる銘柄は

7月下旬からスタートした3月決算銘柄の第1四半期決算も8月中旬で終了となりました。したがって8月に入って決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しが一通り終わったと思われます。そこで今回は8月7日に決算を発表したTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げたもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

そのなかでも目標株価の引き上げが目立つのが日清食品ホールディングス(2897)で、第1四半期の営業利益は3割を超す大幅な減益となったものの、海外事業の利益成長への期待などから目標株価の引き上げが相次ぎ決算発表後に7社が目標株価を引き上げています。また、第1四半期の営業利益が3割を上回る増益となった日本新薬(4516)でも3社が目標株価を引き上げたほか、住友大阪セメント(5232)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。

1か月前

米中貿易協議の陰にあるもの

1週間前に発表された米国の9月の雇用統計では非農業部門の雇用者数は予想を下回ったが過去分が上方修正された。失業率は3.5%に低下、半世紀ぶりの低い水準となった。好悪材料が入り交じる結果を受けて市場ではかつてのような、熱過ぎずも冷め過ぎずもなく、ちょうど良い加減の「ゴルディロックス」の状態になったとの見方が浮上した。

確かに9月単月の結果を見れば、「それほど悪くない」と言えるが、米国の労働市場は明らかにピークを過ぎて今後の方向性としては悪化に向かうものと思われる。それは先週の「米国株投資戦略」などで指摘した通り、ISM非製造業景況感指数の雇用指数が完全に下抜けたからである。

雇用者数の伸びはトレンドが低下しているが、それは当然だ。失業率3.5%というのはほとんど完全雇用の状態だから、新規の雇用がどんどん増えるということは考えられない。それ自体は普通のことで特に問題視する必要はないのだが、問題は、失業率3.5%という一見すると非常にタイトな労働市場の環境にもかかわらず、賃金の伸びが頭打ちになりそうな点だ。

9月の平均時給は前月と変わらず、前年同月比では2.9%上昇と、ここ1年以上続いていた前年比3%台の伸びを割り込んだ。実はすでに労働市場における需給は緩んできているのかもしれない。これについてはFRBが利下げをしやすくなったと前向きに捉える声が少なくないが、事はそう簡単な話ではない。「ミニ・スタグフレーションへの警戒」で指摘したようにインフレが高まる要因(関税)とその兆候が実際に見られるからだ。

ところがその後発表されたPPIは大きく低下した。これだけを見ると米国の生産者は関税を価格転嫁できていないと映る。昨日発表されたCPIはコアが前月から0.1%上昇、前年同月比の上昇率は2.4%で前月と同じ。とりあえずインフレは加速していない。問題はこれから関税が引き上げられてくる可能性が高いことだ。果たしてインフレが高まるか、要注視である。

貿易協議は包括的な合意は難しく、部分的な合意にとどまると見られている。それでもマーケットは好感するだろう。この週末の最大の材料は米中貿易協議に違いないが、実はその陰でいくつか重要な動きがある。

大がかりな空爆と地上戦に発展したトルコによるクルド人武装勢力、シリア民主軍(SDF)への軍事作戦。トランプ米大統領が命じたシリア北部に駐留していた米軍の撤退が引き金となった。これについてトルコに制裁を科すべきという非難、批判が超党派の議員からあがっている。トランプ大統領もたまらず「ルールに基づいて行動しなければ制裁を通じてトルコに金融面でとても激しい打撃を与える。注視している!」とツイートした。もとからブレやすい人物だったが、シリア政策ではブレまくっている。今回の件で改めて共和党も一枚岩でないことが示された。

トランプ大統領の弾劾手続きが始まっているが、そんな折り、トランプ大統領の個人弁護士、ルディ・ジュリアーニ氏が進めているジョー・バイデン前副大統領の調査をほう助していた旧ソ連出身の男2人が選挙資金法違反の疑いで逮捕された。これなどはまだ序の口で今後トランプ氏を巡るどんな話が飛び出すかわからない。

そしてこのタイミングでついにウォーレン上院議員が米大統領選の民主党候補者指名争いの支持率で首位に立った。これまで一貫してトップだったバイデン前副大統領を逆転した。来年の大統領選でエリザベス・ウォーレンがトランプを破る - これが最大のネガティブ・シナリオだ。そうなったら当面は米国株にとって上昇する目はなくなるだろう。
 

1か月前

国際マネロン審査本格化:個別金融機関への実地審査を注視

・日本の金融機関に対する国際機関FATFによるマネーロンダリング(不正な資金洗浄)対策の検査が本格化する。早ければ来週にも、実地審査に入る金融機関などの詳細が示されるとみられる。

・日本の金融機関は、マネロン対策では過去3回の検査では散々な評価を受けている。今回も厳しい指摘を受ければ、日本の金融機関が海外と取引をする際に不利になりかねない。

・世界でマネロンされている資金は年間200兆円規模に上る。海外の金融機関は、過去累計で2兆円もの罰金等を科せられており、今年は過去最高額になる可能性。日本では大問題は発生しなそうだが、個別機関への罰金もあり得る上、株価への影響も大。当面、業界のニュースフローには注意が必要。

マネロンが金融機関に与える影響は深刻に

日本の金融機関に対するアンチ・マネーロンダリング(AML、資金洗浄防止)体制の審査が今年行われている。審査するのは、金融活動作業部会FATF(Financial Action Task Force on Money Laundering、「ファトフ」と呼ばれる)と呼ばれる国際団体である。秋にはいくつかの金融機関に審査団が訪問するとされていたため、月内、早ければ来週にも、どの金融機関に入検するか、などの詳細が明らかになるとみられる。

たかがコンプライアンス・チェックとあなどれないのがこのAML問題である。世界でマネロンされている資金は、年間で、世界のGDPの2~5%、200兆円規模に上るとされている(国連等の試算)。

その中心にいるのが金融機関である。世界の金融機関は、この問題に関連した違反で、2008年以降累計で約2兆円もの罰金等を科せられている。しかも、罰金は近年増加傾向にあり、今年は過去最高を記録する勢いとなっている(図表1)。

 

最近では、9/26に、オランダ最大の金融機関ABN Amroが自国の検察当局に捜査を受けたと報じられた。このケースでは、「顧客の詳細を把握しておらず、異常な取引を報告が遅すぎる」などと指摘されたが、直接マネロンに関わっていたと断じられたわけではない。にもかかわらず、巨額の罰金のリスクなどが嫌気され、株価は1日で10%以上下落した(図表2)。

 

その他にも、昨年は、デンマーク最大のダンスケ銀行が2,000億ユーロ(約24兆円)ものマネロンに関わったとして摘発された。疑惑の中心となったエストニアの元部門長は、先月行方不明になったのち、遺体で発見された。今年に入ってからもロシア関連の資金の流れを巡り、欧州で多くの銀行に捜査が入っている(図表3)。こうしたマネロン事件の殆どの場合、捜査が報じられた後に株価が大きく下落している。

 

課題が多い日本のマネロン対策とその影響

日本でも、金融機関から、国家公安委員会・警察庁に届けられた「疑わしい取引」の件数は、昨年1年間で41.7万件と、過去9年で倍増した。背景には、金融機関の牽制機能が充実してきたことがある。

しかし、国際的なマネロン対策審査では、日本はこれまで散々な評価を受けている。FATFによる検査は、過去3回行われているが、08年10月に示された直近の審査では、40項目のうち26項目でNGとなった。法人の実質支配確認などがダメ出しをされた項目だが、その後も不備が目立ったことから、14年のFATFの定期会合では、日本は名指しで不備を指摘された。

今回のFATF審査団は、実際にいくつかの金融機関を訪問し、ヒアリングを行う。オンサイト先が体制不備を指摘され、審査にパスしなければどうなるか。FATFに法的制約はない。しかし、各国でマネロンの追及が厳しくなる中では、外銀が邦銀との取引に条件を課すようになる可能性も否定できない。

しかも、個別機関については、罰金が科せられることもあり得る。何か問題が明らかになれば、個別機関の株価にも影響が出るだろう。審査は、各業態の代表的な機関に入検する可能性が高く、当面はこれらを中心に注意が必要である。
 

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